2009年 香港映画 86分 サスペンス 採点★★★
どう見ても事件性ありありなのに、自殺や事故として処理されるケースがあるとか。怖いですねぇ。そう処理せざるを得ない事情があるってのも怖いですけど、「なんか捜査すんの面倒くせー!」ってんだったら、それはそれで怖いなぁと。
【ストーリー】
偶然の事故に見せかけターゲットを確実に消し去る、ブレイン率いる4人の暗殺集団。しかし、ある依頼の遂行中に、仲間の一人が事故死してしまう。「それは本当に事故だったのか?」と疑念と疑心暗鬼に陥ったブレインは、自分を狙う何者かの存在を調査し始めるのだったが…。
『ザ・ミッション 非情の掟』のジョニー・トー製作で贈るノワール・サスペンス。メガホンを握ったのは、トー作品で第2班監督も務めたことがある『ドッグ・バイト・ドッグ』のソイ・チェン。
事故を装って暗殺する特殊過ぎる職業と環境ゆえに、自分の身に降りかかった事故を単なる事故に思えず疑心暗鬼に陥る様を描いた本作。狙った方向性は『カンバセーション…盗聴…』なのかと。しかしながら、なんとも全体的にボンヤリ。“ピタゴラ暗殺集団”ってアイディアは非常に面白いのだが、その手法に“偶然狙いの一発勝負”的な雰囲気を出してしまっている為、主人公らに降りかかる“事故”が「圧倒的な緻密さや高い技術力によって作り出された“事故”かも?」という説得力が生まれず、観る側を巻き込みきれていないってのが惜しい。
ただまぁ、観ている側まで息苦しくなる主人公のパラノイア的な様や、低い温度で統一された映像美、全てが明らかになる無常なオチなど見所も多い作品ではあったので、なんだかんだと楽しめた一本ではと。
ピタゴラ暗殺集団のリーダー“ブレイン”に扮したのは、『コネクテッド』『導火線 FLASH POINT』のルイス・クー。緻密に計画を練り上げ、確実にターゲットを始末する冷静沈着さと怖さってのを感じさせる一方で、一旦歯車が狂い始めると仄かに醸し出し始める“情けなさ”ってのを非常に巧く出せる役者だなぁと。
その他、『ブレイキング・ニュース』のリッチー・レンや、『エレクション』のラム・シュー、『新Mr.Boo!アヒルの警備保障』のフォン・ツイファン、『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』のミシェル・イェらも出演。中でも“ふとっちょ”に扮したラム・シューは絶品。ルイス・クーとは逆に、だらしなさや情けなさの中に“凄味”や“怖さ”を出すのが上手いラム・シューがいたからこそ、ちょいと突飛さが目に付く本作にある種のリアリティが生まれたのかなぁと。まぁ、そのラム・シューにおんぶに抱っこってのも少なくなかったこともあってか、彼の退場と同時に映画の面白味も退場しちゃうって残念感も大きかったんですけど。
どんな事故も大体は“意外”
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
とにかく尺が短いのがいいですよねー
余計な部分を削ぎ落として描かれた心理描写が巧みだったと思います
ちょっとラストの疑惑が間違いだった事を悟る展開は弱いですけど、それも含めてソリッドな展開が魅力的でした!
「撤収」「撤収」のシーンが好きだったり…。
狙いも悪くないし、追い詰められっぷりも良く出来てた作品でしたねぇ。
これでピタゴラ暗殺団に説得力があれば…^^;