2001年 アメリカ映画 115分 SF 採点★★★
子供の頃から宇宙だの惑星だのに興味があった私は、TVで放映されたカール・セーガンの“コスモス”にいたく感激し、親にねだって“コスモス”の本を買ってもらうほどの夢見がちな少年でございました。まぁ、今でも馬頭星雲の写真だけで一時間は妄想に耽れる夢見がちな大人ですが。その“コスモス”に載っていた「もし他の太陽系の惑星に生命体がいたら、こんな感じじゃない?」と想定して描かれた数々の生命体は、「さすがに火星にはタコ型宇宙人はいないだろう」と成長の兆しを見せていた私でさえもワクワクしたものです。もちろん、今でもワクワクしてますが。そんな私だったので、同じく子供の頃TVで放映されたフェイクドキュメンタリー“第三の選択”に、ものの見事に騙されたんですよねぇ。
【ストーリー】
人類が火星に移住をし始めた西暦2176年。火星の古代遺跡から“何か”が放出され、その“何か”に憑依された人間は豹変し人々に襲い掛かっていった。そんな混乱の中、ゴーストタウンと化した町で火星の亡霊に囲まれた刑務所に取り残された警官と犯罪者達が、彼らに戦いを挑む。

この作品以来、ずいぶんと劇場用映画を撮っていないカーペンター。最近では、『アサルト13 要塞警察』やら『ザ・フォッグ』『ハロウィン』のリメイクが続きとりあえず生活費には事欠かないようではあるが、やはりオリジナル映画がないのは寂しいもの。
カーペンターファンには絶賛され、それ以外にはそっぽを向かれた本作。篭城状態の中、犯罪者と法の番人が“男”として(=戦士として)手を組み、正体不明の強敵に立ち向かう基本プロットは『要塞警察』を例に挙げるまででもなくカーペンター的。アウトローに“砂漠”というしびれるあだ名をつけるのも、その仲間に“その一”“その二”“その三”といかしたあだ名をつけるのも、素敵なまでにカーペンター的だ。そして、マリリン・マンソン風の火星の亡霊たちが先住民であり、人類の方が侵略者であるという位置づけを崩すことなく描ききるのもさすがだ。首が盛大に飛びまくるクライマックスの迫力もかなりなもので、最初から最後まで悶絶して鑑賞できた。しかし、それは私がカーペンターファンだからである。明らかに安っぽい外観を想像力と優しさで補い、羅生門をやりたいのか水増ししたいのかイマイチ判別不能な繰り返される回想シーンも、極力好意的に受け止め、ドラッグのトリップシーンでのビックリするくらい分かりやすい心象映像にも、「さすが、カーペンター!分かりやすい!!」と膝を打つ。カーペンター臭を敏感に嗅ぎわけるファンならではの反応だ。ただし一見さんを打ちのめすだけのパワーはない。『ハロウィン』や『マウス・オブ・マッドネス』、それこそ『ゼイリブ』にもあった「なんだ、コレは?」と思わせるエネルギーがないのだ。その安っぽい外観で易々と“B級”のレッテルを貼られてしまった、この作品。「だって、低予算だし…」ってのは言い訳にしかならない。『マウス・オブ・マッドネス』は、この半分の予算で作られてたし。

もしかして予算の大半がギャラに消えたのかとも思えるほど、意外に顔ぶれが豪華なこの作品。人間離れした美貌とスタイルで登場し、やっぱり人間じゃなかった『スピーシーズ/種の起源』のナターシャ・ヘンストリッジ。本作でも相変らず見事なスタイルを披露しているが、そのスタイルとトリップシーンがなんとなくエッチな感じがした以外はさほど印象に残らず。『トリプルX ネクスト・レベル』『ボクらのママに近づくな!』のアイス・キューブの方は相変らずズングリムックリで可愛いのだが、“砂漠”といういかしたニックネームがつくアウトロー役にしてはカリスマが感じられない。アウトローってよりはチンピラ。『トランスポーター2』のジェイソン・ステイサムの頭頂部にぱやぱやと髪の毛が残っているのに驚いたが、本作で一番驚くのはパム・グリア。当時もう50を越えているのに、すっごく綺麗。きっと『クラス・オブ・1999』の時同様アンドロイドなんだな、実際に。タランティーノ同様カーペンターも彼女の大ファンらしいのだが、タランティーノが『ジャッキー・ブラウン』で女神のような美しい女性に描いたのに対し、カーペンターはまず『エスケープ・フロム・L.A.』でドラッグクイーンにし、本作では開始早々さっさと首を切り落とす。独特な愛情表現で。
ぽけーっと観ている分には耳に入るのはいつものカーペンター節溢れるサントラなのだが、演奏しているのはアンスラックスにバケットヘッドにスティーヴ・ヴァイ。あらま、すごい顔ぶれ。全く違和感を感じないため、「スラッシュメタルのルーツはカーペンターなんだぁ」と勘違いしそう。間違いなく勘違いなんですが。

好きな娘に、思ってもいない悪口とか言っちゃうタイプなんでしょうねぇ
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良いですよねぇ〜 凄く好きな星雲です♪
>カーペンターファンには絶賛され、それ以外にはそっぽを向かれた本作
それって、よく分かります(苦笑)
パワー不足の部分は、見ているのがファンなら愛情で補っちゃいますが、そうでない方には・・・
哀生龍はカーペンター・フリークと言うほどのファンではありませんが、B級テイストが好みに良く合うんですよ♪
TBありがとうございました♪
そうか、これって、一般ウケしない作品だったんですね(笑)
私ってば、全然、一般的感覚に乏しくてw
みんなモレなく、これ好きになってくれるんじゃねーかー、っつー勢いで書いてしまいました・・・焦っ
パワー不足は、ヘビメタと、不気味カワイイ原住民&ズングリムーたん☆なアイスキューブで、だーいじょーぶでしょー♪
ところで、『ゴケ』は手に入りませんか?
そろそろ、送った方がよろしくて?
謹んで、送らせていただきましてよ・・・ちゅっ☆
そうなんですよね。ついつい暖かい目で見守ってしまうんで、甘やかしてもしまうw
充分に面白い作品なので、外見だけでも整えれば、もっと沢山の人がカーペンターにハマるのになぁ、と。
私も「みんなフツーに好きだろ?」と思い込んでいるのが多いんですよねぇ^^;
「はぁ!?」って顔されますしw
あぁ、そうそう!『ゴケ』!
忙しいのにかまけて、スッカリ忘れてた!!
近々探した結果を報告しますので、なかった場合は是非!
この作品ですが『DOOM』の元ネタという観点で観てましたw・・・。
(設定は『DOOM』は2026年、『GOM』は2176年という事で《150年後》ですね・・・。)
「宇宙海兵隊(植民地海兵隊)」「機動歩兵隊(SST)」も良かったのですが、
この作品の「MFP(Mars Force Police)」もなかなか良いですね・・・。
『DOOM』の「海兵隊:緊急対応戦略部隊(RRTS)」にも期待しています。
【パム・グリア】等が使っている「ショットガン」は「SPAS15」のカスタム・モデルだと思うのですが、こういう「銃」のチョイスが素晴らしいです・・・。「ノリ」が良いし面白い作品でした・・・。
『ドゥーム』は先日レビューを上げたんですが、まぁ立派なロック様映画で^^
SF文脈には疎いので“火星の古代遺跡”や“機動歩兵隊”がどのへんにルーツがあるのか定かではないのですが、“スターシップ・トゥルーパーズ”あたり?
古代遺跡繋がりで『ミッション・トゥ・マーズ』を久々に観たいなぁと^^
で、今作ですが、さすがにツボを押さえた作りになっており、満足度も高いんですが、そのツボがまた微妙に対象観客が狭いものでw
私も宇宙大好きです!
『コンタクト』というトンデモ映画も、世間では酷評されていましたが私には大傑作で、「こんなに広い宇宙に人類だけなんて勿体無い」(でしたっけ)と言うセリフなんて、会う人会う人に言い回りたくなってしまいました。
それはさておき、この作品。
「なぜ舞台が火星だったのだろう・・・」と言うのが一番の疑問でしたが、「アウトローっぽい星だったから」という事かもしれませんね。
ズングリムックリなアイス・キューブ、可愛かったです♪
『コンタクト』は良い映画ですよ!
ヒトラーの映像に設計図を隠してみたり、北海道に秘密基地があったり、やっぱりその秘密基地は畳張りだったりと、素晴らしいシーンの連続ですし!
で、本作。きっと“火星の亡霊”ってタイトルが、なんとなく素敵だったからじゃないですかねぇ。