アイ・アム・ナンバー４ (I Am Number Four)

監督　Ｄ・Ｊ・カルーソー　主演　アレックス・ペティファー
2011年　アメリカ映画　110分　アクション　採点★★

小説を一字一句映像化するのは無理ですし、何よりも無駄だと思っている私。観る行為と読む行為は別物ですし。もちろんだからと言って好き勝手していいわけでもなく、省略と再整理と膨らましを施して一本の映画としてスムーズな流れを作りつつ、“何を描くべきか？”を見誤らないようにするってのが重要なのかと。原作のテーマの大切な部分だけは踏襲しつつ、「へぇ、これ映画オリジナルじゃなかったんだ！」って思えるほど楽しませれるかどうかが、作り手の腕の見せ所なんでしょうねぇ。



【ストーリー】
モガドリアンによって滅ぼされた惑星ロリアン。番号を割り振られた生存者9人は、彼らを守る保護者と共に地球へ飛来し、正体を隠しひっそりと暮らしていた。しかしモガドリアンの執拗な追跡により、彼らの3人は番号順に殺されてしまう。その頃、オハイオ州の田舎町で高校生として過ごしていたナンバー4の身に変化が表れ始め…。



人気ＳＦ小説“ロリアン・レガシーズ”の一作目を映像化した、『イーグル・アイ』のＤ・Ｊ・カルーソーによるＳＦアクション。
元々の原作がそうなのか、はたまた作ってる最中に「なんか『トワイライト』流行ってるらしいから、ウチもそうすっぺ！」となったのかは不明ですが、ＳＦアクションってよりは、ジョックスが支配する学園でジョックスの元カノと恋に落ちたり、いじめられっ子のギークと仲良くなったりする、非常によくある学園物の色合いが濃い本作。それはそれで何かしらの特色があるなり、本腰入れて王道を邁進していれば面白くもなるんですけど、印象はありものの寄せ集め。ロリアンとしての物語も馴染み切っていないので、“歩く懐中電灯が思春期患って面倒臭くなる”って物語みたいにも。
壮大な設定や背景をナレーションやダイジェストで済ませることに関し不満はないのだが、本作は全てに関しとってもダイジェスト。主人公を守るべき守護者が知らん内にそこらのオッサンに捕まってたり、監視カメラがあるだけでテロリスト扱いされたり、いつの間にか地球を守る話になったり、御主人を守るために犬が命を賭けて戦ってるのに、御主人は全くその事を意に介してなかったりと、非常に大雑把過ぎる展開も目に余る。画に力がないせいもあってか、観終わった後の印象は“シリーズ化を果たせなかったパイロット版”って感じ。何人か出てこないロリアンもいますし、シリーズ化にする気満々の締め括りを見せてますけど、作るならその辺をギューっと60分位にまとめたダイジェストでもういいかなと。



“歩く懐中電灯 兼 充電器”という、なんか後方支援型の宇宙人である主人公に扮したのは、『アレックス・ライダー』のアレックス・ペティファー。独特の色気を発する綺麗な顔立ちをした少年だった彼も、いつの間にやら端正な顔立ちのオッサンに。端正って以外の個性なし。顔立ちも演技もこういう雰囲気の若手が非常に多いせいか、ババーンと登場してもナンバー１〜３のどれかかと思ってしまう、主演俳優としての説得力の無さも残念。
その他、なぜどっちか一方の髪を黒くするなりしてキャラ被りを減らさなかったのか不思議な、ＴＶ畑のダイアナ・アグロンと『魔法使いの弟子』のテリーサ・パーマーのヒロイン二人に、「今はギーク役にも可愛げが必要なのかい？」と思ったカラン・マッコーリフ、遠慮がちないじめっ子だった『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』のジェイク・アベルと、本作がＴＶのパイロット版に見えてしまっても仕方がない面々が。
しかしながら、わざわざ変装してスーパーのレジにちゃんと並ぶ、地道な努力を惜しまない潜伏生活っぷりが涙ぐましいモガドリアンの長に扮した『リアル・スティール』のケヴィン・デュランドと、モガドリアンには強いがオッサンには弱い守護者に扮した『クレイジーズ』のティモシー・オリファントが、なにかと浮ついた本作に映画らしい重さを与えてくれる好演を。特に、保護者としての厳しさと優しさ、そこにいたずらっ子のようなお茶目さまでをも感じさせてくれたティモシー・オリファントの存在は大きい。まぁ、思いのほか出番が少ない上に途中退場しちゃうんで、もう台無しなんですけど。


夜道は先頭に立ってて欲しい

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Comments

最近ティモシー・オリファント祭りを一人で開催し
残すところ「ダメージ」S２だけとなったかえる星人です。
こんにちは♬

私の大好きなデュランド＆オリファントが出演となれば
もう、ウハウハで（←ここでもう間違ってますが）
観たんですが、うーん。これってぇぇぇ、SF？
穴だらけの設定や唐突な展開。
いくら脇のおじさま二人がひっぱってくれたとしても
中身がスッカスカじゃあ、あまりにも苦しい。
もし万が一続編出来ても、観ないなー、きっと。

Posted by かえる星人 at 2012年02月01日 12:54

アレックス君がいつの間にやら成長しすぎてしまいまして...タダのイケメンになってしまいました(泣)
その時点でテンション下がったのに、内容もいまひとつ...さぁこれからって時に終わりとは^^;
続編無理っぽいですよね。

Posted by yukarin at 2012年02月01日 13:52

暗闇でとても便利なのですが、こういう人が映画館にいて光られると困りますね

Posted by おくやぷ at 2012年02月01日 17:47

かえる星人さま、こんばんは！
ティモシー・オリファント祭りとは、なんとも楽しそうですねぇ。きっと『ドリーム・キャッチャー』を夜通し観まくってらっしゃるんでしょうねぇ。それは楽しい！
にしてもコレ、あんまりにも残念な作品でしたねぇ。追手が数人しかいないんなら、最初っから守護者と合わせて18人で結託してた方が良かったんじゃないのかと。「若者向けにはこれでいい」ってなら、別に若者じゃなくていいやって感じで。まぁ、若者じゃないですけど、随分前から。

Posted by たお at 2012年02月01日 20:11

yukarin様、こんばんは〜♪
ホント、20歳そこそこにしては老け過ぎのイケメンに成り果ててましたねぇ＾＾；
まぁ、テンションが上がっててもあの内容じゃ、すぐにダダ下がりになること請け合いかと。

Posted by たお at 2012年02月01日 20:14

おくやぷ様、こんばんは！
暗くなってから席を探す時は便利そうですけどね＾＾；

Posted by たお at 2012年02月01日 20:15

アレックスの時はあんなに輝いてたのに。。。でも、逆におじさんになったらショーン･コネリーみたいな渋いオジサマになる可能性も？（笑）なんて^^;
私はそれなりに楽しめたので、続編あれば観たいですけど。。。やっぱり、無理ですよね〜、きっと^^;

Posted by りら at 2012年02月04日 19:50

>非常によくある学園物の色合いが濃い本作
駄目男子高校生が主役の青春ラブコメだったら、アレックス・ペティファーは癖の無い２枚目君なので、意地悪な敵対ジョックス役の方が似合いそうな・・・（笑）

本編の続きはもう作ってくれなくても良いので、可愛げのあるモガドリアンたちとオリファンと演じる守護者の、コメディ系スピンオフを作ってもらいたいです！

Posted by 哀生龍 at 2012年02月04日 23:51

りら様、こんばんは〜♪
「アレックス・ペティファーってこんな顔だったっけ？」ってのが、最初に受けた印象。人間、僅か数年で変わっちゃうもんですねぇ。

Posted by たお at 2012年02月05日 21:53

哀生龍さま、こんばんは〜♪
＞意地悪な敵対ジョックス役の方が似合いそうな
それだ！
なんか違和感を感じるなぁと思ってたんですが、奴がジョックス顔してるからだ！
にしても、結局守護者がどんな能力を持つどんな人なのかさっぱり分からない映画でしたねぇ。。。

Posted by たお at 2012年02月05日 21:56

昨日、雪のせいだと思うんですが、久しぶりに停電。
６時頃まで消えてたんですが、懐中電灯がない！！
ついこの間、学んだことは一体？？の状態でありました。
こういうときに、絶対必要です、歩く懐中電灯！
続編、作るんでしょうかねえ？

私もオリファントで満足してました。次でないからもういいけど。

Posted by sakurai at 2012年02月07日 13:25

sakurai様、こんにちは！
うちの先日漏電が原因で停電になったんですけど、手回し懐中電灯片手に右往左往。ホント、なんら教訓になってない＾＾；
で、コレ。オリファントがオビワンみたいにボワーっと光ってる存在で出ずっぱりになるんだったら、続編を見てみようかと。まぁ、レンタルで。

Posted by たお at 2012年02月08日 11:11