1989年 アメリカ映画 106分 アクション 採点★★
一時大流行した“バディムービー”って、それぞれタイプの違うコンビの丁々発止やコンビネーションの妙がなんとも楽しいジャンルなんですが、ブームの末期にもなるとさすがにネタも切れてしまったのか、組合せの意外性だけで作られるようになってましたよねぇ。相棒が犬とか宇宙人とか、はたまた二人ともゾンビとか。まぁ、こういうブーム末期のトンチンカンさは結構好きなんですけどね。
【ストーリー】
汚職警官摘発のため強盗団に潜入し捜査をしていた警官バスターは、強盗団のボスに銃撃され重傷を負ってしまう。一方、その強盗団に部族の聖なる槍を奪われ兄も殺されたラコタ・インディアンのハンクは、重傷のバスターを救い、彼と共に強盗団を追うのだが…。
『ヒドゥン』のジャック・ショルダーによるバディアクション。内容的にはいがみ合っていた二人がいつの間にか仲良くなる、いつものアレで。
『ヒドゥン』を撮った監督とは思えぬほどキレの悪いアクションと、非常に要領の悪い展開がまどろっかしい本作。20年以上前の作品であることを差し引いても、このテンポの悪さは致命的。バディムービーとしての面白さも“相棒がインディアン”って奇抜さに頼りっ放しのせいか、二人の関係性が変化する転機などが非常に不明瞭なので、「このコンビで挑む他の事件が観たい!」って思わせるまでの魅力が生まれていない。
ただまぁ、重傷の人間をあっという間に治せるのも、走行中の電車から対向列車に飛び移れるのも、犬がやたらと懐くのも全て“インディアンだから”で済まそうとするこのトンチンカンさは、全方面に気を遣う昨今の作品ではなかなか味わえない珍妙さで、案外嫌いじゃない。
立場的には『レッドブル』におけるジェームズ・ベルーシであるバスターに扮するのは、『フラッシュバック』『フラットライナーズ』のキーファー・サザーランド。口髭に粗野な振る舞いで一所懸命背伸びをしているが、残念ながら本人の願いとは裏腹に幼さと可愛らしさが見え隠れ。本人も既存のイメージから脱却するため、必死だったんでしょうねぇ。
一方のハンクに扮しているのは、キーファーとは『ヤングガン』で共演済みである、『戦火の勇気』のルー・ダイアモンド・フィリップス。扱いがほとんど『マッハ!』におけるトニー・ジャーだったハンク役ではあるが、大都会と神秘の世界の双方に接点を持つ役柄を好演。ただ、どんな役柄でもしっかり演じ切れる実力と存在感が、逆に“神秘性担当”や人種バランスを整えるための都合の良い使われ方をされてしまう要因にもなっている感じもして、なんとも歯がゆい。そんな二人の再会を喜ぶラストの掛け合いが、バスター「また俺を見つけられたら、また会おう」、ハンク「俺は前も見つけただろ」、バスター「そうだったな…」と、敢えてそんな目線で観なくても妖しく見えちゃうのは面白かったなぁと。ルーの真っ直ぐ過ぎる眼差しに対し、キーファーはにかんで返してましたし。
その他、『ロストボーイ』でキーファーと共演済みのジェイミー・ガーツや、生憎私は観てないので分からないんですが、多分“プリズン・ブレイク”を観ていた人にはお馴染なのであろう『ヒットマン』のロバート・ネッパーらも出演。個人的には、“ミレニアム”のボブ・ブレッチャーこと『ザ・スナイパー』のビル・スミトロヴィッチを見れたのが一番嬉しかったなぁと。
型を破ろうと必死な男と、型にはまってしまった男の物語でも
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
たおさんにそう書かれるぐらいなので、狙ったと言うより隠しようがなかった感が強いのかも(爆)
馬鹿コンビ、やり手コンビ、凸凹コンビ、色々あってどれもバディ物としては楽しいのですが、この2人の噛み合っていないようで凄く噛み合ってる雰囲気の良さは、とてもツボでした。
>型を破ろうと必死な男と、型にはまってしまった男の物語
やりたい役と似合う役と客が見たがる役が一致していれば最高なのですが、なかなかそうは行かないですよね。
この頃のキーファーって、突っ張ってはいるんだけど基本的には“受け”なんですよねぇ。あの、アッチの方面の意味で^^;
そんなんだから、スっとしたルーとの組合せが非常に絶妙。