2006年11月19日

エネミー・ライン (Behind Enemy lines)

監督 ジョン・ムーア 主演 オーウェン・ウィルソン
2001年 アメリカ映画 106分 アクション 採点★★★

落っこったパイロットを無線で「頑張れ♪」ってする映画っていうと、私の世代だと真っ先にジーン・ハックマン主演の『BAT★21/バット21』が浮かぶんですが、今の世代だとコレが浮かぶんでしょうねぇ。

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【ストーリー】
停戦間近のボスニア上空を偵察飛行していたクリス大尉は、停戦を無視してセルビア人民軍による虐殺行為を撮影してしまう。証拠隠滅のために撃墜されてしまったクリス大尉は、米軍の救援が届かない地で、たった一人取り残されてしまう。

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実体験をベースにした『BAT★21/バット21』はその原作本も愛読書であったため、ジーン・ハックマンが地味にヒーコラ逃げる姿にさえ内なる苦悩や叫びがヒシヒシと伝わる好きな映画の一本なのだが、本作からヒシヒシと伝わってくるのは、オーウェン
ボスニアの凄惨な民族紛争を背景にしておきながら、序盤の迫力重視の空中戦からも伺える通り、純粋に娯楽映画の枠内に収まった作品。娯楽映画にするにはいささか不謹慎な題材のような気もしないでもないが、その不謹慎さをあまり感じさせないのは、オーウェンの存在感によるものが大きい。絶体絶命の状況下においても、いっぱいいっぱいになったいつものオーウェンでしかなく、フニャフニャと喋るいつもの姿に「オーウェンならなんとかなるでしょ?」と安心感がわく。たとえ目の前に無数の地雷が設置された地雷原があろうとも、ダッシュボタン連打で切り抜けるシーンなんか、とってもオーウェンらしい。まぁ、言葉を変えればミスキャストとも言いますが。
当時の流行なので仕方がないのだが、迫力を重視した映像処理は若干うざったくもあるのだが、その力強い映像の中をフニャフニャと叫びながらずーっと走ってるオーウェンを観ているのは苦ではなかったので、概ね満足で。

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『許されざる者』以降、この時期のジーン・ハックマンは何を観ても同じ印象しか残らない俳優だったのだが、本作でもまぁ、だいたい同じ。「ベトナムの戦場を一人逃げ延びて、ここまで出世したんだなぁ」と脳内補完をすることで、キャラクターに深みも生まれましたが。
娘が炎の少女だったデヴィッド・キースなんかも出ているが、なんといってもこの作品はオーウェンに尽きる。どんな状況でも緊迫感を感じさせず、フニャフニャと喋る割に絶対譲らない頑固者で、他人の言うことをさっぱり聞かない5歳児のようなオーウェンを堪能。あんまり速く見えない走る姿も、逃げてるはずなのになんか楽しそう。
今となっては珍しい大作への出演だが、現場が大変だったのか、楽しくなかったのか、寒いのが嫌いなのか、本作以降はフラットパック道一直線になる嬉しいターニング・ポイントって意味でも重要な作品。短い髪は似合わないという重要な発見もありましたし。

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髪が短いと、なんかダディッツっぽい

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posted by たお at 00:01 | Comment(8) | TrackBack(3) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは
実はこの映画と「シャンハイ・ヌーン」しか見なかった為にオーウェン・ウィルソンをアクションスターだとずっと勘違いしてたのです。本作は地雷のシーンしか印象に残っていないです。面白かったかは微妙(^^)
Posted by 怪盗紳士 at 2006年11月19日 19:27
たお様
albrechtです。
>今の世代だとコレが浮かぶんでしょうねぇ。
いや〜、どーでしょーねー(笑)。
ぶっちゃけ、この映画のことはあんまり覚えてないし〜。ただ、本作で短髪にしていたため、『ズーランダー』ではエクステンションを付けていた、というのだけ憶えてます(笑)。
Posted by albrecht at 2006年11月19日 21:53
怪盗紳士さまこんばんは〜♪
確かにこの時期“新たなアクションスター”として売り出そうとしてたっぽいですよね。まぁ、いまのポジションについてくれて一安心ですけどw
Posted by たお at 2006年11月20日 01:59
albrecht様こんばんは〜♪
そうそう!この間『ズーランダー』を副音声で観てた時にこの映画を思い出して、ちょっくら見直してみようかと。
そうでもなければ思い出さない作品ですしw
Posted by たお at 2006年11月20日 02:01
どもども〜。相変わらず楽しいレビューを楽しませていただいてます。
二枚目の画像なんかは、まさにウヒョウヒョ言いながらダッシュボタン連打ですねぇ(苦笑
この作品で覚えている印象的なシーンといったら、衛星で味方に追跡してもらってるときに敵に遭遇して死体と一緒に泥の中でじっとしていたのと、ハックマンおぢさんがマリア像の向こう側から颯爽と現れるとこでした。
あ、あの敵の独りで最後までおっかけてきた猟犬のようなおっちゃんも印象的だったなぁ(笑)
Posted by chibisaru at 2006年11月21日 20:51
chibisaru様こんばんは〜♪
ハックマンはやたらと存在感あるし、映像は無駄に凝ってるし。
そんな中、オーウェンはいつものオーウェンのまま^^;
んー・・・やっぱり、ミスキャスト?
Posted by たお at 2006年11月21日 22:01
こんにちは☆
オーウェンさんが逃げてる姿意外は忘れかけてます^^;
昔は真面目な役をやってたわけではなく、めずらしく真面目な役なんですね(笑)←初心者
「トラブル・マリッジ〜」の後にこちらを観てたら違った感想になってたと思います〜
Posted by ゆかりん at 2007年03月30日 13:32
ゆかりん様こんばんは〜♪
私も何度もこの映画観たはずなのに、走ってるとこ以外はスッカリとw
今回はちょっと見マジメっぽいですが、相変らず頑固ですし、要領もいいいつものオーウェンっぽさだけは残ってるんですよね^^
Posted by たお at 2007年04月02日 00:31
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『エネミー・ライン』
Excerpt: 普遍的なテーマだけど(ありきたりともいう)、やや映像に凝ってみました??、というと
Weblog: Albrecht's Alternativity@ココログ
Tracked: 2006-11-19 21:49

#122 エネミーライン
Excerpt: 製作:ジョン・デイビス 監督:ジョン・ムーア 出演者:オーウェン・ウィルソン 、ジーン・ハックマン 、ガブリエル・マクト 、デビット・キース 、ホアキン・デ・アルメイダ 、ウラジーミル・マシコ..
Weblog: 風に吹かれて-Blowin' in the Wind-
Tracked: 2006-11-21 20:43

エネミー・ライン
Excerpt: 『BEHINDENEMYLINES』公開:2002/03/09製作国:アメリカ監督:ジョン・ムーア出演:オーウェン・ウィルソン、ジーン・ハックマン、ガブリエル・マクト、チャールズ・マリック・ホイットフ..
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Tracked: 2007-03-30 13:27