2009年 イギリス/オーストラリア映画 99分 ホラー 採点★★★
思いも付かない理由と想像を遥かに超えた方法で児童虐待を繰り返す、動物としても壊れ切ってる輩は別にして、子育てってもうちょっとサボってもいいと思うんですよねぇ。「親なんだから」って概念に囚われ過ぎて心身ともに疲弊してしまう位なら、ちょっと逃げ出して我を取り戻した方が子供にとっても親にとっても良いのではと。「イライラしちゃいけない」じゃなくて、「イライラして当たり前。自分だけじゃない」位のスタンスで。まぁ、子育てをサボり過ぎの私が言うのも説得力皆無なんですけどね。
【ストーリー】
自閉症の息子を持つシングルマザーのジェスは、友人らと共に気分転換にヨットセーリングに出向く。しかし天候が急変、ヨットは転覆してしまう。そこへ突如大型客船が現れ、彼らは命からがらその船へと乗り込むのだが、船内に潜んでいた謎の殺人鬼により彼らは一人一人殺されていく。一人生き残ったジェスは辛うじて殺人鬼を倒し安堵するが、外に目を向けた彼女が見たものは、客船に乗り込もうとする自分たちの姿で…。
『0:34 レイジ 34 フン』のクリストファー・スミスによる、自分が自分を殺さなければならない悪夢のような無限ループにハマってしまった女性の姿を描く、無間地獄不条理ホラー。主演は『30デイズ・ナイト』のメリッサ・ジョージ。
襲いかかって来る自分を自分で倒し、生き残った自分が新たにやって来る自分に殺される。不条理にも程がある展開の中、主人公は我が子のもとに帰りたい一心で自分と友人らを殺し続けるのだが、その肝心の息子に対し何か取り返しのつかない事をしでかしてしまった嫌な空気が序盤から濃密に漂っているので、救いもゴールも全く見えない息苦しさが圧巻。何かパターンから外れたことを行って転機を求めるも、それですら無数に繰り返されてきたことであると判明する、まさに抜け出す事の出来ない無間地獄のようでも。スタート地点と思われていたのが無数に繰り返されていた途中でしかなく、帰着点がまた振り出しに戻るメビウスの輪のような物語なので「どんな映画なの?」と聞かれると答えに窮してしまうのだが、現実世界からほんの少しずれ込んだ世界に落ちてしまう“トワイライト・ゾーン”と、母子の悲痛な過去を描いた『アザーズ』に、『シャイニング』の閉塞感を加えたような感じってことでボンヤリと理解してもらえればと。
若干作り手の頭の中でワンパクに膨らみ過ぎちゃって画がそこに全く追い付いていない感も多々あるし、他人の地獄に巻き込まれてしまってる他の登場人物のトバッチリ感もハンパないのだが、「最初にトランクに入れられてたのって、多分○○なんだろうなぁ」とか「あの運転手が○○なんだな」とか観賞後に色々想像して楽しむ事も出来る、しばらくは印象に残る一本に仕上がってた作品なので、満足度は低くない。
因みに、ちょいとネタバレにはなってしまうんですけど物語の発端に関する私の予想はこんな感じ。ヨットセーリングに出掛ける直前にぐずった○○に対してキレてしまった主人公が、日々の虐待の延長で○○を殺害。その死体をトランクに入れて車で走行中に事故に遭い死亡。とんでもない後悔を抱え死んでも死にきれない主人公がやり直しを試みるも、結局は何も解決できない絶望の無限ループに。うわぁ…、なんとも救いようのない物語に。
Another One Bites the Dust
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これはなかなか良く練られてた作品でしたね
うん、好みでした!
序盤からなにかしら不穏な空気をまとっている主人公からしてなにかあるぞと思わせられるものの、同じ友人の死体がうじゃうじゃと横たわる画はなかなかシュールで良かったです
同じシーンが繰り返されていても、毎回視点が変わる演出で飽きずに観れるのも良い所だと思います
何か打開策を試みても、画ひとつでそれを全否定する、なんとも“絶望的”ってのを上手く描いた作品でしたねぇ。