2010年 アメリカ映画 80分 ホラー 採点★★★★
振り返ってみると、“許す”って行為をあんまりした記憶がない私。もちろん些細な事はその場ですぐに許しますけど、大概は怒るのに疲れてしまってどうでもよくなってしまうか、時の経過と共に自然鎮火するかのどっちか。怒りがピークの時に“許す”ってのは、本当に難しいことですよねぇ。

【ストーリー】
見ず知らずの5人の男女が乗り合わせたエレベーターが突如故障。彼らは閉じ込められてしまう。やがてエレベーター内の電源が一時的に消え復帰すると、その中の一人が何者かによって殺されていた。彼らの内の誰かが犯人。駆けつけた警官がモニターを見つめる中、電源が落ちる度に一人ずつ殺されていき…。

『ハプニング』のM・ナイト・シャマランが自身のアイディアを新進気鋭のスタッフに映像化させる、なんかベッソン映画みたいなプロジェクト“ザ・ナイト・クロニクル”の第一弾。アガサ・クリスティの“そして誰もいなくなった”にインスパイアされた今回のネタを担当するのは、『REC:レック/ザ・クアランティン』のジョン・エリック・ドゥードル。
悪魔をモチーフに描かれる本作。住所が333(666の半分)にあるビルの、6号機エレベーターが23階から42階(2×3=6、4+2=6)で停止し、42階に行きたい乗客と39階(9−3=6)に行きたい乗客らが閉じ込められる様を、TVでホッケーの試合を1分42秒(4+2=6)の所まで観ていた警備員が気付く、なにやら“6”を必死にアピールする悪魔が登場。
そんな自己顕示欲の強い悪魔の話題はさて置き、密室に閉じ込められた5人と事態を収拾しようと奔走する刑事の姿を、80分という非常にタイトな時間で描き切った本作。5人の素性が分かるにつれ、刑事も含めた彼らがある意図を以て“この場に集められた”ことが明らかになっていく物語が非常に面白い。“悪魔”ってのがぶら下がっている以上、観賞しながら犯人捜しをする気が起きないミステリーとしての欠点や、次々と先の展開をネタバラシするナレーションも、実は巧みにミスリードを促す上手い構成だったってのにも唸らされた。

“幽霊”“宇宙人”“植物の反乱”など、とってもムー愛読者っぽいネタを手掛けるシャマランだけに、『ヴィレッジ』の次に作る予定だったとも言われる本作の“悪魔”ってネタも違和感がなさそうなのだが、これまでの作品がピュアで善なる世界をベースとして描いていたり、特定の宗教観に縛られない作風だっただけに、実は違和感が大きい。また、“贖罪”を振りかざし犯罪者を密室に閉じ込める如何にも“ソウ”的なやり口も、似合っているとは思えず。
ところが本作、蓋を開ければとってもシャマラン。悪魔も登場するし結構血生臭いのだが、『レディ・イン・ザ・ウォーター』でピークを迎えたシャマラニズムの片鱗を伺える、非常にシャマランっぽい作品。やはりそれは、“贖罪”以上に“許し”と“救済”をメインに描くピュアさ故ではないのかと。このシャマラニズムが伺える本作は、シャマラニストとしては満足のいく一本で。“シャマラニスト”って言葉を久々に使えたってのも嬉しいですし。
一部始終を眺める事しか出来なかったのにも意味があった刑事に扮したクリス・メッシーナを始め、『復讐捜査線』ボヤナ・ノヴァコヴィッチや『ビッグ・ヒット』のボキーム・ウッドバインなど、TVを中心に活躍する気鋭のキャストが集められた本作。
シャマラン本人が出ていないのはちょいと寂しいが、代わりにって言ったらアレだが、『デス・レース』のジェイコブ・バルガスがピュア要員として警備員役にキャスティング。「パンを落とした時、ジャム塗ってる面が下になっちゃうのは悪魔がいるからだ!」と、日常の些細な出来事を例に悪魔の存在を必死にアピールする様が、なんとも可愛らしかったなぁと。そうすると、私がパンを落とす時は常にトッピング面が下になってしまうのも、塗ってる面が重いからそうなるんじゃなくて、悪魔の仕業だったんですねぇ。“常に”ってことは、私の周囲に悪魔が常駐してるってことなんですねぇ。それはイヤだなぁ。

こういうケース、“臭い”ってのが最大の敵だったりも
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓


となると一番怖いのは尿意を起こさせる悪魔か…。
この間観た『フローズン』では、スキーリフト上で尿意を催し大変な目に遭っておりましたねぇ。なんであれ、行ける時にトイレは行っておくのがベストだということで。
こういう狭い空間はどきどきしちゃいますね。
私もトイレが気になります^^;
悪魔よりも怖いかも〜
少しでも尿意を感じたらすぐにトイレは済ませておく。尿意のことなんか全く描いてない作品なのに、テーマがそこに集約されちゃうようですねぇw
「臭い!」確かに大敵だ!
私も体臭で心配な部位がありましてね・・・(何をカミングアウトしてるんだかw)
出演したら一番に攻撃されるかも (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
数字の細かいネタには感心しちゃいましたが、あまりに細かすぎて(シャマラン過ぎて)微妙ですねぇw
臭い人と密室に閉じ込められるって、それだけで十分殺意が湧く状況ですし、なんとなく情状酌量してもらえる気もw
まぁ、私は面と向かって「臭い!」と言われた事はないんですけど、単に怖くて言われてないだけかもしれないし、自分では気づかないんで考えようによっては恐ろしいですよねぇ、体臭って。