1980年 アメリカ映画 80分 パニック 採点★★
地上波のTVで映画を観ることがめっきりと減った最近。だって、放映されるのが最近の話題作ばかりですし。劇場に足を運ぶかTVで観る以外に映画を観る機会のなかったその昔は、選択肢の全く与えられない有無を言わさぬラインナップに心を躍らせたもの。TVでその存在を知った作品も多かったですし。中でも夏休みの時期に企画された“ホラー/パニック特集”は毎年のお楽しみで、必ず『血に飢えた白い砂浜』が挟まれる変わり映えのないラインナップとはいっても、親を説得しながらTVにかじり付いてましたよ。
【ストーリー】
缶詰工場誘致の反対派と賛成派が争う漁村に怪物が出現。さぁ、大変。

環境問題と人種問題を絡めてはいるが、そんな大それた問題提議を微塵と感じさせない怪物映画の快作。なんせ、怪物の目的は人間との交尾ですから。そんな交尾好きの怪物の造型と生態にクトゥルー神話をも髣髴させるが、あくまで髣髴させるだけで特に言及はない。だって見所はそんな所じゃなく、大量と言いつつもワンフレームにせいぜい三匹映る程度の怪物の大群が暴れまわるクライマックスにあるので。
上陸しちゃってはいるが海の怪物だけあって、『ジョーズ』めいた描写も多い本作。海中から怪物視点で人間に近づいてくる描写はなかなかのものなのだが、その怪物視線が追いかけまわるのは女性のお尻ばかり。さすが、交尾しに来ただけはある。その長すぎる感のある腕も、男性に対しては情け容赦なく肉を引き裂くが、女性に対しては水着しか剥ぎ取らない思いのほか高性能。全編に渡り怪物とオッパイと血飛沫しか映らない、男子中学生にとって夢のような一本。

ロジャー・コーマンが製作に携わっているだけあって、目に見えて低予算の作品なのだが、才能と夢に溢れる若者をこき使うことに長けたロジャー・コーマン作品だけあって、将来の出世頭がチラホラと。と言っても3人ですが。
同じコーマン組出身のジェームズ・キャメロン作品から、最近ではマイケル・ベイ作品まで手掛けるマーク・ゴールドブラットの編集は、この頃から見せるべきものしか見せないいい仕事を。もちろん本作における“見せるべきもの”は、怪物とオッパイと血飛沫ですが。
今では大御所ながらも、『ロケッティア』『フォーガットン』『マイティ・ジョー』『フライトプラン』と、作品を選んでいる様子の全くない音楽のジェームズ・ホーナーのその精神も、コーマン時代に築かれたんでしょうねぇ。いい心がけです。で、本作における最大の注目株は、嵐で逃げ出した遺伝子操作をされたサケを食べて突然変異を果たしたシーラカンスという、回りくどい怪物を製作した『遊星からの物体X』のロブ・ボッティン。自らモンスタースーツを着込んで女の子のお尻を追い回す楽しいそうな仕事振り。デザイン的にはワカメ付きの半魚人ですが、まぁお金がなかったということで。

女♪女♪女♪女♪
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