2008年 アメリカ映画 94分 ラブロマンス 採点★★
誰かを好きになる時ってのは、大体において自分の片想いからスタートする私。「好きです!」なんてことを向こうから言われる夢のような出来事なんざ、数えるほどもなし。言われる時に限って、既に彼女が居たりしますし。そんな片想いの最中って、相手の動向を慎重に見ながら「これ言ったら嫌われるかなぁ?」「あれやったら嫌われるかなぁ?」と、ついついマイナス方向に考えがちなんですが、世の中には相手の言動を全て自分の都合の良い方に解釈する人ってのも少なくないらしいですねぇ。羨ましいというか、ハタ迷惑というか。
【ストーリー】
両親が経営するアリゾナ州のモーテルで夜間マネージャーとして、なんの遣り甲斐も感じないまま働くマイク。そんなある日、出張で訪れた美人画商スーに一目惚れ。彼女の気まぐれもあり一度だけ割り切った関係を結ぶマイクだったが、割り切りの通じないマイクは彼女を追って遥々メリーランド州の彼女のもとへと向かい…。
10日間の物語でもなければ、今更“10日間で○○”ってキーワードを平気で付けちゃう邦題担当者の語彙の乏しさにまず呆れ返る、ジェニファー・アニストンが製作総指揮も務めたラブコメディ。
顧客に一目惚れした男が、彼女を追い掛けてる内に人間的変化と成長を迎える物語って言えば聞こえは良いが、要はストーカーの話。もちろん“ストーキング”ってのをモチーフにしながらも、そこに笑いや人間ドラマを盛り込んで丸く収めようとはしているんだが、その辺が“意味ありげ”ってだけに留まってしまってるので、主人公のストーカー思考ばかりが際立つ残念な結果に。“残念”と言うより、宿泊客の部屋に押し入り、大陸またいで追い回し、勝手に彼女の“本当の姿”ってのを決めつける主人公の行為は、もうただただ怖い。
これで彼女の方が単に迷惑するだけだったらコメディとして成立するのだが、困った人に手を差し伸べてしまう性質とはいえ、嫌われ者に徹せない生ぬるい対応でストーカーに気をもたせるだけの、もうなんとも観ていてイライラする役柄なのも困りもので。そこを否定したら元も子もないんですが、押しかけてきた見ず知らずの男と寝てしまう出だしからして無理があるなぁと思いますし。もちろんそんな目に遭ったら、「ヒャッホーィ!」と小躍りしてしまいますけど。
マイクに扮したのは、この作品を手に取った理由のほとんどを占める『グレッグのダメ日記』のスティーヴ・ザーン。行動力がちょっと人とは違うベクトルで発揮される自立できないダメ中年男を上手く演じてたんですが、同じダメ男でも無節操で屈託のない可愛げのあるザーンを観たかったなぁと。
一方、気まぐれでエッチしてくれるのは有難いんですが、彼女にするにはちょっと勘弁願いたいスーに扮したのは、『ウソツキは結婚のはじまり』のジェニファー・アニストン。深く考えてそうで結局何にも考えてないスー役には、嫌味も過剰な色気もない親しみやすさが売りのジェニファー・アニストンは向いてないのかなぁと。ツンとしたキャリアウーマンをイメージしたのかも知れないんですが、茶色の髪色はただ老けて見えただけの残念な感じでしたし。
ちょいと不満の多い作品ではあったんですけど、素と役柄の区別がだんだん付かなくなってきた『ゾンビランド』のウディ・ハレルソンや、接客業姿が見事なまでに似合わない『アーマード 武装地帯』のフレッド・ウォード、『沈黙の啓示 TRUE JUSTICE PART2』のツィ・マーなど、好みの役者を見れたのは嬉しかったかなぁと。使用されてた楽曲も良い感じでしたし。
“早い段階からハッキリした態度を示しておこう”って啓蒙映画?
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
日本に入ってくるとは思わず、海外版で見ました。
後で日本版を見たとき、海外版を自分の都合の良いように解釈しながら見た時の方が楽しめたな・・・と(苦笑)
>押しかけてきた見ず知らずの男と寝てしまう出だしからして無理があるなぁ
ストーカー気質で割り切った関係ってのがピンと来ない駄目男の発想と行動は分かりやすかった分、彼に誤解を与えるようなあいまいな行動をとる彼女の思考回路は、どうにも理解しにくい部分がありました。
スーがなにかとんでもない問題を内面に抱えているって描写がハッキリとあれば良かったんですが、その辺がウヤムヤだったんで単に不用意な行動を取る女性だなぁと。まぁ、好みの役者を一気に観れたって嬉しさはありますけどねぇ^^;