ディセント (The Descent)

監督　ニール・マーシャル　主演　ショーナ・マクドナルド
2005年　イギリス映画　99分　ホラー　採点★★★★

地底人と言えば「オレは誰よりも下に居るー！俺の下には誰も居ないー！」と、ごもっともだが自己紹介にはイマイチ使いづらいキメ台詞を持った方々か、ペットがテレスドンの方々が定番かと思っていたんですが、どうやらまた思い込みだったようで。

【ストーリー】
交通事故で夫と娘を失ったサラを励まそうと、かつての冒険仲間がサラをアメリカはアパラチア山脈にある地底洞窟探検に誘い出す。始めは順調だった探検も、崩落事故で事態は一変。出口を求めて彷徨うサラらだったが、その洞窟には恐ろしい何者かが潜んでいた。



「下山」や「降下」という意味のほかに、「家系」という意味も持つ“ディセント”。「何の家系？」って、そりゃあ地底人の。
光の届かない漆黒の地下洞窟で、地底人に襲われる女だらけの探検隊の恐怖を描く一本。洞窟だの地底人だのと扱っている題材は目新しくないどころか水曜スペシャル並に古臭い印象もあるが、限られた光源で描く洞窟内の閉鎖感は見事なもので、テンポの良い演出と情け容赦ない展開と相まって、閉所恐怖症の方々には耐えられない緊迫感と恐怖感を生み出している。全て女性だけに絞ったキャスティングも効果的で、男だったらまず間違いなく泣き言を言う状況下で、土壇場に強い女性らしい活躍ぶりを自然に見せる事が出来ている。“家系”を繋いでいるのが女性であることを象徴するかのように、野生に目覚めた主人公と、その主人公にパートナーを殺された女地底人との一騎打ちは、壮絶で悲痛でもある。終盤のテンションとクライマックスを、地底人戦に持っていくのではなく、女同士の確執に持っていく脚本も見事。
“地底人は目が見えない”ってのは定番なのだが、だからといって音だけに頼り匂いや感触には無頓着なマヌケぶりも目立ったが、ラストのほろ苦さも悪くないので、満足度は高い。



オフビートな笑いとアクションをふんだんに取り入れた狼男映画の快作『ドッグ・ソルジャー』で、新人らしからぬ見事な演出を見せたニール・マーシャル。長編第２弾となる本作も同様の路線で行くかと思いきや、前作で重要な位置を占めていた“笑い”をバッサリとカット。終始悲痛な空気を漂わせている。まぁ、男だらけの探検隊が泣き言ばかり言う前作と表裏一体のような作品でもあるんですが。まぁ、女優陣に「何かが出てくるからね」と伝えておきながら、どんな風貌のどんな奴が出てくるのか一切教えずマジでビビらせる所に、ニール・マーシャルらしさを感じますけど。
個人的には満足度の高かった『０：３４　レイジ ３４ フン』といい、本作といい、こういうどうにも狭苦しい所でアセクセする作品が得意なようで、イギリス人って方々は。息苦しい生活を送っていらっしゃるんですかねぇ。


こうなったら、男性には太刀打ちできません

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Comments

閉所恐怖症には、あの狭い穴にハマってしまったシーンは耐えられません(ｶﾞｸｶﾞｸﾌﾞﾙﾌﾞﾙ
いろんな映画のオマージュが透けて見えて、それだけでも楽しめて満足映画でした。
TBありがとうございました。

Posted by とりこぷてら at 2006年12月05日 07:47

とりこぷてら様こんばんは！
別段閉所恐怖症ではないのですが、それでもあの密閉感は堪らなかったですねぇ。なによりも、女性が覚醒してしまったら、男性はとてもじゃないけど敵わないんだなぁと、ガクガクブルブルでした。

Posted by たお at 2006年12月05日 23:23

こんばんは♪
冒頭にショッキングなシーンがあって、てっきりサスペンスモノと思っていた期待は裏切られました（汗）
地底人が出てきた途端にちょっと萎えましたが、なかなか面白かったです。
地底人、たくさんいましたよね〜？

Posted by ミチ at 2006年12月05日 23:53

ミチ様こんばんは〜♪
やっぱり日の当たらない場所で生食ばっかりしていると、スメアゴルになっちゃうんだなぁと実感した地底人でしたが、いっぱいいましたねぇ。

Posted by たお at 2006年12月06日 00:11

こんにちは。TBありがとうございます。
元母でもやっぱり強し。
母じゃなくても女性は強いか。

Posted by もじゃ at 2006年12月07日 00:13

もじゃ様こんばんは！
なんでしょうねぇ、この女性の強さは。全くもって歯が立ちません＾＾；

Posted by たお at 2006年12月07日 01:58