2006年10月17日

ブラック・ダリア (The Black Dahlia)

監督 ブライアン・デ・パルマ 主演 ジョシュ・ハートネット
2006年 アメリカ映画 121分 サスペンス 採点★★★

“猟奇殺人ブーム”という、今考えると恐ろしいブームがありましたねぇ。『羊たちの沈黙』の大ヒットに伴い、ロバート・K・レスラーの“FBI心理捜査官”もベストセラーに。著名な猟奇殺人鬼を毎月紹介する“マーダー・ケース・ブック”なる雑誌まで創刊される始末。えぇ、私も読んでおりましたよ。この時期レスラーは日本のワイドショーにも引っ張りダコで、何か事件が起きる度に、どうにでも取れるようなコメントを残してました。“プロファイラー”って言葉も一般に浸透し、猟奇事件が起きるとにわかプロファイラーが「あーでもない、こーでもない」と、非常にうざったい時期でしたねぇ。

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【ストーリー】
共にボクサーとしても有名だった二人の警官リーとバッキーは、とある事件の捜査中に、胴体を二つに切断された女性の死体が発見される事件に出くわす。この事件の解決に執念を燃やす二人だが、事態は混迷を極め…。

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その昔、“ハリウッド・バビロン”かなんかで初めて見た時、そのあまりにインパクトのあり過ぎるなりに見入ってしまった“ブラック・ダリア”こと、エリザベス・ショートの最期の姿。この事件の詳しい経緯については、ココとかあちこちで書かれているであろうから割愛するとして、その事件を題材にしたジェームズ・エルロイの同名小説を、稀代の“覗き魔作家”ブライアン・デ・パルマが監督するというので長い間心待ちにしていた本作。
『レイジング・ケイン』や『ファム・ファタール』ではやり過ぎの感も強かったが、トレードマークである長回しやピタゴラスイッチなクライマックスをほぼ封印し、王道的フィルム・ノワールの再現に努めているのだが、どうにも物足りない。どのシーンでもタバコの煙が漂うセピア調の画面作りは、新味はないものの非常に美しく、エリザベス・ショートの死体が発見されるまでをさり気なくワンカットで見せる名人芸にも唸らされる。マーク・アイシャムの音楽も、時にムード重視に、時にダイナミックに作品を彩っている。しかし、肝心の物語が落ち着かない。駆け足感の強い序盤もそうなのだが、状況整理に忙しいドタバタしたクライマックスの落ち着かなさは、どうにも頂けない。ただでさえ話がアレコレ繋がって大きく膨らんでしまう原作であるが故に、下手をするとワイド劇場的なネタバラシになってしまうクライマックスなのだが、本作はまぁ…とってもワイド劇場でしたよ
母親が殺されたことにより“ブラック・ダリア事件”に取り付かれたエルロイによって書き上げられた原作は、“傍観することしか出来ない”立場に立つデ・パルマにとって非常によい題材なだけあって、残念。

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一番の不満はキャスティング。バッキーの出っ歯問題を、差し歯であることを強調することで回避することに成功したジョシュ・ハートネットはフィルム・ノワールの背景に馴染めず、『アイランド』『イン・グッド・カンパニー』のスカーレット・ヨハンソンに陰のある女性役はやや荷が重そう。それでも『ザ・コア』のアーロン・エッカートがいい雰囲気を醸し出しているので油断していると、ヒラリー・スワンクという落とし穴が待ってた。『インソムニア』『ミリオンダラー・ベイビー』とお年寄りの追っかけ役が続いていたのに嫌気がさしていたのか、今回は美女で悪女役。なんにも嬉しくない。ブラック・ダリアに良く似ているそうですが、髪の毛が黒い以外は…。
不満も多いながら、随所に確認できるデ・パルマ印の演出はどれもこれも唸るほど素晴らしく、なによりも『ファントム・オブ・パラダイス』のウィリアム・フィンレイを久々に観れたのは嬉しい。あれやこれやであんな事になっちゃうフィンレイの扱いにも満足なので、★オマケで。

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まぁ、これは確かにあんまり見られたくないシーンですねぇ

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posted by たお at 02:21| Comment(20) | TrackBack(72) | 昔観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます☆
すごく期待して観に行ったのにイマイチでした、、、
それにヒラリー・スワンク似てないし(笑)
全体的な雰囲気は好きなだけにちょい残念でした。
Posted by ゆかりん at 2006年10月17日 09:13
こんにちは♪
思ったよりもキャスティングがマッチしていない事が気になりました。
見る前までは合っているかもと思った人までいまひとつ・・・。
時代の雰囲気を味わう作品なんでしょうかねぇ?
Posted by ミチ at 2006年10月17日 20:22
こんばんは♪
TBありがとうございます。

ヒラリー・スワンクは好きなのですが、「ブラック・ダリアにそっくり」はかなり無理がありました。

デ・パルマの映像マジックを観に行ったと思うことにします(笑)
Posted by あむろ at 2006年10月17日 20:31
ゆかりん様こんばんは〜♪
私も期待してたんですけどねぇ。。。
なんだかよく出来たワイド劇場に。
Posted by たお at 2006年10月18日 23:54
ミチ様こんばんは!
時代の雰囲気を味わう為には、それこそキャスティングも重要。
そう考えると、このキャスティングはちょっとどうにも。。。
Posted by たお at 2006年10月18日 23:55
あむろ様こんばんは!
私も最悪デ・パルマジックを楽しめればと思っていたのですが、今回はだいぶ控えめの王道演出でしたね。
なんか、上手く言えないんですが、“帯に短し襷に長し”みたいな映画で。
Posted by たお at 2006年10月18日 23:57
たおさん、こんにちは!
TB失礼します。

ヒラリー・スワンク、どこをどうひっくり返しても、オナゴの立場から見ても、
全然セクシーじゃなかった…
ジョシュは個人的にはとっても良かったです♪
Posted by kenko at 2006年10月20日 13:39
kenko様こんばんは!
一度はやってみたいんでしょうが、セクシー。でもねぇ。。。
Posted by たお at 2006年10月21日 02:23
本当、ヒラリー・スワンクは全然似ていないですね。でも、個人的には好きですよ。性格俳優は。顔より、演技を取る主義なんです。
Posted by marika at 2006年10月21日 11:49
marika様おはようございます!
演技や雰囲気のいい役者は大好きなんですが、やはり得手不得手がありますから。。。
Posted by たお at 2006年10月22日 10:03
TBさせていただきました。
ああ、ハリウッドバビロンを御覧なんですね〜
私は噂でしかきいてなかったので、この映画ちょっと期待しておりました。
まあとっちらかった内容も、デ・パルマ的意匠も結構つっこみどころ満載で楽しかったです。

ではまた。
Posted by manimani at 2006年10月24日 00:29
manimani様こんばんは!
私はなまじかじってしまっていた分、期待も大きかったです。デ・パルマ臭の強い部分は楽しめたんですが、それ以外はどうにも^^;
Posted by たお at 2006年10月24日 01:33
たおさんお久しぶりです〜〜ww
昨日はTB逃げ?ごめんなさいー。

この話はとにかくわかりにくかったです。
最後にどぁ〜〜っとしゃべって死んじゃうの??っていうか(笑

すごく細かくご覧になっていて、さすがですね〜〜^^
Posted by rose_chocolat at 2006年10月24日 08:18
rose_chocolat様こんばんは〜♪
そうそう。ブワラァーって喋って解決しちゃう。まぁ、原作もそうなんですが特にそこが目立っちゃってましたねぇ。
細かく観ているつもりはないんですが、あんまり書くことがないと、ついつい余計なことを書くので細かく^^;
Posted by たお at 2006年10月25日 23:21
トラコメありがとうございました〜

世界一有名な死体のお話も
ベースにして小説に変えたら
犯人は・・・・
とってもワイド劇場チックでわらえました^^;
Posted by じゅりまの at 2007年05月24日 15:35
じゅりまの様こんばんは〜♪
なんかデパルマって、伏線の回収にはあんま興味がないんですかねぇ^^;
Posted by たお at 2007年05月24日 21:54
うははははははははははは!!!!
「とってもワイド劇場でしたよ。」
名言!!!!!
こんなにこの作品を表している言葉はない!!!

いやあ、この一文にたどり着くなり大爆笑しちゃいましたよ(^o^;
よかったー、家で読んでて(笑)
妖しい色気がまったく感じられない「ヒラリー・スワンク」に、寝取られてしまった「スカーレット・ヨハンソン」というのが、なんとも違和感で・・・と思ったら、皆そう思ってたのかな?(苦笑
Posted by chibisaru at 2007年12月09日 14:46
chibisaru様、こーんばーんはー♪
なんかこう、観てる途中からCMが入りそうな雰囲気でしたよねぇ^^;
改めて読み返してみると、散々なこと書いてますねぇ、ヒラシー・スワンクについて。まぁ実際、なんにも嬉しくないんでしょうがないんですがw
Posted by たお at 2007年12月10日 00:26
ヒラリー・スワンクは損してますよね〜。
キライじゃないのだけど、
あの役は彼女にとってマイナスでしかなかったですよね〜(;・∀・)
Posted by miyu at 2008年05月08日 23:07
miyu様、こんばんは!
「美女です!」って言い張っちゃいましたからねぇ^^;
Posted by たお at 2008年05月12日 02:46
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Tracked: 2006-10-26 07:27

映画「ブラック・ダリア」
Excerpt: 2006年57本目の劇場鑑賞です。公開当日レイトショーで観ました。「アンタッチャブル」「ミッション:インポッシブル」のブライアン・デ・パルマ監督作品。「L.A.コンフィデンシャル」の原作者ジェームズ・...
Weblog: しょうちゃんの映画ブログ
Tracked: 2006-10-26 11:32

『ブラック・ダリア』
Excerpt: 1947年、ロサンゼルス市内の空き地で、腰から切断された若い女の死体が発見された。被害者は女優志望の女。世界一有名な死体になった彼女を、人はこう呼んだ  ■監督 ブライアン・デ・パ...
Weblog: 京の昼寝〜♪
Tracked: 2006-10-26 20:30

「ブラック・ダリア」■赤狩り前夜の気分
Excerpt: 先日、亡くなられた田中登監督の「屋根裏の散歩者」のラストシーンは、関東大震災の焼け跡で娘がポンプから水を汲みあげ、その水がやがて血の色になっていくというものであった。虚構の世界と現実の世界が出会った瞬...
Weblog: 映画と出会う・世界が変わる
Tracked: 2006-10-27 09:15

映画「ブラック・ダリア」(2006・米)
Excerpt: 解説: 『L.A.コンフィデンシャル』の原作者としても知られるジェイムズ・エルロイの同名小説を『アンタッチャブル』の名匠ブライアン・デ・パルマが映画化。40年代のロサンゼルスを舞台に、女優志望の女性が...
Weblog: どうせ誰も見てませんからっ☆★
Tracked: 2006-10-27 17:00

一つの死体が、人々を狂わせる
Excerpt: 231「ブラック・ダリア」(アメリカ) ロス市警のPRのためのボクシングの試合に出場したバッキー・ブライカートは特捜課へ昇進し、対戦相手であった捜査官リー・ブランチャードとコンビを組む。リーの恋人ケイ...
Weblog: CINECHANの映画感想
Tracked: 2006-11-01 00:42

ブラック・ダリア
Excerpt: 先日、本作の原作であるエルロイの同名小説 を読みました。全体としては、導入部分と謎解き部分のバランスが悪く、バタバタとしたラストになってしまい、観終わって納得いかない感じが残りました。 事件そのものよ...
Weblog: 日っ歩??美味しいもの、映画、子育て...の日々??
Tracked: 2006-11-01 20:21

映画「ブラック・ダリア」
Excerpt: 原題:The Black Dahlia1940年代後半、日本では戦後色も色濃い頃、へそのところで切断され、口は耳まで裂かれ内蔵はないぞの全裸女性死体、実在事件に着想の小説映画化 元ボクサーの二人の刑...
Weblog: 茸茶の想い ∞ ??祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり??
Tracked: 2006-11-12 01:55

『ブラック・ダリア』
Excerpt: '06.11.12 KT『ブラックダリア』@品川プリンスシネマ プレミアムシートエルロイの小説は未読だけど本屋で目にするたび気になってた。何度か手に取ったのに何故か未読。ブラックダリア事件は売れない...
Weblog: ・*・ etoile ・*・
Tracked: 2006-11-15 01:46

ブラック・ダリア
Excerpt: え~っと。。。 友人が絶対見たいと言うので見ました。。。 (うさぎはこの日キャナルで期間限定のアダムが見たかった) サスペンス系は苦手?なうさぎさんです。 必死で見たわ。。。 世界一有名な死...
Weblog: ちわわぱらだいす
Tracked: 2006-11-25 23:43

映画「ブラック・ダリア」(2006・米)
Excerpt: 解説: 『L.A.コンフィデンシャル』の原作者としても知られるジェイムズ・エルロイの同名小説を『アンタッチャブル』の名匠ブライアン・デ・パルマが映画化。40年代のロサンゼルスを舞台に、女優志望の女性が...
Weblog: どうせ誰も見てませんからっ☆★
Tracked: 2007-05-20 19:58

『ブラック・ダリア』【 THE BLACK DAHLIA 】
Excerpt: 注)ネタバレに触れる記載があるかもしれませんので気になる方は読まないでください。ブラック・ダリア コレクターズ・エディション 2枚組東宝このアイテムの詳細を見る『ブラック・ダリア』【 THE BLAC...
Weblog: きょうの子牛
Tracked: 2007-05-24 15:37

お茶の間にサスペンス  ブライアン・デ・パルマ 
Excerpt: 先日、子どもを寝かしつけ、「さぁ~、ビデオでも観るかぁ~」と、ウキウキとしながら「CSI NY」が録画されているはずのVHSを再生し始めと・・・金髪のマダムが美術館をウロウロする画像が流れ始める。 ...
Weblog: CURIOUS MAMA の レビュー&エッセイ
Tracked: 2007-06-12 15:32

独断的映画感想文:ブラック・ダリア
Excerpt: 日記:2007年7月某日 映画「ブラック・ダリア」を見る. 2006年.監督:ブライアン・デ・パルマ. ジョシュ・ハートネット,アーロン・エッカート,スカーレット・ヨハンソン,ヒラリー・スワンク. ジ
Weblog: なんか飲みたい
Tracked: 2007-07-03 22:15

ブラック・ダリア
Excerpt: ブラック・ダリア1947年、LA市内の空き地で、女性が腰部分を切断された惨殺死体で発見される事件が発生。その女性、エリザベス・ショートはハリウッドで女優になる夢を見ながら哀れな最期を遂げたのだと判明す...
Weblog: 紅梅日記
Tracked: 2007-09-02 01:22

ブラック・ダリア
Excerpt: ブラック・ダリアTHE BLACK DAHLIA 監督 ブライアン・デ・パルマ出演 ジョシュ・ハートネット アーロン・エッカート    スカーレット・ヨハンソン ヒラリー・スワンクアメリカ 2006
Weblog: Blossom Blog
Tracked: 2007-09-24 16:13

#746 ブラック・ダリア
Excerpt: 原作者:ジェームズ・エルロイ 監督:ブライアン・デ・パルマ 脚本:ジョシュ・フリードマン 出演者:ジョシュ・ハートネット 、アーロン・エッカート 、スカーレット・ヨハンソン 、ヒラリー・スワンク 、ミ...
Weblog: 風に吹かれて-Blowin' in the Wind-
Tracked: 2007-12-09 14:38

ブラック・ダリア
Excerpt:  『世界一有名な死体、世界一忌まわしい謎。』 コチラの「ブラック・ダリア」は、ハリウッドの伝説的迷宮入り事件に着想を得て書かれた「L.A.コンフィデンシャル」の原作者ジェームズ・エルロイの同名ベストセ...
Weblog: ☆彡映画鑑賞日記☆彡
Tracked: 2008-05-06 19:13