2011年 ドイツ/カナダ/アメリカ映画 83分 コメディ 採点★★★
田舎に住んでいて不便だなぁと思うことは色々とありますけど、近所にピザ屋が一軒もないってのもその一つですねぇ。一番近いピザ屋がもし配達してくれるとしても、注文後到着が2時間後とかになりそうですし。こっちに戻って来る前までは、休日と言えばLサイズのピザにバケット一杯のフライドチキン、1.5リットルのコーラをテーブルに並べて、日長一日カウチに横になりながらDVDを観て過ごすってのが楽しみだったんですけど、もう何年もそんな休日を過ごしてないですねぇ。
【ストーリー】
“宝くじで大金を手にした父親を殺そう→殺し屋を雇おう→殺し屋への報酬10万ドルを誰かに用意させよう→じゃぁピザ屋に!”ってな計画を思い付いたドウェインとトラヴィスに捕らえられ、時限爆弾を巻き付けられてしまったピザ配達人のニック。友人チェットの助けを借り、銀行強盗で10万ドルを手に入れたのだったが…。
『ゾンビランド』のルーベン・フライシャーによる、なかなか危険なネタを放り込んだブラック風味なコメディ。製作には『ミート・ザ・ペアレンツ3』のベン・スティラーの名も。
否応がなしに首輪爆弾事件を思い出させる“ピザ配達人に爆弾仕掛けて強盗させる”って言う物騒なネタを軸に、怠惰な生活を送っていた青年が自身の人生を見つめ直し成長する様を描いた一本。人生を変えるには、背中をこれだけ強烈に押してもらわないとダメだってことですかねぇ。そんな様を、細かい映画ネタの数々やコンビの掛け合いの妙で描いた本作。まともな思考回路を持つ人間が誰一人居ないが故に事態が歪んでいく展開も非常に面白く、どんな状況でもだらだらしたダメ人間が生み出す笑いも好みってのもあって、最後までケタケタ笑いながら過ごせた一本で。
ただまぁ、楽しかったのはその場その場のネタのみって感も。なんと言うか、“ダメ人間の成長を後押しする時限爆弾”って強引な仕掛けを、単発の笑いで誤魔化してるみたいな。ある意味爆弾の助けを借りる形で好きな人に想いを告白したり、ダラダラ続けていたバイトを辞めることが出来てるので“再出発”って物語が完成しかかるんですけど、結局強盗して丸儲けって所に着地しちゃうんでなんか台無し。王道な笑いとブラックの笑い両方手にしようとした欲張り具合が、全体的に浅くてシックリこない結果に繋がったのかなぁとも。
主人公のピザ配達人に扮したのは『ゾンビランド』に続いてルーベン・フライシャーとのタッグになる、『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグ。神経質そうでいながら覇気もない、そんな今時の若者役がハマる彼だけに、進んで行動はしないくせに愚痴だけは一人前の主人公にピッタリのキャスティング。具体的にどこがってのは自分でも分からないんですが、彼を見てると若い頃のダスティン・ホフマンを思い出したりも。
一方、友人のチェットに扮したのは、『40男のバージンロード』のアジズ・アンサリ。けたたましく喋る芸風は好みが分かれる所だとは思うんですが、私のツボにはハマってしまったこともあって、本作で面白かった部分はほとんど彼のパートだったりも。
また、彼らに強盗をさせるダメ人間コンビには、『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』のダニー・マクブライドと、『ウソツキは結婚のはじまり』のニック・スウォードソンが。『俺たちステップ・ブラザース -義兄弟-』でウィル・フェレルとジョン・C・ライリーが演じた義兄弟を更にダメにした感じが絶品だったので、このコンビで一本作ってもらいたいなぁと。
その他、『世界侵略:ロサンゼルス決戦』のマイケル・ペーニャや、『10日間で彼女の心をうばう方法』のフレッド・ウォードらが出演。なんだかんだと“我らがレモ”ことフレッド・ウォードの出演作を、コンスタンスに観れているってのが嬉しかったりも。
とどのつまり“ピザ配達人<銀行強盗”ってこと?
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駄目な若者コンビと、いまだに独り立ちして無い駄目な元若者コンビの、勢いと浅はかなその場の思い付きでの行動と間抜け具合が楽しかったので、見ているこちらも、とりあえず笑えたからまぁいいんじゃない?と言う感じで(苦笑)
>このコンビで一本作ってもらいたいなぁと
賛成!!
細かい部分も含めなかなか面白かったんですが、物語がしっかち閉じきれてない印象もあったんですよねぇ。ちょいともったいないなぁと。