４０歳の童貞男 (The 40 Year Old Virgin)

監督　ジャド・アパトー　主演　スティーヴ・カレル
2005年　アメリカ映画　132分　コメディ　採点★★★★

これまでの流れからすると、この序文の部分は映画の内容となんとなく関連する自分の体験やら考えやらを書き連ねて、そこにボンヤリと核心を織り込んでいたりするんですが、そうなると今回は自分の童貞喪失の思い出をってことと。さすがにそれは誰も聞きたくないだろうに。ま、未だ童貞ってことにしてもらっても結構でございますよ。この映画観る限りは、なんとなくモテそうですし。ところで、いつも通り自分の勝手な決めつけなんでしょうが、童貞の人って声が甲高い気がするんですが。やっぱり、ホルモンとかに影響するんでしょうかねぇ。



【ストーリー】
フィギュアとゲームが恋人のアンディ。４０歳。童貞。電器店で働く同僚達との談笑中、女性経験についてつい張った見栄がバレ、童貞暴露。「このままじゃいけない」と一方的に煽る同僚達によって、童貞喪失への道を歩まされることになったのだが…。



ＤＶＤ発売前に“劇場公開作”としての箔をつける為だけにチョロリと公開されるパターンが増えてきましたが、本作もそれで。まぁ、ＤＶＤが出るだけでもよしとしなければならないのかも知れませんが、誰が観たいのか全く不明な『氷の微笑２』なんかに莫大な広告宣伝費をかけるくらいなら、もっとマシな作品がゴロゴロしているだろうとも。
全米でも思わぬ大ヒットをしたことで話題になった本作。「童貞の中年男の話が面白いの？」って疑問も当然だが、これが面白い！童貞コメディとしては異例の２時間１０分って長さだが、一瞬たりともツマラナイ瞬間がない。中途半端に知識を持った童貞男を笑い飛ばす様な意地悪さはなく、もちろんその痛々しさに笑いの比重こそ大きいが、そこには芯の通った童貞男のキャラクターと、それを真直ぐに見つめる作り手の視線があり、決して斜め上からの視線ではない。童貞男が抱えがちな誇大妄想や、身近に童貞がいると知るや否やイジり倒したくなる男友達の行動、彼らの女性観、そのどれを取っても非常にリアルで、非常に男性視点的。その視点は全くブレることがなく、そこに男性の思い上がりや浅はかさ、そして子供っぽいまでの可愛らしさが浮き上がる。それはそれでとっても楽しそうな童貞生活の痛々しさを笑う序盤から、徐々にセックスという行為自体に縛られ翻弄される愚かしさを笑う終盤への移行もスムーズで、いつの間にか“愛”がテーマになってしまう展開も定番ではあるがクド過ぎない構成の上手さですんなりと進んでいる。「男性諸君！女性は本当はこう考えているんですよ！」というラブコメこそ多いが、男性視点一本であるのにも関わらず得られる結果が同じな本作は、男性のみならず女性層にも是非観ていただきたい一本。
結局愛するフィギュアを売っちゃう主人公に、童貞ならではの押され弱さを感じてしまうが、客としてはゴメンだが是非とも働いてみたい電器店の様子や、“見事結ばれメデタシメデタシ”と何となく丸く収まってしまいそうな結末を、力技で更なる高みへ昇華させたエンディングもお気に入りなので、満足度は非常に高い。



もう一部ではお馴染みを通り越して中毒患者を続出させている“フラットパック”。“コメディアン集団”と言う言い方には抵抗があるので、今後も使いませんが。絶好調のベン・スティラー、ウィル・フェレル、ウィルソン兄弟の影に隠れていた印象こそあったが、傑作『俺たちニュースキャスター』や、その登場シーンだけが面白かった『奥さまは魔女』で印象深かったスティーヴ・カレルが遂に一本立ち。その立ち振る舞い、表情、声色と、どれを取っても生々しいまでに童貞的。ベン・スティラーやフェレルではこうはいかないカレルの真骨頂。もちろん、オーウェン兄弟ではもってのほかです。あの同性ですらドン引きする“セーターを着ている”様な胸毛があってこその、このキャラクターですから。劇中最も印象的な脱毛シーン。実際に胸毛をむしられたようで、あの絶叫も悪態も出血も本物。通りで周りの反応が素で爆笑だったわけです。
フラットパック勢には含まれないものの、『俺たちニュースキャスター』からポール・ラッドとセス・ローゲンが続投。演技だけとは思えない仲の良さを披露。その悪友連中の中でも気になるのが、ロマニー・マルコ。ラスト、異常に上手い蟹歩きを披露していたが、なるほど、『Ｍ．Ｃ．ハマー ストーリー』でハマー役だったんですねぇ。
『バス男』での大失態もあってか、発売前からどんな邦題になるのか注目が集まった本作。小さな不幸が目白押しだった『バス男』の担当者の姿に恐れおののいたのか、本作はまんま原題通りに。私が言いたいのは、そんなことじゃないんですけどねぇ…。


他人事ほど楽しいことはないですから

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Comments

これ観たかったんですけど、
やっているところが１つしかなくて遠い・・・。
もっといろんなところで上映してほしいね＾＾

もうDVD出ているんですかね？

このパッケージの微笑を見ていると何となくそう見えてくるからスゴイわ（笑

Posted by rose_chocolat at 2006年10月27日 08:11

rose_chocolat様こちらにもようこそー♪
ＤＶＤは出てますよ〜
オススメですので是非＾＾

Posted by たお at 2006年10月27日 15:01

こんばんわ〜！中毒患者です（笑
あの胸毛はやっぱり地毛だったのですねｗ
DVDの特典楽しそう〜！！
それに日本いっぱいでしたねー。
ﾊﾟﾅｿﾆｯｸTVももちろんのこと、幸せなら手を叩こうは突然すぎてびっくらしましたｗ

Posted by PINOKIO at 2006年10月27日 19:05

中毒仲間のPINOKIO様こんばんは〜♪
ＤＶＤは特典も副音声も楽しいですよ！
なんか時間も長くなってますし。
確かにやたらと日本が出てきましたねぇ。誕生日に“幸せなら手を叩こっ♪”と歌われるのはちょっとイヤでしたが。上の写真もよく見ると“幸福な釘”と書かれているんですが、なんのことやらサッパリで。。。

Posted by たお at 2006年10月28日 02:16

こんばんは〜♪TB有難う御座いました♪
いや〜予想に反してかなり面白かったです^^
下ネタは下ネタだけど、そこまで下品でもなくちゃんと作られてる感じがしました。
この手の作品に有り勝ちなドタバタで誤魔化すこともなかったですし。
誕生日は「おいおい・・・」でしたけど^^;

ではでは〜、これからもよろしくお願いします♪

Posted by Aki. at 2006年10月28日 04:51

先日映画館で見たとこなのに（笑）
フラットパック中毒仲間のkinoです。
ほんとにまぁ　男子中学生のままのような彼らが
カワイイというか　馬鹿馬鹿しいというか。
スティーブ・カレルの名が日本で知られるようには
たぶんならないでしょうが、私は好きですわー。

Posted by kino at 2006年10月28日 12:24

こんにちは！
いつもTBありがとうございます。

ドタバタコメディにしては、真剣なつくりで
好感がもてました。
スティーブ・カレル、「奥さまは魔女」に出てたこと、記憶にないです・・・。。
まわりの仲間たちやぶっ飛んだ女性たちの描き方がばかばかしいけど、面白かったですー♪

Posted by アイマック at 2006年10月28日 13:53

Aki.様、こちらにもようこそ！
下品すぎずサラリと終わってしまうのもちょっとなぁと思ってたら、もう一捻りあるエンディング！良かったですねぇ＾＾
私もあの誕生日はちょっと。。。

Posted by たお at 2006年10月30日 00:51

kino様こんばんは〜♪
中毒仲間がドシドシとｗ
男性ってのは、所詮一生中学生ですから＾＾；その浅はかさをこれでもかと見せ付ける本作に、身悶えとサブイボが同時発生する悶絶の時間を。
確かに今後も日本じゃ日の当たらない俳優のままであろうけど、“スティーヴ・カレル　in”ってドドーンって出る日も夢見たいなぁ＾＾

Posted by たお at 2006年10月30日 00:58

アイマック様こんばんは！
内容自体は意外と真面目なんですよねぇ。下品と言っても、非常に日常的ですし。
本作鑑賞後にもう一度『奥さまは魔女』を観ると、きっとカレルのシーンが一番面白く感じるのではとｗ

Posted by たお at 2006年10月30日 01:03

TB&コメントありがとうございました♪
面白かったぁ〜
DVDを買ったので、「タイトルがこんなんじゃ、借りられない」という友人達に、
レンタルしてまわる予定です（爆）
下ネタ盛り沢山だけど、カラッとしていて、
嫌な感じはひとつもなかったですもんね。
特典映像も沢山あって、笑いっぱなしでした！

Posted by こでまり at 2006年10月31日 10:20

こでまり様こんばんは！
買っちゃいましたか〜♪
確かにコレは“買い”ですね＾＾
特典も副音声も楽しい本作なので、やっぱり繰り返しゆっくり鑑賞したいですもの。
それにしても、これくらいのタイトルで恥ずかしがってちゃダメですよ。胸をはって店員さんに「４０歳の童貞男はどこにいますかー？」と聞けるくらいじゃないと。劇場で「シリアナ！」と大声を出すよりは恥ずかしくないですし。

Posted by たお at 2006年10月31日 22:58

たおさん、コンバムワー☆
フラットパック、自分は割と苦手で、ウィル・フェレルしか見る気なーい！なんて思ってたんですが、チェックが甘かった。
この人も、フラットパックだったのですねー。
で、たおさんの童貞話がないのは、納得いかーん★聞きたいッス〜♪
メールしてくれたら童貞卸しの話してもいいですよ（ウソ

Posted by とらねこ at 2006年12月12日 01:58

とらねこ様こんばんは！
私もフラットパック勢全員が好きってわけではないんですよ。ジャック・ブラックは苦手な部類ですねぇ。てか、『スクール・オブ・ロック』が大嫌いなだけなんですが。
童貞喪失話っても、バチあたりな場所でってことくらいしかｗｗｗ

Posted by たお at 2006年12月12日 19:29

エエエエ？！神社ですか？？？？？？
で、私の大好きな監督作品が大嫌い、と・・・知ってました（泣）

Posted by とらねこ at 2006年12月12日 19:52

とらねこ様こんばんは！
まぁ、その辺はヒミツ♪
リンクレイター作品が嫌いな理由は明確にあるんですが、その辺もヒミツ。

Posted by たお at 2006年12月13日 16:19

>そこに男性の思い上がりや浅はかさ、そして子供っぽいまでの可愛らしさが浮き上がる
その部分が、最高に心地良い作品でした！

>童貞の人って声が甲高い気がするんですが。
って事は、声フェチの哀生龍お気に入りのキャルは、ステキな低音なので・・・百戦錬磨？
彼がまだ22,3歳だと知って、ビックリしました。

Posted by 哀生龍 at 2006年12月26日 19:25

哀生龍さま、どーもです♪
男の子ならではの可愛らしさに溢れた作品でしたねぇ。
キャルは、あの声からすると間違いなく百戦錬磨ですｗ
まぁその方向から行くと、ジェームズ・アール・ジョーンズなんて、とんでもなく数をこなしてそうですが。
バリトンボイスが魅力の私は・・・。

Posted by たお at 2006年12月26日 21:36

たお様
albrechtです。
ご無沙汰してます(笑)。
>力技で更なる高みへ昇華させたエンディング
強引過ぎ！！
でも、アレはすごかったです！
だいたい、毛抜き職人とか金魚ブーツの客とか、「ご自由に参加してください」な雰囲気がまた良かったです(笑)。

Posted by albrecht at 2007年03月10日 02:18

albrecht様こんばんは〜♪
ご無沙汰ですｗ
あのラストがあるからこそ、忘れようにも忘れられない作品になってるんですよねぇ＾＾

Posted by たお at 2007年03月10日 03:09

たおさん、こんばんは。

ジャケットの写真は、すごく“童貞”っぽい（先入観だけですが）のですが、本編を観るととっても男前だったので、何だか肩透しを食った気分です。
女性に対しても、とても堂々としていましたしねぇ。
ホントの童貞の方は、「チッ」っという感じで観てたのでしょうか？

でも、全体通してのんびりとした笑いが散りばめられていて、繰り返して観たくなる作品だったと思います。
『俺たちニュースキャスター』も、丁度ＷＯＷＯＷで放送予定になっていたので、今からとても楽しみです。
私も中毒仲間に・・なるのかも・・（笑）。

Posted by アガサ at 2007年04月01日 22:19

アガサ様こんばんは！
まぁ童貞も４０歳になれば、ある程度堂々としてくるんじゃないんですかねぇ。ま、もう童貞じゃないんでその辺の心境は分かりませんがｗ
テンポこそマッタリしてますが、「わかるわかる！」の小ネタの多さに、あっという間に終わった感すら。
是非是非仲間入りをｗ

Posted by たお at 2007年04月02日 01:24

ＴＢ＆コメントさせてもらっちゃいますねぇ〜
そうです、何か見てて違和感があったのですが、
斜め上から見た視点じゃないところが素晴らしいですよね。
「どこをとっても生々しいまでに童貞的」って言うのに爆笑でした。
彼主演の他の映画をチェックしてみようｗ

Posted by oguogu at 2008年02月06日 23:31

oguogu様、こんばんは！
先日鑑賞した『スーパーバッド』にしろ本作にしろ、視線が非常に主人公の近くにある親しさなんですよねぇ。
スティーヴ・カレルは本当に芸達者なので、だいたいどれを見ても面白いのではと。少なくても彼だけは。

Posted by たお at 2008年02月07日 23:08

あはは、↑の胸毛のシーンのみんなの
本当に楽しそうなこと！ヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆
確かに男性視点1本ですけど、
女性ウケもいい映画ですよね〜。

Posted by miyu at 2008年05月02日 22:59

miyu様、こんばんは！
他人事って、本当に楽しいですからねぇｗ
ほぅ。女性受けもいいんですかぁ。
童貞ブームでも来るんですかねぇ。

Posted by たお at 2008年05月12日 02:30