2010年 ブラジル映画 115分 アクション 採点★★★★
どんなに崇高な目的があって志の高い人たちが集まったとしても、人と物が複雑に絡み合ったシステムが動き始めると、必ずどこかに歪みが生まれてくるんですよねぇ。如何せん人間、自分の損得には敏感ですし。で、いざそのおかしくなったシステムを直そうとすると、作った時以上に難しくなってたりするんですよねぇ。ダンジョンの如く複雑怪奇になっちゃってて。

【ストーリー】
リオ・デ・ジャネイロ。刑務所暴動事件での失態を受けて特殊部隊BOPEの隊長職を解任され、公安局へ異動となったナシメント。そんな折、犯罪の温床となっていたスラム街にある警察署から武器が大量に強奪される事件が発生。その地区を支配するギャングの仕業として警察とBOPEが現地へと向かうが、その事件の背景には巨大な陰謀が隠されている事をナシメントはまだ知らなかった…。

麻薬犯罪が社会問題となっているブラジルを、警察腐敗という視点から描いた快作『エリート・スクワッド』の続編。アクションベースのポリティカルサスペンスとなった本作の脚本・監督を手掛けたのは、前作同様ジョゼ・パヂーリャが。
犯罪組織と腐敗した警察組織の双方に戦いを挑むしゃれこうべ軍団BOPEの姿を描いた前作であったが、今回は更に深い政治の世界にまで踏み込んで、ブラジルを蝕む悪しき“システム”の実態と、それに対し孤独な戦いを挑む男の姿を描き出した本作。自動小銃を抱え街を我が物顔で歩くギャングの姿に戦慄を覚える一方で、どこか他人事である地球の裏側の物語でもあった前作であるが、再選することのみが目的でその為なら誰かれ構わず手を結び、住人を“票の数”としか見ていない政治家の姿や、全ては権力者の為だけにしか機能していない政府機関の描き方に、とても他人事とは思えない恐怖すら感じる内容に。
銃の力でシステムに立ち向かおうとする若きBOPE隊員に、知性と理性でシステムと対峙する人権派の政治家、そしてかつては銃の力を信じながらも、それだけではシステムに立ち向かえない事を身をもって感じ始める主人公と、キャラクターの描き分けもそれが生み出すドラマも非常に成熟味があり秀逸であるし、重苦しい内容ながらも最後までグイグイと観る者を惹き込む手腕も見事。充分過ぎるほど面白かった前作が、まるでこれを生みだす為だけに存在したのではと思えるほど、よくある“なんちゃってハリウッドアクション”の一つと思って敬遠するにはもったいないにも程がある傑作に仕上がっている。「官僚と戦う!」と意気込んで財務省なんかに乗り込んだ割に、瞬く間に洗脳されて官僚の言いなりになってるどこぞの国の政治家の皆さんに是非とも観て頂きたい一本で。

“銃の力”や“政治の力”同様に、“映画の力”ってのもあると信じたいもので
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WOWOWでみましたが
マチアスのあまりのあっけなさ
あれが逆にリアルていうか
マチェーテとこの作品見て
南米にだけは住めないと
思いました
公安局に異動した時点で
前作よりつまらなくなると思いきや
いや〜 良かったです
マチアスのあの性格からすると、とても長生きできそうにないと思ってたんですけど、あそこまであっけないとは思いもしませんでしたねぇ。
南米は私の中で暴れん坊の住む地でしかないんで、観光であっても近づきたくないなぁと日々。アウトローになったら行ってみたい所ですけど。
にしても、ホントこれは傑作!