1987年 アメリカ映画 110分 戦争 採点★★★
中学の時に英会話の先生として出会って以来いまだに交流のある元アメリカ陸軍の方がいるんですが、当時一緒にこの映画を観た時に、「“ハンバーガー・ヒル”ってのは聞いたことないけど、朝鮮戦争の頃“ポークチョップ・ヒル”ってのがあったなぁ」って言ってましたねぇ。戦場に肉料理の名前が付くと、なんとも生々しいなぁと思ったもので。
【ストーリー】
1969年、南ベトナム。戦況が激化する中、フランツ軍曹らの部隊は937高地へと送られる。激戦のあまり兵士が挽き肉状にされてしまうことから“ハンバーガー・ヒル”と恐れられている場所で、最も過酷な10日間が幕を開け…。
『プラトーン』の大ヒットを受け、雨後のタケノコの如く製作されたリアル系ベトナム戦争映画群の中でも一際輝きを放っていた、『戦争の犬たち』のジョン・アーヴィンによる一本。
ストーリー性を一切排除し、ひたすら過酷な戦闘を描くことで戦争の悲惨さや無常さを描いた本作。過酷な割に作戦そのものの目的が見えない様にも、戦争の不毛さや上層部と現場との遊離っぷりを伺わせている。また、断片的な会話や日常描写によって国の為にその身を捨て戦っているにもかかわらず、国内では全く歓迎されていない理不尽な社会状況や、戦争に行かざるを得ない環境に置かれた若者たちの現状を浮かび上がらせる手法が上手い。戦争を通して人間ドラマを描いた『プラトーン』に対し戦争そのものを描こうとした本作は、『プライベート・ライアン』に対する『ブラックホーク・ダウン』のような存在だったのかと。
ほとんど見えない敵に向かってひたすら丘を登ったり降りたりするだけの本作だが、腕がもげてモツがはみ出し、顔面が盛大に破裂するなど豊富なショック描写で展開を単調にしないのも魅力の本作。新兵を説教している背後から、ロケット砲構えた泥だらけのベトナム兵がにじり寄って来る珍妙なシーンもあるが、これまた魅力の一つかと。
無名の若手が演じる事でリアリティを生みだしてた本作ですが、今観ると意外な顔ぶれがチラホラと。
頼れる軍曹役に扮した『ゴースト・ハウス』『ザ・シークレット・サービス』のディラン・マクダーモットを筆頭に、『スティーヴン・キングのデスペレーション』のスティーヴン・ウェバー、『ファイナル・デッドブリッジ』のコートニー・B・ヴァンスらが出演。
中でも目玉は、やっぱり『アイアンマン2』『クロッシング』のドン・チードルかと。これといって印象に残る役柄ではなかったんですが、一目でドン・チードルと分かるその変わってなさに驚いたなぁと。25年も前なのに。
そう言えば、ベトナム戦争映画ってロックがガンガン流れてるイメージがあるんですけど、本作で流れてたのはオーティス・レディングやパーシー・スレッジ、テンプテーションズにスペンサー・デイヴィス・グループとソウルミュージック寄りだったのが印象的だったなぁと、最後に記しておこうかと。
忘れたい戦争の忘れちゃいけない人たち
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グレゴリー・ペックの「勝利なき戦い」という映画がポークチョップヒルの戦闘を扱った映画です。
私はこの「ハンバーガーヒル」を見たとき、「勝利なき戦い」をベトナム戦争でリメイクしたと感じました。
あぁ、やっぱり映画になってたんですねぇ、ポークチョップ。機会があったら観てみたい気が。