2009年 タイ映画 112分 アクション 採点★★
酒を飲むと、途端に気が大きくなる人っていますよねぇ。あれも一種の酔拳なんでしょうねぇ。ってことは、酒を飲むと強くなる私の性欲も、きっと酔拳なんですね。そうですね。
【ストーリー】
彼氏に裏切られバンドもクビになったデューはやけ酒をあおっていたところを謎の誘拐組織ジャガー団に襲われるが、そこへ颯爽と現れたサニムによって救われる。それぞれ大切な女性をジャガー団によって奪われた彼らの仲間入りをしたデューは、泥酔拳をマスターし、自ら囮となってジャガー団のアジトへと向かうのだが…。
誘拐組織に戦いを挑む若者たちの姿を、ちょっとした恋模様を絡めて描いた青春アクション。監督は、『チョコレート・ファイター』で編集を務めていたラーチェン・リムタラクーン。
アクションのみならず、ポップな映像処理でちょいと切ない恋模様や仲間としての結束といった青春映画の要素を描いたかと思いきや、突然謎の誘拐団が現れたりと、なんでもありのゴッタ煮っぷりに一昔前のアイドル映画を彷彿させる本作。出演者全員が相当身体が動くので、アイドル全員がJAC出身みたいな感じの。ただまぁ、ゴッタ煮過ぎて山あり谷ありが延々と続く、「この映画、終わらねぇんじゃないか?」と思わせるダラダラ感は否めず。クライマックスの盛り上げ方が単調ってのも、そう思わせる要因かと。まぁ、突然『パフューム ある人殺しの物語』みたいな展開になってビックリはしますが。
メインの格闘スタイルである“泥酔拳”が、ダンスを取り入れたカポエイラのような動きで見た目には非常に派手。ただ、仲間全員が基本的に同じスタイルで、バリエーションにも凄味にも欠けてしまってるのは痛い。観ていて思いのほかすぐ飽きる。この辺のバリエーションと凄味の少なさは、製作を務めているパンナー・リットグライが直接アクション監督を手掛けていないからなのかなぁと。「素材も題材も悪くないのになぁ」って感じの一本で。
“ジージャー”ヤーニン・ウィサミタナがどんな進化を遂げているのか楽しみだったのに、アクションの撮り方に問題があるとはいえ、ある意味逆に退化しちゃってたってのが最大のガッカリだった本作。それでもアレな子役だった『チョコレート・ファイター』と異なり、感情も表情も豊かな“普通の女の子”って役柄を観れたのは新鮮。身体は動くが演技は出来ないタイプなのかって不安も正直あったが、惚れた男が愛する女性を救う為に頑張るというなんとも切ない役柄を難なく好演。その役柄と気の強そうな顔立ちが非常にマッチしていたようにも。何て言うか、『恋しくて』のメアリー・スチュアート・マスターソン的と言うか。
その他に、『マッハ! ニュー・ジェネレーション』のカズ・パトリック・タンや、リットグライ組の若手スタントマン、印象には残るが名前の読めない方々がわらわらと登場。そんな佃煮状態の若手を、ヤーニン・ウィサミタナと絡めてなんとかしたかったってのが趣旨の一本だったのかなぁと。
まぁ、楽しい映画だったことには違いないんですが
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