2011年 イギリス映画 90分 戦争 採点★★
低予算の映画でも、それなりに名の知れたスターをゲストに呼べばいっぱしの映画のように装う事が出来たりしますよねぇ。一時期のデ・ニローロみたいに、本職が“ゲスト俳優”な人もいますし。もしかして、最近のショーンはその路線を狙ってるのかも知れませんねぇ。楽に稼げそうですし。ただまぁショーンの場合は、主役扱いのゲストになっちゃったりするんで、あんまり楽はさせてもらえてなさそうなんですけど。
【ストーリー】
第二次世界大戦下のイギリス軍。ドイツ軍の最新鋭レーダー装置の奪取を命じられたジョーンズ少佐は、精鋭らを招集しコマンド・ユニットを結成。ノルウェーにあるドイツ軍基地を目指すのであったが…。
“ジェームズ・ボンドの生みの親であるイアン・フレミングも関与!”と謳い文句にありますけど、出てるには出てますが別にマティーニ片手に美女を口説いてるわけではないので、過度の期待は禁物の戦争スパイアクション。
軍事機密を奪取せんと結成された英国精鋭部隊とドイツ軍の戦いを描いた本作。如何せん予算にも描き手の才覚にも乏しいので見てくれは寂しいが、それなりの戦闘シーンに現地の美人スパイ、それに軍服姿がビシリと決まってるショーン・ビーンと観たい物が最低限揃っているので、多少贔屓目ではあるが楽しむ事は出来た一本。
ただまぁ、クライマックスから結末にかけての一世一代の尻すぼみ感はなんともかんとも。シリーズ途中で打ち切りの決まったドラマのように、唐突かつフワっと終わる。それもこれも、本来の主人公である脱走兵と通信機器の専門家との間に生まれる友情と、“命を賭けて守るが、敵の手に渡るのなら殺さなければならない”ってジレンマをメインに、兵士たち個々の姿を描かなければならなかった所を、スペシャルゲストのショーンの出番が増えに増えちゃって、肝心な部分が薄っぺらになっちゃったからなんでしょうねぇ。“ショーン・ビーン”を取るか“見た目は地味だけど面白い映画”を取るかの二者択一の上、ショーンを取った作り手の気持ちも分からなくもないんですが、そもそも“ショーンが出ている面白い映画”って選択肢がないってのはどうかと。
そんな戦争アクションとしては随分とアレな作品ではありましたが、ショーンを愛でる分には然程文句もない本作。「優秀な軍人だけど、破天荒な一面もあるのよ!」とハードルを上げられた前フリで登場するショーンでしたが、軍服のハマり具合も、幾分付き過ぎの感じもした顔の肉付きも“頼れる男”としての風格十分。劇中ショーンの活躍で危機を脱したシーンもなければ、「オレに銃を向けたら命はないと思え!」と言いながらも、その直前のシーンで若造に銃を突き付けられスゴスゴ言う事を聞いちゃってるんで泣き言にしか聞こえなかったりもしますけど、風格だけは十分。自分の命を預けるには若干の不安が残りますけど、「あの部隊の隊長カッコイイよねぇ!」と遠くから眺めてる分には文句なし。ただまぁ、“散り様芸人”として(たぶんきっと)名の知られるショーンの死に際をウヤムヤにしてしまった作り手の分かってない具合には、なんとも腹立たしさを感じてしまいましたが。
また、本来の主人公である脱走兵役に、ショーンとは『必殺処刑人』で共演済みのダニー・ダイアが。なんとも煮え切らない役柄を、持ち前の山崎邦正顔で抜群にイライラさせてくれる好演。その他、イアン・フレミング役に『ブラッド』のジェームズ・ダーシー、女スパイ役に『タイタンの戦い』のイザベラ・ミコらも出演。まぁ、この顔ぶれじゃぁショーンの出番が増えまくるのも仕方がないのかと納得も。
ショーンとその他大勢
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最近うっかり『必殺処刑人』を観てしまったばかりの中、この記事を見て「あ、ショーン映画だ!」と嬉しくなりました。「ショーン映画」って単語も何か変ですが。
いつもは自分が「その他大勢」になってることの多いショーンなので、今回の「ショーンとその他大勢」はかなり珍しいですね。
>「あの部隊の隊長カッコイイよねぇ!」と遠くから眺めてる分には文句なし
>散り様芸人
ショーンには悪いけど、たおさんの指摘&表現が本当に的確で驚きです。
「俺がボスだ!」って言われても、「だから何だ!!」って返したくなる『必殺処刑人』よりは、今回のほうがマシみたいですね。
>「ショーン映画」って単語も何か変ですが
いや、ショーン映画はショーン映画ですw
“どう死ぬか”ってのがショーンの見せ場の一つだと思ってるんですが、どうやらこの監督はそこを分かってないようで。。。
DVDスルーでショーンが出ているとなれば、きっと素敵なB級映画に違いない!
と思って見ていても、あの尻すぼみ感は予想の上を行ってました(苦笑)
ここまでショーンを主役並みに扱ったのなら、この際思い切って、「ショーンと鬼軍曹たち」とか「ショーンと仲良しフレミング」とか、そっちをもっと見たかったですね。
突然フワっと終わりますからねぇ^^;
ゲストのショーンを主役にするんだったら、せめてショーンのキャラにドラマを作っておいて欲しかったですよねぇ。“身重の妻を残して戦地へ向かう”って部分も、奥さんに怒られてショボンとしてるか、娘が産まれたって聞いてニヘラってしてるかだけでしたからねぇ^^;