1986年 アメリカ映画 107分 アクション 採点★★★★
男子小学生のなりたい職業トップ3って、“スポーツ選手”“医者”“学校の先生”なんだそうで。これが中学男子になると、“スポーツ選手”“会社員”“コンピュータ関係”になるとか。んー…、男子ならそこは“私立探偵”“傭兵”“賞金稼ぎ”じゃないのかい?
【ストーリー】
かつては政府組織に属し、現在は凄腕賞金稼ぎとして活躍するニック・ランドルのもとに、アメリカに秘かに潜入した国際爆弾テロリスト、マラク・アル・ラヒムを捕まえるよう依頼が入る。ラヒムを追うニックであったが、ラヒムもまたかつての怨恨からニックの命を狙っており…。
『ゾンゲリア』のゲイリー・シャーマンが贈る、かつてのTVシリーズ“拳銃無宿”でスティーヴ・マックィーンが演じたジョッシュ・ランドルの孫が活躍するって設定のバウンティハンター・アクション。流石に“拳銃無宿”を観ていたほど歳は取ってないので、その辺の感慨深さは特になく。
初めに断っておくと、本作は80年代に乱造されたアクション映画の一本に過ぎない、非常に他愛のない作品である。キレの悪いアクションや、“アラブ人=テロリスト”という単純過ぎる設定、親友と恋人が殺されたばかりだというのにその恋人のことはすっかり頭から消え去っている主人公など、残念な個所も少なくない。
でもこの映画大好き。何年かに一度は観返したくなるほど好き。それもこれも全て、主人公に扮した『ザ・ライト -エクソシストの真実-』のルトガー・ハウアーがカッコ良いから。もう、これだけ。ルトガー・ハウアー好きには胸を張ってオススメできる、「四の五の言わず、ルトガー・ハウアーを堪能しろ!」って一本。それ以外の方にはまぁ、時間つぶしには最適な一本かなぁってことで。
『ブレードランナー』や『ヒッチャー』でもプンプン醸し出していた妖しげな香りを、本作でも存分に放っていたルトガー・ハウアー。追っている犯罪者の名前を囁きながら迫ってくるオープニングからして既にそうなのだが、口元に冷たい笑みを浮かべて見つめる眼差しや、やたらと後ろから抱き締めてくるその仕草から発せられる妖しさに、悶絶してしまうことこの上なしったらありゃしない。“男が好き”“女が好き”って区別などなく、“別にどっちでも構わない”って退廃的ですらある佇まいが素晴らしい。冷酷で精悍な顔立ちからは想像できない身体付きのアンバランスさは相変わらずではありますが、そんなものを凌駕する“美しさ”すら感じさせたその存在感は圧巻で。本作を観たことがある人は、壁に投げ跳ね返ってきたバスケットボールを腕で上に跳ね上げる仕草を、きっと一度は真似したはず。私はした。今もたまに。
一方の宿敵ラヒム役には『ニュー・ガイ』など役者としての活動も多い、キッスのベーシスト/ボーカリストとして絶大な人気を誇るジーン・シモンズ。もちろん素顔で登場。舌も出さない。素顔だととっても中東顔なので、安易ながらもハマったキャスティングなのではと。
ジーン・シモンズという大物を引っ張り出しておきながらも結局ルトガー・ハウアーしか印象に残らないキャスティングではあるものの、スティーヴ・ザーンとコリン・ファースを足しっぱなしにしたようなウィリアム・ラスが扮した、如何にもアメリカ人的な親友ダニーと、如何にもヨーロッパ人的なルトガー・ハウアーとの掛け合いは、短い時間ながらも印象的だったなぁと。妙に妖しげな雰囲気も含め。
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