2010年 イギリス映画 105分 ホラー 採点★★★
なんか当たり前のことですけど、ゾンビって“死体が動いてる”から怖いんですよねぇ。主流になったダッシュ系ゾンビも怖いんですが、あれの怖さってゾンビだからじゃなく、何かがダッシュで追っかけてくるから怖いんですよねぇ。あれだけの集団が猛ダッシュで追い掛けてくれば、生きてる人間でも怖いですし。“死体が動く”、そんな理屈の通じない薄気味悪さが重要。モラルとか常識とか、当たり前だと思ってたことが崩れ去っていく怖さってのが、やっぱりゾンビの怖さなのかなぁと。
【ストーリー】
ゾンビの発生とその増殖によりパニックに陥るアフリカ。その地を脱出せんと飛び立った米軍機は墜落、エンジニアのマーフィー中尉のみが生き残る。彼は米軍基地を目指し移動を開始。程なく息子を探す地元の兵士デンベレと出会い行動を共にするのだが、どの地もゾンビで溢れかえっており…。
“サバンナをゾンビがうろつく”って見た目は存分に変化球だが、内容はいたって真面目な本作。なんと言うか、けばい格好した真面目な子って感じ。ノロノロゾンビ特有の“死体が動いてます”感も上々で、やり過ごす気になればやり過ごせるが、そもそも死体がうろうろしている事自体が気味悪いって感じも非常に良く出てる。サバンナにゾンビが点在してる画は、絶望感とか哀しさとか世も末ってのを感じさせる強烈な印象を。気候柄かすかすに乾いたゾンビが出てきそうだが、程良く腐敗した傷跡も生々しい、これまた良く出来たゾンビメイク。どこか土着的な気味の悪さを持つ本作のゾンビは、象徴的な意味合いが強くドライなロメロ版ゾンビよりも、じっとりと湿ったフルチ版ゾンビに似た臭いが。
物語自体は二人の男がある場所を目指す一本調子のものなのだが、社会批判や寓話に走って下手に風呂敷を広げたりしないので、異常な状況下で生き延びようとする焦燥感やドン詰まりな心境が伝わり易い仕上がりに。燃料の少ないヘリに乗り込むような、絶望の中にほんの僅かな希望を匂わす締め括りも好み。変化球ゾンビ映画がいまだ多く作られてますけど、愛情持ってきちんと作ればオーソドックスゾンビにもまだまだ魅力とパワーがあるってのを証明してくれた、良いゾンビ映画でしたよ。
人類の誕生も終焉も同じ場所から
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邦題にだまされそうですね
のそのそゾンビがこんなに不気味だとは…
やっぱり歩くゾンビのほうがゾンビらしい気がしますね
意外とこの邦題も好きなんですけど、中身の真っ当っぷりを伝えるにはちょっとズレてるのかなぁと。
何はともあれ、真面目で良いゾンビ映画でしたねぇ。