2010年 イギリス/アメリカ映画 117分 サスペンス 採点★★★
人の命の価値や重みってのは一定しないもんですよねぇ。一個人が殺してしまった命の重さと、企業や国家など規模の大きい相手が殺した重さでは全然異なって扱われますし。やっぱりあれなんですかね?あんまり高い所から見下ろしてばかりいると、人が“ゴミのように”見えちゃうんですかね?ヤレヤレ…。

【ストーリー】
一人娘エマとの久々の再会を果たした、ボストン警察の刑事トーマス・クレイブン。しかし喜びもつかの間、彼らは玄関先で何者かに襲撃され、銃弾を浴びたエマは命を落としてしまう。警察はトーマスを狙った事件として捜査を始めるが、命を狙われるような覚えのない彼は独自に捜査を開始する。エマの身辺を洗い直すトーマスであったが、巨大な敵が彼の前に立ちはだかり…。

邦題だけを見るとなんかチャック・ノリスが出てきそうな感じだが、高評価を得た英国TVシリーズ“刑事ロニー・クレイブン”を、同シリーズの演出も手掛けた『007/カジノ・ロワイヤル』のマーティン・キャンベル自らメガホンを握り映画化したサスペンス・アクション。
“政府とズブズブの巨大企業による放射能汚染”というとても他人事とは思えないテーマをベースに、娘を殺された男が法の枠を超え真相を追究する姿を描いた本作。ちょっと調べればすぐにボロが出そうな陰謀や殺し方の雑さなど、全6話だったオリジナルの物語を一本にしたためか結構ポロポロ取りこぼしてしまっているアレコレを然程気にさせない、骨太でスピーディな展開が魅力。主人公の目的が社会的制裁ではなく個人的な報復にあるってのもこのスピーディさを生み出した要因で、娘の返り血を大切に残したり、幼少期の思い出が次々とフラッシュバックするなど、その主人公の原動力となる“娘への愛情”を描くシーンもなかなかグッとくる。
ただまぁ、主人公が“若くして出世した元凄腕兵士”ってのを背景に持ってるせいか、頭の回転が速く誰よりも強いっていう、物語の中心に居る存在としては絶大な安定感と安心感を生みだす理想的な存在になっているんですが、その安心感が逆にサスペンスを盛り下げてしまっている印象も。いちいち溜飲が下がる大活躍をしてくれる分、ハラハラはしない。なんというか、本当にチャック・ノリスとかセガールが出てきそうな感じ。

そんな安心感を感じてしまったのも、『ペイバック』のメル・ギブソンが持つアクションスターとしてのイメージ故かと。映画スターとしての老い以上に私生活でのゴタゴタが影響したのか、『サイン』以来8年振りの映画主演となった彼だが、そんなブランクも老いも感じさせない“主演”としての圧倒的な強さと存在感を見せてくれたのは嬉しい限り。加齢も腰の軽さがあった以前のイメージに、どっしりとした安定感を与える良い方向に機能。目つきのイカレ具合も、復讐に燃える父親役にマッチ。普段からあの目つきだったら困りものですが、この作品に関しては問題なし。人としてはアレですが、映画スターとしては嫌いな存在じゃないので、この路線での完全復帰を期待したいところで。
そんなメル・ギブソンを中心に、『デビル』のボヤナ・ノヴァコヴィッチや、役柄がほとんど『ナイロビの蜂』と一緒だったダニー・ヒューストン、『バイオハザード IV アフターライフ』のショーン・ロバーツに、『デイライト』のジェイ・O・サンダースらなど、腰のどっしりと座ったキャスティングが魅力の本作。中でも、人生の幕は正しい行いをもって下ろしたい思いからか、騒動の問題点を的確に判断し、ある意味一番正しい方法で問題を処理した『ロシアン・ルーレット』のレイ・ウィンストンが印象的。当初はロバート・デ・ニーロがキャスティングされていたそうですけど、英国人らしいさり気ない皮肉を効かせるレイ・ウィンストンで正解だったかと。

理由は何であれ、彼女の父親に押し掛けられるのは非常に嫌なもので
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ドラマのほうも見たくなりました。
結構アレコレ取りこぼしてはいるんですよねぇ。まぁ、然程気にさせない力強さはありましたが。TV版もDVDが出るようですが、通販のみなんですよねぇ^^;
が、どういう構成だったのかは知りませんが、
娘がターゲットだったと意外とあっさりわかったのは、
映画での時間的関係もあったんでしょうか。
娘がターゲットであることは、予告編で既にネタバレしてたので、父親の怒りをメインに描いたんでしょうねぇ。