2006年09月25日

キス★キス★バン★バン (Kiss Kiss (Bang Bang))

監督 スチュワート・サッグ 主演 ステラン・スカルスガルド
2000年 イギリス映画 101分 ドラマ 採点★★★★

若い頃からハワイアンバンドで活躍している私の父は、夏になれば本業そっちのけでツアーに行っちゃったりしております。もともと趣味人で凝り性の父は、鳥を飼い始めれば知らん内に巨大な鳥籠を庭に作り、何百羽ものインコを飼い始め、山野草に凝り始めれば「直射日光は山野草にイカン!」と、庭を鬱蒼とした雑木林に変えてしまう。「やれやれ、困った人だよ」と呆れ顔で見ている私ですが、「あなたって趣味に生きてる人だよね」と年々言われる回数が増えてきていたりもする。なんだ?似てきてしまったのか?

【ストーリー】
ベテランの殺し屋フィリックスは年齢と共に腕が衰え、引退を決意。生活の為、知人が旅行に行く間彼の息子ババの面倒を見ることに。しかし、生まれてからの33年間外に出たことのない、子供がそのまま大きくなった様なババに戸惑うフィリックス。その頃、殺し屋の組織は無断で組織を抜けようとするフィリックスを処刑する為に動き出し…。

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どうせオサレな音楽とコジャレた会話が満載の、いかにも“ミニシアターでございますわよ”な映画だと思い込みと決め付けでノーマークだった本作。それがまぁまぁどうでしょ。笑いありアクションあり人情ありと、一回でお腹一杯になる満足度の高い作品ではないですか。食わず嫌いは直さないといけないですねぇ
60年代風の音楽と小道具が散りばめられ、まるでコミックの一コマを切り取ったかのような構図と色調で溢れる本作。主人公の殺し屋と他の人物の関係は擬似的な親子関係として描かれ、その関係を通し主人公が一人の父親として自立する物語を、笑いと涙のバランスを上手く取りながら描いている。30年以上も外へ出ないで育てられたババも、その天使的役回りから下手をすればファンタジックな存在になりかねない所を、“親の思い通りに育てられた子供”という側面を持たせることで、“無垢”な人間と“大人になることを許されなかった”人間という二面性を持つキャラクターとして描かれ、その“男として育ててもらえなかった”ババと“父親になることを拒んできた”主人公が中間点まで歩み寄り、成長の一歩を歩み出す物語に説得力を持たせている。

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主人公を演じる『RONIN』『不眠症』のステラン・スカルスガルド。どの映画で観ても引っ切り無しに仏頂面をしている印象しかないのだが、こんな子供を見つめる優しい眼差しもするのかとビックリ。ニコチンの過剰摂取でハイパーになった姿を、仏頂面のまま演じてくれたのにもビックリでしたが。
ロック・ユー!』や『ファイヤーウォール』でもお馴染みのポール・ベタニーだが、正直今までは“ジェニファー・コネリーの旦那さん”とでしか印象もなく、さほど惹かれる俳優でもなかったのだが、コレはカッコいい。“スマートでクール”と、きっとあちこちで使い古されているだろうから恥ずかしくて使いたくないのだが、この表現しか思いつかない。冷たい眼差しの中に、得ることが出来なかった父親の愛情を必死に求める悲しさを秘めた役柄にぴったり。着こなしも良かったですねぇ。
そして、その早すぎる死がまだ記憶に新しいクリス・ペン。『レザボアドッグス』以降凶暴性を前面に出した役柄が多かったが、本作では純粋無垢な天使的キャラクターを見事に演じきる。時折悲しげな影を落とす真直ぐな眼差しに、惜しむべき俳優をなくした思いを強くする。

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役者としての懐の深さを実感

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posted by たお at 01:22 | Comment(8) | TrackBack(13) | 前にも観たアレ■か行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これ、マイナーな映画だったけど好きでした。
スタイリッシュ?クール?ありふれた形容しかできませんが(笑)
ああーこのシブイお方がフジツボおやじ(@パイレーツ・オブ・カリビアン)と化すとは。

クリス・ペン、ショーンの演じた「アイ・アム・サム」よりずっと好きです。
惜しい人を亡くしました・・・。
Posted by kino at 2006年09月27日 01:38
たお様
albrechtです。
良い作品です。
クリス・ペン含め役者たちもすばらしいし。
>ポール・ベタニーだが、正直今までは“ジェニファー・コネリーの旦那さん”とでしか印象もなく
あ、そうだったんですか! 知りませんでした。
なんか『ギャングスター・ナンバー1』の印象が強くて、「殺し屋専門キャラ」にしか見えません。日本でいえば、八名信夫みたいな(笑)。
Posted by albrecht at 2006年09月27日 07:33
kino様こんにちはー♪
色使いの奇麗な映画でしたねぇ。私も“ポップでキッチュ”とかしか思い浮かびませんが^^;
クリス・ペンのこういう一面を観れただけでも満足でした。
Posted by たお at 2006年09月27日 12:46
albrecht様こんにちは〜♪
>八名信夫
そこまでw
青汁を飲ませたい俳優ですねぇw
一般的にはまだ知名度のない作品ですが、最近出た『キスキス、バンバン』と間違えてでも観ていただきたい一本ですね。
Posted by たお at 2006年09月27日 12:49
最後のカメラ目線のクリスの画像。
お願い、そんな目で見ないでぇ〜
って感じです(涙)
本当に惜しい人を亡くしました。

どのキャラも、複雑な面を上手に描き出されていて、見る前の予想を良い意味で裏切られました!
Posted by 哀生龍 at 2006年09月27日 20:25
哀生龍さまこんばんはー♪
軽いジャブばかりの映画と侮ってたら、次第にジワジワと効いてきましたね。
役者の力も大きいです。
Posted by たお at 2006年09月27日 21:36
たお様
TBありがとうございます!私も最近DVDでこの映画を見たのですが、後からクリス・ペン氏がショーン・ペン氏の弟さんと知り、さらに今年の春亡くなったと知って、ものすごく哀しくなってしまいました。おじさんなのにとても無垢愛らしいババは、名演技だったと思います。笑い転げて、ラストにはしんみりじんわり。大好きな映画の一つです。
Posted by マメマメコ at 2006年09月29日 00:28
マメマメコ様こんばんは!
色んな要素をきれいに取り入れつつ、バランスよく出来た作品でしたね。
クリス・ペンの訃報を聞いたときの驚きは、いまだ記憶に新しいです。。。
Posted by たお at 2006年09月30日 01:02
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