2008年 アメリカ映画 113分 コメディ 採点★★★
若い頃の夢って、歳を取れば取るほど実現が難しくなってきますよねぇ。私の“東京ドーム2デイズ”って夢も、この歳じゃぁ実現できそうにありませんし。そもそも、何で“2デイズ”するかも決めてませんし。そう言えば、私の子供の頃なりたかった職業って、うちの母親が言うには道路工事の交通整理のおばさんだったらしいですねぇ。“おばさん”ってのに若干目をつぶれば、それなら今からでも夢を叶えられそうな感じが。

【ストーリー】
イスラエルの凄腕エージェントであるゾーハンは、日々パレスチナとの戦いに明け暮れていた。しかし、そんな戦いの日々に嫌気がさしたゾーハンは、ライバルのファントムとの戦いで殉職したように見せかけ、長年の夢であった美容師になるため秘かにアメリカに渡る。やがてダリアという美女が経営する美容院に雇われたゾーハンは、程なく彼女に恋心を抱くように。しかしダリアはパレスチナ人で…。

秘かに胸に抱いていた夢を実現するため奮闘する元スーパーエージェントの姿を描いた、『アダルトボーイズ青春白書』のアダム・サンドラーによるコメディ。メガホンを握ったのは、アダム映画と言えばお馴染である『ウソツキは結婚のはじまり』のデニス・デューガン。脚本に『素敵な人生の終り方』のジャド・アパトーも参加。
たんまりと放り込まれた下ネタとユダヤギャグ、80年代からやって来たかのような主人公とニューヨークのギャップが生み出す笑いなど、その見てくれはただ単に笑わせる為だけに作られたかのような本作。しかしながら、扱ってる題材は“イスラエル/パレスチナ問題”を筆頭に地上げやら夢の実現やらと、意外に重い。ただそこには、インテリがバカのフリをした嫌味さも、バカがインテリの真似事をした痛々しさもなく、「しかめっ面して考えてもどうしようもないくらいこんがらがった問題なんだから、ちょいとここらで頭空っぽにして笑いながらシンプルに考えてみようよ!」的な素直さが。真剣に深刻に考えるのも正しいけど、ここまで徹底的にハードルを下げて一般的にはバカバカしいと言われてしまう角度から考えるのも大切なのではと。重い問題も軽い問題も同程度に笑い飛ばす、コメディとして正しい姿勢が好きな一本。
主人公が主人公だけに、80〜90年代の楽曲が多く使われてた本作。ヒットした当時以来久しく耳にしてなかったロックウェルや、アダム・アントにエイス・オブ・ベイスらの楽曲が。ヒューマン・リーグの曲も流れてましたが、まぁさすがに“レバノン”ではなかったですねぇ。

ナチュラルな役柄が続いていたアダム・サンドラーですが、本作では久々に弾け切ったキャラ芸を披露。「いつ以来かな?」と考えてみたら、『リトル★ニッキー』以来だったりも。あらあら、随分と久しぶりで。ネタの大部分が下半身に集中してたアダムでしたけど、そこに過剰な卑猥さを感じさせず、どこか子供じみた滑稽さを感じさせるのは流石アダムだなぁと。それにしてもアダムって、『ウェディング・シンガー』でもそうだったんですが、80年代風の髪型や服装が非常に似あいますよねぇ。“時代錯誤”ってのを差っ引けば、いつも以上にカッコ良く見えたりも。
その他、アダムと絡むようになってから弾けっぷりに拍車が掛かった『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』のジョン・タートゥーロや、『クライモリ』のエマニュエル・シュリーキー、『ポルノ☆スターへの道』も楽しみな『ピザボーイ 史上最凶のご注文』のニック・スォードソンに、アダム映画のお楽しみである『がんばれ!ベンチウォーマーズ』のロブ・シュナイダーらが出演。しかしまぁ、ロブ。どんな人種にでも成り切りますけど、どんな人種に扮装しようがあの強烈さが一片も霞まないってのはスゲェなぁと。
また、マライア・キャリーやジョン・マッケンロー、『スター・トレック2/カーンの逆襲』のジョージ・タケイに『ロンゲスト・ヤード』のクリス・ロック、『チャックとラリー おかしな偽装結婚!?』のケヴィン・ジェームズなど、豊富なゲスト陣も楽しめる一本で。

ザックリと突き詰めれば、これが理想
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こてこてアダム・サンドラーな作品は、苦手な人にはどうにも駄目なようですが、慣れちゃえば言うこと無しの楽しい作品だと思います!
アダム映画を見ると、頼まれもしないのに必ずロブ・シュナイダーとアレン・コヴァートを探してしまうんですよねぇ・・・
ラブコメのアダムは好きだけど、本職のアダムは苦手の方って結構多いんですよねぇ。なんか、天下一品のあっさりは好きだからコッテリに文句を付ける、本末転倒な感じもしますけど^^;