1982年 アメリカ映画 115分 ホラー 採点★★★★
ボク、トビー・フーパー。コツコツとホラーを作り続けてようやく手にしたビッグチャンス。スピルバーグと一緒にハリウッドの大作だ!この機会を与えてくれたスピルバーグの顔に泥を塗らないよう、自己主張を抑え目に脚本通り撮ったというのに、皆して「あれはスピルバーグが撮ったんだぁ!トビーは寝てたんだぁ!」とヒドイ言い様。なんだい?主人公がチェーンソーでも持ってないと、ボクの映画っぽくないのかい?

【ストーリー】
郊外の新興住・地に住む若き一家。ある夜、突然幼い末娘が行方不明に。必死に探し回る両親の耳に、TVの中から助けを求める娘の声が。娘を救おうとする一家の前に、想像を絶する怪現象が立ちはだかる。

「スピルバーグが乗っ取った」「トビー・フーパーがラリってたから、已む無くスピルバーグがメガホンを握った」と散々な言われようをしている作品だが、スピルバーグ製作・原案・脚本の作品にスピルバーグ臭を感じさせない方がおかしい。チェーンソーを持った大男やワニが出てこない失望感もあったのであろうが、ギラギラした色彩の割にディテールの細かい仕事振りは明らかにフーパーっぽい。「ゴアシーンだけはフーパー」との説も根強いが、最近でこそ認知され始めたがスピルバーグのゴア趣味は相当なもので、本作でも顔面の肉を引き裂くシーンをスピルバーグ自ら嬉々としてやってたりもする。“フーパー=ゴア、スピルバーグ=ピュア”って決めつけ自体、失礼な話で。まぁそれでも、物語自体はやはりスピルバーグ作品であり、演出に徹したトビー・フーパー臭をそこから汲み取るのは困難なんですが。

『未知との遭遇』の幽霊版とも言える本作。実際に報告された事象を細部までにわたり再現するマニアックさ、子供にしか見えない存在が眩い光のドアから現われ子供を連れ去る描写も、それによって一家が精神的にも経済的にも追い詰められる展開も同じだ。しかし後に「子供っぽ過ぎた」とまで言った、スピルバーグ自身の強い自己投影であり、自らのロマンの為に家族を捨ててまで旅立った『未知との遭遇』の主人公の行動への反省もあってか、本作の家族は怪異によってより一層その絆を強めていく。“家族”に対する強い卒望があるのか、キャロル・アンと母親が霊界から脱出するシーンは出産をも思わせ、核家族化が進む現代を象徴する若い主人公一家を助ける科学者や霊能力者は、まるで頼れる祖母の様な存在で描かれているのも印象深い。『未知との遭遇』同様自らの子供時代を強く投影した作品『E.T.』を本作と同じ年に製作し、それ以降“大人の作家”として歩みを新たにするスピルバーグの転換期が垣間見えると言うのは、言いすぎだろうか?“大人の作家”の足掛かりとして後年製作する『オールウェイズ』のオリジナルである“A GUY NAMED JOE”が、さりげなく劇中で使用されているのも象徴的だ。

後にシリーズ化された本作だが、作品毎に主要キャラクターを演じた俳優が死んでしまうことでも話題に。本作の完成後に交際相手によって殺害されてしまった長女役のドミニク・ダンの事件も衝撃的であったが、シリーズを通しその愛くるしさを振りまいていたヘザー・オルークの早過ぎる死の衝撃の大きさは相当なものであった。だからと言って、“呪われた映画”の冠が付くのもどうかと思いますが。
ILMによるド派手なエフェクトも目を見張るが、そのエフェクトが映えるのはやはり俳優陣の好演があったからのこそ。男親の存在感が薄いのはスピルバーグ作品の特徴であるので、然程クレイグ・T・ネルソンは印象に残らないものの、逆算すると16歳で子供を産んでいる設定となるツワモノお母さんを演じるジョベス・ウィリアムズの、強さと弱さを同時に見せることの出来る等身大の存在感が、この作品を数多のホラーから一線を画す作品に仕上げている。
因縁話を絡めた二段構えのクライマックスにやや冗長な感じも拭えないが、それでも、ジェリー・ゴールドスミスによるオルゴールを思わせる淡いメロディから不穏な旋律へと変化していく音楽の素晴らしさも相まって、何度鑑賞しても飽きさせない力強さを持つ作品に仕上がっているのには変わらない。

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今度借りてこようって、レンタルにあったかな?←ヲイ
細かいところ忘れちゃってるわ。
「3」をよく覚えてるんだけどね。
懐かしいでしょー
レンタル店にもまだ結構置いてるから大丈夫ですよ。中古屋さんでも投売りされてますし^^;
見ましたわヨ(笑)
子供の頃にみた怖さなんて吹き飛んじゃって、なんか遊園地の怖いアトラクションみたいで面白かったです。流石にそこまで記事に書けなかったから「遊び心もあるホラー」なんて濁して書いたけど(^o^;
ヘザー・オルークは、ほんとに可愛かった。彼女の若すぎる死はとても残念です。
観ちゃいましたねw
スピルバーグが関わっていると、ついつい文章が堅苦しくなっちゃいましたが、ホント遊び心の満載だった作品ですよねぇ。
可愛いんですよねぇ、ヘザー。。。