2011年 イギリス/フランス/アメリカ映画 97分 アクション 採点★★★
職業やそれに就く人に対する勝手なイメージってありますよねぇ。警官は善人で医者は潔癖、教師は真面目でピザ屋は食いしん坊みたいな。で、イメージ通りじゃないとガッカリしたりも。勝手にイメージしてるくせに。まぁ、イメージ通りじゃない方が意外と優秀だったりしますし、なんであれ職務さえ全うしてくれれば問題はないんですけど。
【ストーリー】
ロンドン。“ブリッツ”と名乗る男による、警官ばかりを狙った連続殺人事件が発生。暴力事件ばかりを起こす問題刑事ブラントは、サウスロンドン署に赴任したてのナッシュと共に捜査を開始。ほどなくブリッツは逮捕されるのだが、証拠不十分のため釈放されてしまい…。
狡猾な殺人鬼を追う、法の正義とは違う次元で信念を全うしようとする荒くれ刑事の姿を描いた本作。不祥事は持ちつ持たれつで揉み消し、あの手この手で上司の弱みを握り、盾突く者は殴り倒して黙らせる。本作の主人公ブラントは、所謂正義のヒーローではない。“法を執行する側”に立っているだけで、その立場から離れてしまえば非常に性質の悪い犯罪者になってしまう危険性も持っている。しかしその反面、その職務には全身全霊で勤しみ、仲間を傷つける者に対しては一切の容赦をしない男でも。そんな法の線を跨いで一般的には似た者同士のブラントとブリッツの対決を、銃撃戦や派手なアクションに頼らないソリッドな作りで描いた本作から受ける印象は、なかなか硬派な刑事アクションのもの。
ただまぁ、“メディアを利用する愉快犯”“法を順守しない刑事”“法では追い詰められないジレンマ”など、上手くすれば21世紀の『ダーティハリー』にもなり得る題材の数々を全然消化しきれておらず、ただ散漫に盛り込んで残りは『メカニック』『エクスペンダブルズ』のジェイソン・ステイサム頼りで逃げ切ろうとした仕上がり具合は残念で。事実、辛うじてジェイソン・ステイサムのキャラクター性で観れるものに仕上がってるが、それを抜いてしまうと何にも残らないのはどうかと。
まぁ、それだけ本作のジェイソン・ステイサムにはある種の輝きを。もう“粗野”の塊。いつものステイサム。もちろんこちらは善人面のステイサムなんかに用はないわけで、悪人相手に暴れてる分には喝采を送れるが、その拳の行き先が一般人にも向かっていきそうなリスキーさにヒヤヒヤもする、“いつものステイサム映画”として最低限楽しめる一本に仕上がってたのには満足を。それにしても、ステイサムって“外”が似合う役者ですよねぇ。セット内や合成された背景の前で暴れてるイメージがない。大抵ロケで暴れてる印象が。真の荒くれ者だからですかねぇ。
そんないつもの“ステイサム仕事”に消されかけてはいたが、ゲイである故に同僚からいびられるナッシュに扮した、『ボーン・アルティメイタム』『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』のパディ・コンシダインがなかなかいい味を。物腰こそはステイサムと正反対だが、悪党に対する感情は見事に合致する良いコンビネーションを見せてくれていたなぁと。“ゲイ”というキャラ設定以外は別段特徴の無い役柄ではあったが、「ゲイだからって、なんか特別なことしなきゃなんないの?」ってスタンスな感じもして好印象。
これで『12 ラウンド』のエイダン・ギレン扮するブリッツにスコルピオ並の“始末に負えない小者”感が出てれば完璧だったんですが、“ちょいと面倒臭い小者”で終わってしまってたのは残念。
その他、婦警に扮したゾウイ・アシュトンなんかも印象的でしたが、揉み消しの見返りでデートに付きあってる立場であるにもかかわらず、「電話するって何時よ?明日?キーッ!男っていつもそう!」と途端に面倒臭い女に豹変する、非常に残念な意味での印象深さでしたが。
一番絡んじゃいけない相手
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
「エクスペンダブルス2」は実はあまり期待してません。
ストーリー展開が如何にも古い、多分見ると思いますが。
次の「キラー・エリート」も似たような感じのようです(多分見ますが)
荒々しくてどこか70年代っぽい雰囲気のある作品に、ステイサムは居場所を見出してるのかなぁと。そういう“この人ならでは”ってのも結構好きですけどねぇ。スタローンに斬新を求めてないみたいな感じで。
ステイサムは“安心印”だから、その分どうしても彼を振り回す役回りの“ブリッツ”に期待しちゃいました。
ギレンの陽気なサイコキャラは好きなので、もっとやっちゃっても良かったのに・・・・と。
>「ゲイだからって、なんか特別なことしなきゃなんないの?」ってスタンスな感じもして好印象
同感です!!!
ステイサムがいつも通りでこれといった動揺もないんで、ブリッツと平行線のまま案外絡みあってないんですよねぇ。まぁ、その辺もブリッツの変態性の足りなさ故かと。
ベッドの相手が違うだけでそれ以外は何もかにもが一緒なのに、自分とちょっと違うだけで差別されるって問題を描きたかったんですかねぇ。だったらいいんですが、単なる演出家の舌っ足らず故だったら。。。^^;
>上手くすれば21世紀の『ダーティハリー』にもなり得る題材の数々を全然消化しきれておらず
そうそうこの設定は好きなだけに惜しいです。
良いネタが放り込まれてるんですけどねぇ。。。
結局ジェイソン・ステイサムに頼り切った作品になってしまってましたよね。