2010年 アメリカ映画 89分 ホラー 採点★★★
ロブ・ゾンビの『ハロウィン』や『アサルト13 要塞警察』など、一時リメイクバブルに湧いてたジョン・カーペンター。それはそれでカーペンターが再認識されるって意味では嬉しかったんですけど、どうせならその予算をちょっと分けて新作を作らせればいいのになぁと思ったりも。で、『ゴースト・オブ・マーズ』以来10年振りとなる劇場用新作が遂に完成。期待に胸ふくらませて観てみたんですが…、これって本当にカーペンターなの?
【ストーリー】
1966年。放火の容疑で逮捕され、精神病院の監禁病棟に収監されたクリステン。同世代の4人の少女が収監されたその場所に、何か不気味な存在が潜んでいる事を感じ取るクリステンは脱走を試みるのだが、そんな彼女の前に恐るべき存在が立ちはだかり…。
男臭いアウトローを中心に描くわけでも、遂にデジカメに手を出してしまった為かパナビジョンの横幅を一杯に使った映像を見せるわけでもなく、仕舞いには「あのベンベンとこのベンベン」の違いは分かる人にしか分からないカーペンター節も流れてこない本作。ロボトミー手術がまだ行われていた60年代後半の精神病院を舞台に、“アノ人もコノ人も実は○○”って使い古されたネタにも、カーペンターらしさを見出すのはちょっと難しい感じも。
ただまぁ、『アイデンティティー』同様大嫌いなタイプのネタではあるものの、程良いテンポでショック描写を挟みこみながらコンパクトに収める職人技は健在で、“どこぞの誰か”の作品であれば充分に楽しめる一本にはなってるのかと。KNBのグレゴリー・ニコテロらによる“アリス”の特殊メイクも不気味だし、見舞いに来るのが遠くから見つめるだけの悲しげな夫婦だけだったり、この手の作品だと看護師は得てしてサディスティックなもんだが、本作ではそうでない理由も理に適ってた筋書きも悪くはない。ロボトミー手術に頼らず、患者を無害化するのではなく治療するために新たな治療法を模索する意志の姿も同様に。まぁ、女子しか出てこない監禁もので、シャワーシーンもあるのに“エロさ”が微塵もないってのはどうかと思いますけど。
主人公のクリステンに扮したのは、『ドライブ・アングリー』『ゾンビランド』のアンバー・ハード。“下品”ってのが持ち味の彼女だが、本作でも存分に下品。これでもうちょっとイヤラシさってのが出てれば完璧だったんですけど、まぁそこはカーペンターだし。
その他、顔のパーツが全て中心に集まった、なんかミサワっぽいメイミー・ガマーや、若い頃のレイチェル・ワイズみたいな『クレイジーズ』のダニエル・パナベイカー、ロリキャラ作りに努力の跡が見えるローラ=リーに、顔の特徴を覚える前に消えてしまった『キック・アス』のリンジー・フォンセカらも主人公を熱演。数少ない男性キャラとして物語の中心に立っていた『レディ・イン・ザ・ウォーター』のジャレッド・ハリスも、隠しきれない善人臭を上手く使った好演だったのかと。
それにしても、不満のほとんどが「カーペンターのくせに!」って所に行き着いてしまうのかと思う本作。ただまぁ、並のホラーならまだ撮れるだけ腕は鈍ってないってことも、エロさはさて置きとりあえず普通に女性も撮れるってことも証明出来たし、長いブランクを埋めるためのリハビリ的作品だと思えば腹も立たないのかと。是非とも次回は『パラダイム』『ゼイリブ』『マウス・オブ・マッドネス』に続く“世界の終り”物か、『ゴースト・ハンターズ』の続編を手掛けて頂きたいなぁと。誰か酔狂な金持ちが大枚叩いてくれないかなぁ。
この病院では主治医によるマンツーマンの親身な診療を心がけております
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
10年振りとか言われちゃうと自然に期待してしまいますよね。
目新しいものはなくつまらなくないけどなんか普通でした。
「カーペンターの新作まだかなぁ。。。」と待ち続けての10年でしたからねぇ。まぁ、ウォーミングアップってことで。