2002年 イギリス/ルクセンブルグ/アメリカ映画 105分 ホラー 採点★★★★
某大手映画サイトを覗くと、そこに投稿されているユーザーの作品に対するコメントの中に随分とアレなものがチラホラと。楽しむべきポイントや観るべき個所を無視して、ひたすら貶すポイントのみを探して観賞してるかのようなコメントの数々に、「この人達って、映画観てて楽しいのかなぁ?」と思ったりも。まぁ、貶す事で自尊心を保つタイプの人たちなんでしょうけど、なんと言うか苛められっ子がより弱いものを苛めてるような感じでイヤだなぁと。既に認められている作品や名人の域に達した映画人など、権威に対しては盾突かず無条件に尻尾を振るだけってとこも似たような感じがしますし。
【ストーリー】
演習のために山奥へとやって来た、ウェルズ軍曹率いるイギリス軍小隊。先に現地入りしている精鋭部隊の目を掻い潜って目的地を目指す訓練であったが、その最中に救助信号を目撃した彼らは即座に現場へ向かったのだが、そこには襲撃され無残な姿となった精鋭部隊の野営地と、何者かによって深い傷を負わされたライアン大尉のみが残されていた。そして彼らもまた、正体不明の恐ろしい敵に襲われることになり…。
狼男一家に襲われるイギリス軍兵士の恐怖の一夜を描いたモンスターホラー。監督・脚本・編集を手掛けたのは、本作が長編デビューとなる『ディセント』『センチュリオン』のニール・マーシャル。
自分の好きなものだけで出来ていた『ドゥームズデイ』のニール・マーシャルだが、その“好きなものに対してとっても素直”ってのが早くも如実に出ていた本作。イギリス特産の狼男伝承を『エイリアン2』や『ズール戦争』『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のシチュエーションに放り込み、ブルース・キャンベルって役名のキャラを出す事で『死霊のはらわた』からの影響を包み隠さず表明し、こぼれ出た自分の内臓を見て「ソーセージだぁ!」って喚いたり、はみ出た内臓を犬と引っ張り合いしたりする独特のユーモアとアクションも程良くブレンドされた、「ボクはこんなのが好きです!」って自己紹介としては理想的な作品に仕上がっている。
好きなものだけごった煮映画だと、得てして肝心のメインの題材が霞んでしまうことが多いのだが、ホラー映画としての恐怖感、そして何よりも狼男には欠かせない悲哀ってのをしっかりと打ち出せているのが見事な一本。『処刑島』のショーン・パートウィーや『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』のケヴィン・マクキッド、『タイタンの戦い』のリーアム・カニンガムに『ドゥームズデイ』のダーレン・モーフィットらが演じるキャラクターも、ちゃんと性格分けがされているのも上手いなぁと。また、要所要所で派手に血飛沫を上げる、『ヘル・レイザー』『イベント・ホライゾン』のボブ・キーンによる特殊メイクも効果的。確かに低予算の粗を隠す為か画面は暗いし、やや展開も唐突な印象もあるのだが、そんな些細な問題点を補って余りある面白味に溢れた本作。まぁ、私が多少暗い位で誰がどこに居るのか見失う極端な鳥目じゃないし、見えない部分は脳内補完してしまう甘い性格ってのもあるんでしょうけど、そこに不満を集中させるにはもったいない作品だよなぁと。
ハッキリクッキリばかりが映画じゃない
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
本当に全体的に暗いとは思います。 が、スプラッター系ホラーが今よりももっと苦手だった頃に見たので、逆にその暗さに助けられた気もします(苦笑)
>“好きなものに対してとっても素直”
それが伝わってきたのか、どこがどうと上手く言い表せないのですが、見終わった時にとても楽しい気分が残りました。(楽しいタイプの作品ではないとは思いますが)
ブラックユーモアのセンスが趣味に合ったのか、キャラクターの個性が趣味に合ったのか、今見てもやっぱり楽しめます♪
明るいとボロが出るんです!
金がなかったんです!
まぁそれはさて置き、マニア志向の作り手だとついつい自虐的になったり斜に構えたりするんですが、ニール・マーシャルって好きなものをそのまんま取り入れるんですよねぇ。卑屈にもならなければ背伸びもしない。そんな姿勢が好きな監督で。