2003年 フランス/アメリカ映画 85分 ホラー 採点★★★★
人生以外は安全運転な私。自分の運転ではこれといって怖い目に遭ったことがないのですが、他人の運転では何度か。ライブをやった後、お客さんの女の子をお持ち帰りしようと躍起になってたのに、あれやこれやで酔い潰れた女友達を介抱することに。駐車場に停めてあった彼女の車の中でとりあえず気分が回復するまで付き合っていると、「暑いからエアコンいれる」とキーを回す彼女。回すだけならまだしも、何を思ったか車も急発進。キャーキャー騒ぐ私を尻目に、「アナタの事をこんなに好きなのにー」と知りたくもなかった新事実を泣いたり怒鳴ったりで。どうなだめても車と彼女の暴走は治まらず、結局信号待ちの隙に飛び降りる羽目に。怖かったですねぇ。
【ストーリー】
妻の実家で行われる毎年恒例のクリスマスパーティーへ向かう為に車を走らせるフランクとその家族、そして娘の彼氏。いつもの道程に飽き飽きだったフランクは、ハイウェイから外れ鬱蒼とした木々に囲まれた脇道選んだが、一向に目的地に着く気配がない。苛立つ一家の前に、突然赤ん坊を抱いた白いドレスの女性が現れ…。
普通にネタバレしてますよ。
ない予算と時間をアイディアと工夫で乗り切った、新鋭らしい一発勝負映画。『ジェイコブズ・ラダー』や『ステイ』などの“走馬灯モノ”の一本なのだが、風呂敷を広げすぎていないので、収拾がつかなくなってしまった上での悪あがきとして「夢だからしょうがないんです!!」と開き直った感はない。そもそも力不足なのか、意図的なのか、結末でビックリさせてやろうという意思はあまり見えず、純粋に一人一人が殺されていく恐怖演出の方に力を入れているようだ。その方向性は功を奏しており、霊柩車を髣髴させる黒いクラシックカーや赤子の亡骸を抱く女などの不気味さも相まって、なかなか気味が悪い。実存的なアメリカンホラーとは一味違う、アジア的な香りすらする幽霊譚になっている。また、恐怖の対象を外の幽霊にだけ絞るのではなく、家族の中に秘められた感情にも配分を多く割振っている脚本も好印象。家庭内のズレとイライラが表面化しがちなのは運転中なんだなぁ、と再確認。「バカ親父、さっさと戻れ!」というまっとうなご意見も分かりますし、「戻るのもいいけど、こんなに走ったんだぞ。実はもうちょっとで着く所だったらどうすんだ?」ってのも分かります。引っ込みがつかなくなっちゃうんですよねぇ。
荒削りながらも、アイディアと欲を出しすぎない展開が楽しめたが、場の雰囲気に全く合っていない音楽は、どうかと思います。
『ツイン・ピークス』のリーランド・パーマー役が印象深いレイ・ワイズ。妻の役名が“世界一美しく”も“死体”でもないが(あ、死体といえば死体か)ローラということもあり、いつキラー・ボブに変貌して赤いビロードに包まれた部屋に行っちゃうのかヒヤヒヤでしたが、こんな古い話誰も覚えてませんね。
アメリカの都市伝説で、運転中に出会うと言えば殺人鬼などの実存的なものが多いのだが、本作に登場する白いドレスの女は純然たる幽霊。赤ん坊の亡骸を抱いているあたりに、非常に怪談話らしい痛ましさを感じるが、なんとなくアメリカっぽくはない。とは言え、先日鑑賞した『ファイヤーウォール』のオマケについていた“スーパーナチュラル”でも白いドレスの女が題材になっていたので、結構有名な都市伝説なんだろうか?目的地に着いて後ろを見たら消えていたなんて、日本人なら誰でも知っている怪談なので、不思議な一致を感じますねぇ。“赤ん坊の亡骸を抱く女”“その亡骸を抱かせられる”と言う話も、日本では“姑獲鳥(うぶめ)”としてよく知られている。死者を思う気持ちってのは、やはり万国共通なんでしょうね。
生きてようが死んでようが、娘の彼氏には触りたくないものです
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TBありがとうございました。
>いつキラー・ボブに変貌して赤いビロードに包まれた部屋に行っちゃうのかヒヤヒヤでしたが、こんな古い話誰も覚えてませんね。
覚えてます!(笑)
立派なピーカーだったので、いまだにレイ・ワイズを見るとちょっとビビリます。
TBありがとうございます。
最後のオチが勝負のような感じの作品でしたけど途中でネタが割れちゃいました。
どこかの映画祭で、賞を受けたようですが、いくら若い才能だとしても、僕は甘やかさないほうがいいと思います(笑)すぐ、なめてかかりますから。こんなもので、ツイン・ピークスへのオマージュとするのなら、僕は、出直して来い!といっちゃいますね。
覚えてましたかw
私も何を観ても、レイ・ワイズにはキラー・ボブが被ってしまいますよ^^;
映画ファンにはイマイチ人気のない“走馬灯”ものですが、好きなんですよねぇ私^^;
初っ端からオチというか状況設定を匂わせる展開もしてますし、あんまり隠そうとしていないのかも。
>ツイン・ピークスへのオマージュ
あぁ!どうりで『ロスト・ハイウェイ』みたいな道路の撮り方をして、『ワイルド・アット・ハート』みたいに脳ミソ出してたわけだ!
甘やかしすぎもいけないですが、あんまり厳しくすると今時の若もんはすぐ挫けますからねぇ。ほどほどにしないと。厳しくしなきゃなんないのは、大物ぶってる中堅連中にしとかないと。
野次馬根性丸出しで、作品のレビューそっちのけでkimion20002000さんの話を真剣に読んでしまいました(笑)
オチが最初にわかってしまったので、楽しむところまではいかなかったんですけど、母親がとにかく怖かったです〜。
基本的に映画のオチに決まり事なんてあってはいけないと考えているので、夢オチだろうが走馬灯モノだろうがオチ自体がなかろうが構わないのですが、映画ファンという方には忌み嫌われるオチの一つですねぇ。確かに未熟な脚本家が辻褄あわせも散りばめすぎた謎の回収も出来なくなっちゃったから強引にこの手のオチに持っていく場合は腹が立ちますが、最初からこの手のジャンルを目指しているならば、ソレに伴う整合性さえ保っていれば問題ないですね。オチの衝撃度を楽しむというより、その道中の現象を楽しむタイプだと思うので^^;
ローラパパのレイ・ワイズ!! 私も「ツイン・ピークス」好きだったんで
懐かしいですよ〜。
確かに、他の“ホラー”ものよりも日本的な怖さが醸しだされているように
思いますねーだからでしょうか?「CUBE」や「ソウ」もどきな
ホラー(サスペンス?)がばんばんリリースされる今日の作品群の中では割とまともに
見ることが出来ました。
といっても、夢オチな最後はやっぱり・・・もっとヒネってほしかったですが。^^;
こちらからもTRBさせていただきました♪
あー、やっぱり評判悪いなぁ、このオチ^^;
オープニングで一瞬居眠りした瞬間から“走馬灯モノ”を観る方向に意識を変えちゃったんで、オチよりもその過程を存分に楽しんだからですかねぇ?あんまり気にならないんですよ、これ。。。
私も思いました。
「もう出かけるの辞めて、さっさとウチに戻れ!」
ってw
そりゃあ戻れるわきゃあ無いんですが・・・。
私は途中までオチがわからないくらい
早送りしてましたw
何かと評判の悪い作品なんですが、結構好きだったりも。まぁ、この手のオチが全然許容範囲ってのもありますが^^;