2003年 香港映画 107分 アクション 採点★★
“アイドル映画”って、演技がまともに出来ないアイドルであっても、その本人が持つ輝きを更に際立たせる舞台を作り手がしっかりと用意してこそ成立する物だと思うんですよねぇ。普通の映画にアイドルをただ放り込んでも、演技の酷さが単に目立つだけですし。まぁ、“親しみやすさ”と“安っぽさ”を履き違えてる昨今のアイドルにその輝きがあるかどうかってのもそうですけど、「アイドルだから、まぁこんなもんで」と作り手も受け手もハードルを下げてしまってるのも問題だとは思うんですが。
【ストーリー】
ヴァンパイアハンターのリーヴに新しい助手のジプシーがメロメロになってたり、リーヴの妹ヘレンとジプシーが喧嘩してたり、ヘレンの新しい彼氏カザフが吸血鬼一族の王子様だったりしてテンヤワンヤな最中、昼も歩けるようになるっていう秘伝の書を狙う悪い吸血鬼が現れて大変だって感じの物語。
当時人気絶頂にいた香港のアイドルユニット“Twins”を主演に迎え、アクション監督を『かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート』のドニー・イェンが務め、クレジットはされてないがジャッキー・チェンもスタントにひと噛みする鉄壁の布陣で作り上げられた、ヴァンパイア・アイドル・アクション。
ドニー・イェンが『ブレイド2』気分抜けきれぬまま参加したからかどうかは定かじゃありませんが、要は“Twins版ブレイド”な本作。“イケメン吸血鬼ハンターと新人助手のロマンス”ってのと“私の彼は吸血鬼の王子様!”っていう、なんか少女マンガみたいなネタをメインの軸に、アイドル映画の範疇を優に越えてしまっているアクションと笑いを詰め込み、若い娘の騒々しさをたんまりと放り込んで煮詰めた闇鍋的な一品に仕上がっている。なんともけたたましい闇鍋で。
その味わいの珍妙さもさることながら、ゲスト出演であるはずのジャッキーと『エンター・ザ・フェニックス』のカレン・モクのシークエンスが異様に長かったりする、大人の事情が見え隠れするアンバランスさは気になる所であるし、あれこれ放り込んだネタも詰め込んだだけって甘さも。ただまぁ、映画の良し悪しだけでは測れないエネルギーというか勢いがあるってのも事実で、老体には若干堪えますがこの騒々しさは否定できないなぁと。
遠目で見てる分には可愛いが近寄られたら鬱陶しいことこの上ない主人公二人に扮したのは、『ドラゴン・プロジェクト』のジリアン・チョンと、『妄想 diary』のシャーリーン・チョイ。色んなものが弾け切った若さ溢れるこの騒々しさには恐怖すら覚えちゃいますが、今となっては例の一件のせいで観ていて切ない気分に陥る瞬間も。
その他、なんか長い髪を風になびかせてる印象ばかりある『風雲 ストームライダーズ』のイーキン・チェンや、『コンテイジョン』のジョシー・ホー、まぁ被害者でもあるんですけど、やっぱり見る度に腹立たしさが募ってしまう『呪怨 パンデミック』のエディソン・チャンらがキャストの中心に。
もうこれだけでも充分豪華なんですが、それで済ませないのも本作の魅力。先に挙げたジャッキーとカレン・モクが絶妙なコンビネーションで、前後の流れからは浮いてはいるが大人の笑いってのを見せつけてくれているし、なんと言っても『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』のアンソニー・ウォンが、弾け過ぎてバラバラになりそうな本作をしっかりと締める良い仕事を見せてくれてるのが嬉しい限りで。
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