1981年 アメリカ映画 94分 ホラー 採点★★★★
名作だけではなく忘れかけられていた過去の逸品がソフト化されるってのは、やっぱり映画ファンとしては嬉しい限りですよねぇ。ただまぁ、「出したからいいでしょ!」って残念な仕様の物が多いのも事実。わざわざ旧作を大枚叩いて買う人ってのは、その作品をより深く楽しみたい/知りたいって心理があるっていうのに、そこを全く無視する姿勢ってのはホントどうかしてるなぁと。
【ストーリー】
小さな港町、ポッターズ・ブラフ。その静かな町でよそ者ばかり殺される連続殺人事件が発生。保安官のダンが捜査を開始するが手掛かりは一向に掴めず、事件は混迷を極めるばかり。しかし、この事件の背後に善良な町民たちに隠されたある秘密があり…。
『スペースバンパイア』のダン・オバノンも脚本に参加した、『WANTED/ウォンテッド』のゲイリー・A・シャーマンによるホラー・ミステリー。主演に『ファイナル・カウントダウン』のジェームズ・ファレンティノ、共演は『フラッシュ・ゴードン』のメロディ・アンダーソンに『ポセイドン・アドベンチャー』のジャック・アルバートソン。その他、『パラダイム』のリサ・ブロントや『2001人の狂宴』のロバート・イングランドの顔も。
様々なタイプのホラー映画が花開いた80年代においても、その捻りの効いた物語と、『プレデター』のスタン・ウィンストンによるパンチの効き過ぎた特殊メイクによって埋もれることなく異彩を放ち続けていた本作。ムード重視の若干まったりとした展開の合間合間に、“人間丸焼き!”“長い注射針を眼球にブスリ!”“鼻から濃硫酸を流し込まれて溶ける顔面!”といった強烈なゴア描写を挟みこんでメリハリを付けるバランス感覚も見事。
“ゾン”と来て“ゲリラ”で締めるインパクト重視の邦題もあってか、よくあるゾンビ映画の一本と思われがちな本作。確かにゾンビ映画ではあるのだが、生ける屍が生者をムシャムシャ食べるロメロ系のゾンビと言うよりは、ヴードゥーベースの古典ゾンビ風味が強い一本。その古典的な題材が、霧が立ち込め霧笛と鐘の音が鳴り響く港町を舞台に、死者の蘇りに取り憑かれた男が暗躍するラヴクラフト的なモチーフにマッチし、独特の雰囲気と物悲しさに包まれた一本に。何度観ても唸らされるラストの捻りもさることながら、犯人を早々に明かしておきながらも持続するミステリーの面白さも上手いなぁと。
で、本作。近々日本でもブルーレイが発売されるってんで小躍りして喜んだんですけど、仕様を見てみるととても喜べる代物ではないようで。アメリカでは2009年にブルーレイが発売されてるようなんですが、そちらがdts-HDの7.1chサラウンドに3種の副音声、スタン・ウィンストンやロバート・イングランド、ダン・オバノンらによる特典映像にスチルギャラリーと非常に豪勢な仕様であるのに対し、今度出る日本版の音声はドルビーデジタルステレオ、特典もおそらくなしというブルーレイとは思えぬガッカリ仕様。表記ミスだとは思うんですけど、ランニングタイムが90分と短くなってるのも気になるところ。こんな仕様で作品のファンがわざわざDVDからブルーレイに買い替えると思ってる神経が信じられない。
そもそもこの作品、DVDの時の仕様格差も酷い。私が今持ってる2009年にビクターから再販された代物は、ステレオ音声に特典なしのガッカリ仕様の物。一方、アメリカで2003年に発売された2枚組の限定版は、ブルーレイ版同様の特典にdts-ESの6.1chの音声という豪華仕様。値段も20ドルを切る思いやり価格。なに、この格差?
「豪華特典にすると値が張るしー、そーすると売れないしー」って言い訳もあるのかも知れないんですけど、最初にも書いたようにこの手の作品を買いたい人って、「話題作だからとりあえず買おー」ってのよりもコレクター気質が強い人だと思うんですよねぇ。そういう買い手の心理を全く理解しないで商売しようって姿勢がまず違うんじゃないのかいと。“良い物”は売れるんだから、まずは良い物を出そうよと。そんな事を言っちゃうと、ロード・オブ・ザ・リングの時みたいに常識外れの価格設定をされちゃいそうなんで、“物に合った値段で”と付け加えておきますが。
地元では普通のことでも、よそ者にとっては異常なこと
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当時確か『V-ZONE』だか『ファンゴリア』だかで紹介されたのに燃え、やっとこさレンタル店に入荷されたのを観て、確かに面白かったんですけど当時のVHS版はゴアシーンのいくつかがカットされてたような記憶があったりしますが、ゴアシーンがカット&モザイク処理された『サンゲリア』だったっけかな?に比べるとマシだよなぁ… とか思ったものですが、隔世の感ですわ… ってのはさておき、やっぱ個人輸入しませう! アニメのソフトが買ってもらう為にセル版のみにしたり追加シーンや映像特典、作画修正やドラマCD等の買ってもらう為にあれこれ努力している昨今と比べると日本での映画、特に昔の作品の小品としての手の抜き方は酷過ぎますよ…
ゴアシーンがカットされてたのは、サンゲリアだったかもしれませんねぇ。劇場でゴアシーンになるとネガ反転してたのが、確かゾンビと悪魔の毒々モンスターだった気が。
にしても、ホント日本のソフト産業の愛の無さには呆れますよねぇ…。私個人だけなら個人輸入で問題ないんですけど、みんな個人輸入して日本のソフトがますます衰退するのも、ちょっと悲しいかなぁとも。もっと頑張って欲しいですねぇ。
あ、今度出る『死霊のえじき』のブルーレイは、結構マシな感じでしたが。アンカーベイ版まんまですけど。