2012年01月03日

ベティ・サイズモア (Nurse Betty)

監督 ニール・ラビュート 主演 レニー・ゼルウィガー
2000年 ドイツ/アメリカ映画 112分 コメディ 採点★★★★

一応サブタレは映画ブログのつもりなんで役者についても触れることが多いんですが、書いてることってのはキャラクターや役者のパブリックイメージを基に、あーだこーだ憶測と思い込みと勘違いなものばかり。親しいわけでもないんで、その役者がどんな人なのか知る由もなし。でも、役柄や表向きのイメージを信じ切っちゃってる人ってのも、決して少なくないんですよねぇ。

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【ストーリー】
昼メロ“愛のすべて”に夢中のベティは、そのドラマの主人公デヴィッドと結ばれる事を日々夢見るウェイトレス。そんなある日、ベティは自宅で殺し屋に夫のデルが殺される現場を目撃してしまう。ショックのあまり現実と妄想の区別がつかなくなったベティは、デヴィッドが待っているであろうロサンゼルスに一人旅立ってしまう。一方の殺し屋コンビも、ベティを追ってロサンゼルスへと向かうのだが…。

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ニコケイ版『ウィッカーマン』を作っちゃったニール・ラビュートによる、イチゴ大福だと思って食べてみたら、イチゴの代わりに生肉が入ってたみたいな感じのコメディ。
夢見がちな女性が夢見たまま大都会へ行き珍騒動を起こすって物語自体も、主人公のベティのキャラクターもフンワリしているので、全体的にフワフワした雰囲気が漂っているのだが、それはあくまで表面だけで、薄皮一枚隔てた内部はかなりドロドロした本作。エゴの塊のような業界人や、冷血な殺し屋コンビとは対照的にベティは善人なのだが、但し書きとして“精神は完全に崩壊しているが”と付いてしまう設定も強烈。脳内がすっかりパラダイスと化したベティが、なんだかんだと願いを叶え続けていく狂人無双状態に対し、素直に笑っていいのかどうか迷ってしまう際どい作りも見事。
ソフトな笑いと血生臭い暴力描写が混在しているのも特徴である本作。表向きのイメージとは裏腹に幼い頃から幸せとは無縁のベティを筆頭に、壮絶な運命が待ち受ける殺し屋コンビ、プライドが破壊される人気俳優など、冷静に考えると誰一人幸せになっていないこの物語を、しっかり最後まで笑わせたまま締め括る脚本も上手い。ある種『シリアル・ママ』と同様に、いつまでも記憶に残る意欲/異色作になっているのではと。

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主人公のベティに扮しているのは、『ケース39』のレニー・ゼルウィガー。決して絶世の美女ってわけではないのだが、だからこそこんな気立ての良い役柄が良く似合う。完全にゲシュタルト崩壊を起こしちゃってるキャラではあるんですが、単なるアホちゃん風情で留めたのも彼女持ち前の柔らかさ故ではと。
一方の殺し屋コンビに扮したのが、『RED/レッド』『ゴーン・ベイビー・ゴーン』のモーガン・フリーマンと、『アダルトボーイズ青春白書』『ロンゲスト・ヤード』のクリス・ロック。毅然とした老殺し屋に扮したモーガン・フリーマンはいつも通りの安定感だったのだが、それ以上に強烈な印象を放ったのがクリス・ロック。いつもの笑いにコーティングされた“怖さ”から笑いを取り除いた、純粋な怖さを感じさせる怪演。オチを持ってこないクリス・ロックの怖いこと怖いこと
その他、『世界侵略:ロサンゼルス決戦』のアーロン・エッカートや、今回も見事なまでの胡散臭さだった『オー!マイ・ゴースト』のグレッグ・キニア、その瞳の動きから不安に駆られた神経質な役柄を多く演じる『コンスタンティン』のプルイット・テイラー・ヴィンスらも共演しているが、個人的に嬉しかったのは『オフロでGO!!!!! タイムマシンはジェット式』のクリスピン・グローヴァーの出演。ある意味劇中で唯一幸せになる役柄を演じてるのがクリスピンってのが、なんとも強烈でもあるなぁと。

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妄想中くらいは全部叶えたい

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posted by たお at 09:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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