小さき勇者たち 〜ＧＡＭＥＲＡ〜

監督　田崎竜太　主演　富岡涼
2006年　日本映画　96分　特撮　採点★★★

「こんな怪獣映画が観たかった!!」と唸らせた平成ガメラシリーズ。“怪獣はおっきくて怖い”という基本を思い起こさせた怪獣表現の素晴らしさのみならず、現実に怪獣が現われた場合の国家の動きをシュミレーション視点で描き、その空想と仮想に絡む人物ドラマも満足のいく出来であった。シリーズを通しボンヤリと人間の味方として描かれていたガメラが、あくまで地球環境の守護神であり、環境を破壊するものであれば人間とも敵対する存在であることが明かされる最終作にも驚愕したもの。そんなガメラが忘れかけてた頃に復活。“ボクの夏休み／巨大カメとドコデモ一緒”として。



【ストーリー】
母親を事故で失ったばかりの少年・透は、ある日海岸で卵を発見。すぐさま生まれてきたカメに“トト”と名付けるが、トトは日に日に巨大化。空も飛ぶし、火も吐く。大人たちには内緒でトトを飼い続ける透だったが、トトが行方不明に。必死に探し回る透たちの前に巨大な怪獣が出現。人々が逃げ惑う中、その怪獣の前にもう一匹の怪獣が立ちはだかる。



亀という生き物が存在しない世界を舞台にシビアな展開を貫いた平成版ガメラから一転し、“子供の味方”であった昭和版にやや立ち返った本作。昭和４０年代と言ってもそのまんま通用しそうなノスタルジックで美しい港町を舞台に子ガメラとの交流を描く前半部は、子ガメラの愛くるしさと相まって非常に好印象。「あのカメ欲しい！」と強く物語にのめり込んだのだが、“子供にしか出来ないこと”“子供には出来ないこと”を描く本作における“子供には手に負えない存在”ジーダスが思いのほか早く登場してからは、延々と怪獣バトルに。怪獣バトルの出来自体は非常に良く、“怪獣は巨大で怖いもの”として描かれる表現も、名古屋のツインタワーにはカメが突っ込む明らかに９１１を意識した表現も、その合間に繰り広げられる子供リレーも悪くないのだが、いい味わいを持っていた前半の交流物語の煮詰が足らないため噛み合せが悪く、残念ながら双方ともに中途半端な印象に。
“母親を失った少年”“可愛い異生物”“ちょっと年上の幼馴染は美少女”“しかも病弱”と、可能な限りベタな要素を詰め込んだ前半部。ベタな要素は、とことんベタな演出をしてこそ活きてくるものなのだが、気恥ずかしさからか、逃げるようにガメラを大きくしちゃった印象も。怪獣映画の枠に囚われず、思う存分この交流部分に比重を置いたアプローチでも良かったのでは？
相手がガメラとはいえ餌を与えている様子が全くないのは、飼い主としてどうだろうとも思いましたが。



海からやって来るトカゲっぽい人喰い怪獣と言えばアチラさんの『ゴジラ』を思い起こさせるが、コチラさんのボロ雑巾を纏ったようなジーダスも、デザインがちょっとまぁ、よく言えば怪獣っぽい。そんなジーダスも、山田花子っぽい主人公をも凌駕するのが、子ガメラの可愛らしさ。ただし、手のひらサイズ時代限定。大きくなっちゃうと、なんか輪っか型の火を吐きそうなドンヨリとした目つきの大亀になってしまうのだが、生カメにちょっと加工した子供時代はひたすらに可愛い。あんなフワフワと浮きながら「クークー」鳴いてついて来るカメなんて飼ってたら、私だったら誰にも教えず、「ウフフ、アハハ」と部屋に篭りっきりになること間違いなし。あ、隣の美少女には教える。
出刃包丁をギロンに見立てるお遊びをやるんだったら、せっかく海辺の町なんだからイカを出せばいいのにとの不満もあったが、カメの可愛さと、やっぱり名古屋は地上より地下に人がいっぱいいることを確認できたので、★ひとつオマケで。


餌をやんなきゃ、そりゃ逃げる

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Comments

こんにちは！
DVD買おっと！
ガメラが刺さったビル、修復されたのを確認しに行きました

Posted by 猫姫少佐現品限り at 2006年11月06日 13:36

たおさんこんばんわ♪ＴＢ有難うございました♪

子供リレーは何も考えずに見ると感動を覚えますが、良く観察してみるとやはり変な印象を受けますね。なんか赤い石に子供達が操られているんじゃないかと思うくらい都合よく現れるんですよね・・（汗

でも子供はそんな細かい所気にしないと思いますしね。言うだけ野暮ですね(＾▽＾;)

Posted by メビウス at 2006年11月06日 19:50

猫姫さまこんばんは〜♪
行っておりましたねぇ、名古屋へ。
直ってましたねぇ、ビル。名古屋人は仕事が早いです！

Posted by たお at 2006年11月06日 21:17

メビウス様こんばんは！
矛盾も何も考えさせないだけの力強さが前半にあれば問題がなかったんでしょうが、中途半端にベタをやっちゃったおかげで全てが宙ぶらりんになっちゃった印象も。どうせなら全編９０分中８０分は交流部分に割振るくらいの思い切りのある構成にした方が良かったのかなと。

Posted by たお at 2006年11月06日 21:22

初めまして。
ＴＢありがとうございました。

Posted by まりん at 2006年11月06日 21:54

トラックバックありがとうございました。こちらからもトラックバックさせていただきました。

Posted by 市 at 2006年11月07日 00:23

まりん様、市さま、こちらこそコメント＆ＴＢありがとうございました!!

Posted by たお at 2006年11月07日 02:34

　こんにちは。突然のコメント恐れ入ります。
「ガメラ医師のBlog」管理人のガメラ医師と申します。「小さき勇者たち〜GAMERA〜」の関連情報収集Blogを更新しております。
　この度、DVD鑑賞・感想記録の収集中にこちらのエントリーを拝見し、拙Blogにて引用・ご紹介させて頂きましたので、遅ればせながらご挨拶に参上致しました。
　真摯なご意見に賛同する部分を多く感じました。
　差し支えなければ、拙Blogもご笑覧頂ければ幸いです。それでは失礼いたします。

Posted by ガメラ医師 at 2006年11月07日 18:02

ガメラ医師さまこんばんは！
辛口に書いているつもりは全くないのですが、そこは私の表現力不足で＾＾；
こんな駄文を引用していただき、嬉しいやら恥ずかしいやらで。

Posted by たお at 2006年11月08日 02:21

　再びこんにちは、のガメラ医師でございます。
　エントリーの構成上から余計なマクラを振りまして、誠に失礼致しました m(_ _;)m
　ガメラ狂いの戯言と、どうか笑ってお許し下さいませ…（大汗

Posted by ガメラ医師 at 2006年11月09日 16:58

TBありがとうございました。
気付くのが遅くなって申し訳ありません。
子ガメのころはホントに可愛かったですね。
こちらの記事を読ませてもらったらアフェにE.Tとのび太の恐竜があるのも笑いました。
ちっちゃくて怖くない怪獣映画･･･。ウルトラＱとかのノリですかね。
余談ですが、最近の名古屋人は昔に比べるとよく地上に出没するようです（笑）

Posted by ぽたます at 2006年11月09日 23:31

あらあら、ガメラ医師さまご丁寧に＾＾
そんなつもりは全然ないのに「辛口ですねぇ」とよく言われているブログなので、やっぱそうなのかなぁと思っただけで＾＾；
お気になさらずに♪

Posted by たお at 2006年11月10日 01:28

ぽたます様こんばんは！
すっごく可愛かったです、カメ！ぷわぷわと浮いちゃって！
あら。名古屋人はもう地下にいないんですか!?それはそれで、ちと寂しい。

Posted by たお at 2006年11月10日 01:33