2005年 アメリカ映画 90分 ホラー 採点★★
オカルトブームの全盛期、幽霊やらUFOやらUMAやら大好きだったくせに滅法怖がりだった子供時代の私。親の言うことをよく聞くような良い子ではなかったので随分と親を手こずらせたようだが、この怖がりの性質を利用して「言うことを聞かないんだったらUFOに電話して連れて行ってもらうよ!」と、よく脅されてもいました。木曜スペシャルなんかで見た、巨大なUFOに人間が吸い上げられていくシーンが深く脳裏に残っていたので、親が受話器を持ち「電話するよ!」と言えば、泣き叫んで言うことを聞いたようです。でも、その“UFOの電話番号”ってのが、どういうわけか局番が“03”。「ホラ!03に電話するよ!03に!」てな具合に。“03”がUFOの番号じゃないことと、地方から東京なんかに電話したら、その通話料金に親の方が震え上がることを知るのは、そこから10数年経ってからなんですけどね。
【ストーリー】
15年前、父親が部屋のクローゼットから現れた何物かに襲われ消息不明となってしまったティム。未だに暗闇と密室に大きな恐怖感を持つが、今では美しい彼女と仕事に恵まれ平穏な生活を送っていた。しかしある日、母の死の知らせを受け帰郷。忌まわしい過去の眠る実家へと戻るが、そこに何物かが現われ…。
ちょっとでもクローゼットが開いてりゃブギーマンに襲われ、乳歯が抜けりゃマチルダ婆さんに襲われ。アメリカで子供時代を過ごすのもなかなか大変そうだ。
『THE JUON/呪怨』も送り出したサム・ライミの“ゴースト・ハウス・ピクチャーズ”が、『スクリーム』以降笑いに走るかマニアックな楽屋オチネタに終始する昨今のホラーに喝を入れるかのごとく製作した、ホラーの原点回帰とも思える純ホラー。アメリカの子供なら誰でも知っているらしいクローゼットに潜む化け物“ブギーマン”をモチーフにしているが、別に緑のフサフサした奴が悲鳴を電力に変えるために出てくるわけではない。じゃぁ、「何の為人々を襲うのか?」と言えば、よくわかんない。まぁ、襲われた人がなんとなく黒っぽくスカスカになってたので、恐怖心をなんとかしたいのかなと。多分、電力かなんかに。この目的が曖昧なのは『黒の怨』のマチルダ婆さんと大して変わらないが、ブギーマンが何をしたいのか曖昧でも話の本筋に影響はさしてないのでよしとする。しかし、いかんせん展開が地味。物語の大半を意味深なフラッシュバックで埋め尽くし、肝心のブギーマンが活躍して解決するまでをラスト10分くらいでまとめちゃうのは、いかがなものだろう?原点回帰を狙って余計な要素を削ぎ落としたのはいいが、肝心のケレン味と醍醐味まで削ぎ落とした結果に。『追撃者』でも無駄に凝った映像を見せてくれたスティーヴン・ケイ監督だけあって、あっちこっちがどこでもドアな映像処理など面白い部分もあるのだが、物語の構成というか比重に難があるのが残念。
基本的に“ブギーマンが存在する”前提で作ってあるのだが、その前提が曖昧だったら面白い作品になってたかも。見ようによっては、精神異常の主人公が自分の犯した罪から現実逃避をしたいが為に、ブギーマンのせいにする物語にも見えるので。その観方をすると、深夜に主人公が廃屋で幼い女の子と二人きりになるシーンが、一番怖かったりする。まぁ結局の所、主人公の恐怖心がブギーマンに実体を与えてしまったようなものなので、似たようなものですが。物語はとりあえず終焉を迎えましたが、到る所に主人公の犯行を証明してしまう痕跡があるので、この後が大変そうですねぇ。
誰も彼もが見覚えのない俳優ばかりなのだが、揃いも揃って皆顔が下品。“下品”と一言で済ましてしまうのもアレだが、そう思っちゃったんだから仕方がない。主人公の彼女に到っては、黒々とした眉毛に染め抜いた金髪が分かりやすいほどに下品で、とても資産家の娘に見えない。しかも、劇中母親の葬儀を終えたばかりの主人公に呼ばれもしないのに会いに来た上に、「2時間半もかけて来たんだから、そんな顔してないで楽しみましょうよ」と。なんだ?どんな状況下でも、お前の自尊心を満たしてやらなきゃなんないのか?
ところで余談だが、子供の失踪はアメリカで深刻な問題のようで。一時アメリカにいた時も、到る所で行方不明のビラを見たものです。朝牛乳でも買おうと近所のスーパーへ向かえば、道すがらそのビラが目に入り朝っぱらから気分が落ち込み、ようやく牛乳を買えば、その牛乳パックにまでプリントされている写真入りの“この子を探してます”広告を見て、さらに打ちのめされたものです。実際のこの問題には、ブギーマンなんかより遥かに根深くドス黒い真実が潜んでいるんでしょうね。
都市伝説になってしまうほど膨大な数の子供たちが
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アメリカって多いみたいですね、子供の失踪事件。
日本もそんな事件が目立ってきたような...。
やっぱり現実の方が恐いですねぇ。
どんな化け物よりも怖いのが人間ですねぇ、確かに。
で、そんな凶行に走ったのを全てゲームや映画のせいにする自称良識派の人間も恐ろしいですが。
見るリストから外れたためまだみてないんですけど
どうしょうかな〜と思いつつたおさんのレビュー冒頭を見て(後半は見るときの為にとっておきます)笑ってしまった!
UFOに電話!って
電話で呼ぼうとするたおさんのお母様に脱帽!
で私も、昔から怖がりのクセにやたら怖いもの「あなたの知らない世界」なんかを年の離れた弟を道連れに!観ていました
一人じゃ怖いからね!
私は平気でしたがお陰で弟が極度の怖がりのため、毎晩困ってました
イヒヒヒヒ・・・
が、そんな弟もすっかり姉に感化されてかホラー好き!
って本編いがいでのたまってしまいました
まぁ、UFO以外にも到る所と電話が繋がっていたようですが、我家は。何かあるたびにUFOやら大男やら幽霊やらに電話されてましたねぇ。。。
おかげで立派なホラー好きに。“おかげ”ではないか。
>乳歯が抜けりゃマチルダ婆さんに襲われ。アメリカで子供時代を過ごすのもなかなか大変そうだ。
このフレーズ、すごく笑えました!
確かに、今回の事件、主人公が疑われそうですネ!
生き残るのがしんどそうな国です。
歯ぁ抜けたくらいで婆さんに襲われるのだけは、勘弁願いたいですが。
今回の事件は、間違いなく主人公の妄想ですねぇ。そう見たほうが怖いですし。
子供失踪の事件は、アメリカ映画を見ていたら、よく出てきますよね。
僕は「BIG」が印象に残ってます。
確かにブギーマン、何奴なのか?最後までわかりませんでしたね。
主人公の妄想が生み出したものとして考えるのも面白いですね。
また、宜しくお願いします。
主人公の彼女には退きましたね〜。趣味悪いぞ、と思いつつ見てました(笑)
それにしても、子供の失踪事件は本当に深刻ですよね。以前、牛乳パックにまで失踪人のプリントがされているのを知って驚いたのを覚えています。できるだけたくさんの人の目に触れるもの、ということなんでしょうけど……恐ろしい現実ですね。
結局なにがしたいのかサッパリわからない押入れオバケ。その辺が曖昧だから怖いかというと、そうでもないし・・・。
付き合ってる相手を見れば、その人のレベルもわかるものですよねぇw
失踪問題ですが、他者の犯罪に巻き込まれているのも多いんでしょうけど、家庭内の問題で失踪するのも多いようなんですよね・・・。遥かにこっちの方が深刻です。
ちーっとも怖くなくて、クローゼットから化け物って言うとモンスターズ・インクしか思い出せなくて(あ、ポルターガイストもクローゼットに引きずり込まれましたねw)、どこでもドアが出てきた日にゃ、ドラえもんかと思いました(笑)
それにしても、家まで押しかけてくる彼女の無神経ぶりに、結婚してもきっと主人公は失踪したくなるんじゃないかと余計な心配をしてしまいました。
行方不明の子供の記事が出てきたときには、「おぉ!そこに結びつけるのか!!」と思ったのですが、ちょっと空回り気味になったのがもったいないですね。
雰囲気だけは悪くないんですが、自尊心だけを満たしてもらいたい彼女が全てをぶち壊しに^^;