2008年 イギリス/アイルランド映画 102分 サスペンス 採点★★★
飲食店なんかで時折、店員さんに対し物凄い上からの物言いをしているお客さんを見掛けることがありますよねぇ。得てしてオジサン。たぶん会社とかでそれなりの地位に就いてる人なんでしょうねぇ。その地位とか箔ってのは、その人が所属する狭い輪の中でしか通用しないのに。
【ストーリー】
ロンドン近郊の刑務所。無期懲役で服役中のフランクのもとに、疎遠となっていた娘が麻薬の過剰摂取で重体に陥った知らせが届く。愛する娘に一目でも会いたい一心で脱獄を決意したフランクは、受刑者仲間を集め脱獄計画を練り始めるのだが…。
外に出れないってこと以外は比較的自由度の高めな刑務所を舞台とした、邦題だけ見るとなんかセガールが出てきそうな脱獄サスペンスドラマ。メガホンを握ったのは、本作で注目を浴びたことが『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』の抜擢に繋がったとかいうルパート・ワイアット。
“成功するか否か”をサスペンスの軸として引っ張るわけでも、スプーンでコツコツ壁を掘ったり雑誌でダミーヘッドを作ったりする過程を細かく見せるわけでもなく、本来のクライマックスである脱獄シーンと、そこに至るまでの過程をほぼ同時進行で描く逆引き形式の構成が目新しい本作。重量感のあるキャストで“真の自由とは?”というテーマを描く、なんとも重苦しくなりそうな所を一定のリズムを維持することで回避し、“脱獄済み”を描いておきながらラストで思い切り引っくり返す荒技にも無理やり感を感じさせない、初長編とは思えない手際の良さが見事。
しかしながら、脱獄グループの中の過半数に脱獄する必然性が見当たらなかったり、極々中心のキャラクター以外はその人物像がさっぱり描けてなかったりと粗が目立つのも事実。その粗を奇抜な構成とキャスティングの妙でウヤムヤにする、小手先一発勝負的な印象が否めないのは残念だったなぁと。
主人公のフランクに扮したのは、『RED/レッド』『ウォーター・ホース』のブライアン・コックス。動揺する姿が似あわない腰の据わったイメージがある分、切羽詰まって脱獄を決意する慌てっぷりにある種の悲痛さが生まれたのかなぁと。
その他、「なんかジョセフ・ファインズに似た若造だなぁ」と思ったら本人だった『スターリングラード』のジョセフ・ファインズや、“フランクのためだけに”ってのをもっと深く描いて欲しかった『ドッグ・ソルジャー』のリーアム・カニンガム、『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE』のセウ・ジョルジ、逃げる必然性の塊だった『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』のドミニク・クーパーに、“ザ・卑劣漢”がドハマリだった『ジャケット』のスティーヴン・マッキントッシュら、重厚な顔ぶれが揃っているのが魅力。中でも、『ドリームキャッチャー』で頭の中に倉庫があったダミアン・ルイスの、宇宙人に乗っ取られっ放しかのような卑しく冷酷な悪玉っぷりは圧巻だったなぁと。
外に自由はあるが、自由は外にしかないってわけじゃない
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
セガールの新作じゃないかと勘違いしそうですが、これなかなか面白かったと思います
音楽も良かった!
脱獄計画は結構行き当たりばったりだったりするんですけど、ハラハラするところもありましたし…
優男風のボスならではの不気味さもありましたね(なんか、ジョジョとかにでてきそー)
トップに君臨している限りは楽しそうな監獄でしたねぇ^^;
ボス役のあの俳優は、ホント見事なボディスナッチャー顔でしたねぇ。なんか、中に邪悪な者が忍び込んでるみたいな。
>脱獄する必然性が見当たらなかったり
主人公には、そんな刑務所から脱獄しなきゃならない理由がはっきりしていましたが、たおさんが書かれているように他のキャラたちは・・・
ハリウッド映画だったら、他のキャラたちのその後がラストでたっぷり描かれたでしょうが、それが無くて良かったです(笑)
>その粗を奇抜な構成とキャスティングの妙でウヤムヤにする
本当にこのキャスティングは、色んな部分を補っていましたよね!
なんとなくついでに脱獄するって方ばかりだったんですが、そもそも刑務所からの脱獄ってのがメインじゃないんでこんなものなのかなぁと。
キャストが好みだったのが救いでしたねぇ。