2011年 アメリカ映画 91分 ホラー 採点★★★
子供の頃に読んだ絵本や童話って怖くて不条理な物語が案外多いんで、妙に記憶に残ってたりするんですよねぇ。一種のトラウマ。最近はヤワな時代なんで子供にそんな怖い思いをさせる絵本なんか淘汰されたのかと思いきや、ちょいと夜更かししただけで幽霊に連れ去られてしまう絵本がいまだロングセラーのようで。情操教育に“恐怖”ってのは必要なんですねぇ。「じゃぁ、ウチの子供らにもばんばかホラー映画を見せてやろう!」と勘違いした私だとさ。
【ストーリー】
7年前に忽然と夫が失踪した姉トリシアを訪ね、ロサンゼルスにやって来た妹キャリー。夫の死亡証明書が発行される日が近づくにつれ夫の幻影に悩まされるトリシアだったが、それは夫を見捨てることに対する罪悪感と思っていた。そんなある日、ジョギング中に近所のトンネルを通ったキャリーは不気味な男と遭遇。それを切っ掛けに、奇妙な出来事がキャリーの近辺でも続発し始め…。
上手い具合に言いくるめられたトロルがギッタンギッタンにされる“三びきのやぎのがらがらどん”をモチーフにした不条理ホラー。監督・脚本・編集を手掛けたのは、TV畑のマイク・フラナガン。
失踪事件の背後に潜む魔物の恐怖を、都市伝説風味も交えて描いた本作。いささか作り手の脳内だけで完結してしまってる感もあるのだが、シンプルな画面構成が心霊番組の再現ビデオを見てるかのような不気味さがなかなか良い感じ。単純に異世界ホラーの世界を描くのではなく、一つの失踪事件に対し事件・事故など一般的な可能性を提示することで現実社会と接点を保つ作りも上手い。なまじ登場人物がワケアリなだけに「まぁ実際はこんな理由なんだろうなぁ」と思わせながらも、ほんの少し「でも、もしかして…」の余地を残す作りというか。
説明を省くサジ加減を誤ったのか、なんとも舌っ足らずの作品であるし粗も少なくないのだが、ホラー映画として程良い後味の悪さも味わえる、まずまずの一本なのでは。因みに、被害者の一人で『パンズ・ラビリンス』のダグ・ジョーンズが素顔で登場してるのも見所かと。
「次にもっと太って美味そうなのが来るよ」と言い忘れ
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