1987年 イギリス映画 94分 ホラー 採点★★★
暴力と性的興奮が密接に関係しているのと同様に、ホラー映画にもそういった意味合いが込められてたりしますよねぇ。スラッシャー映画の殺人鬼のナイフが男性器をメタファーにしているって、よく言われたりもしますし。でも、これってあくまで男性が加害者である場合に多く適用されるパターンなんですけど、これが女性やゲイだった場合はどう変化するんでしょうねぇ。
【ストーリー】
究極の快楽を得れるという謎のパズルボックスを手に入れたフランクだったが、魔界から現れた魔道士によって肉体を八つ裂きにされてしまう。しかし、ひょんなことから復活したフランクは、弟の妻でありかつての愛人ジュリアを誘惑し、肉体の復活のため殺人を繰り返させるのだが…。
早くから自身の作品の映像化に意欲的だった『ミッドナイト・ミート・トレイン』『キャンディマン』のクライヴ・バーカーが、自身の原作“ヘルバウンド・ハート”を自らメガホンを握り映像化した、端的に言えばSMホラー。
究極の快楽を得るために究極の苦痛を味わう男と、その男に精神的にも肉体的にも支配され服従する女の官能的でもある物語を、凄まじい肉体破損描写と共に描いた本作。よくホラーで見られる“刺す・斬る・潰す”ではなく、皮膚表面を徹底的に“引裂く”行為に執着するのは、ゲイならではの繊細さと過敏さの表れなのであろうか。
快楽と苦痛、支配と服従、現実社会と異世界の密着といったモチーフを持つテーマを、初監督でここまで描き切ったことには感服するものの、正直まだ映像作品として昇華しきれていない印象も。フェチとしての感覚を共有できればいいのであろうが、そうでもない人間としてはもう少しストレートに官能さを出して欲しかったような。
トップにキャスティングされているのは、『ダーティハリー』『コブラ』のアンドリュー・ロビンソン。彼が良い父親役を演じているのが本作最大のハラハラポイントでもあるんですが、終盤にきっちりと変質者へと変貌を遂げるので一安心。流石さそり。
また、見事なまでのM系悪女役を演じ切ったクレア・ヒギンズや、ヘル・レイザーシリーズ以外では観た記憶のないアシュレイ・ローレンスなども印象的ではあるが、本作で最もインパクトを放っているのは、やはり身体の特定の部位を徹底的に痛みつけている扮装で登場する魔道士の面々。特に、その釘の一本一本をジワジワゆっくりと頭部全面に打ちつけていったんだろうなぁと伺えるピンヘッドに扮したダグ・ブラッドレイの、舞台劇然とした堂々としたセリフ回しは貫録も迫力も充分。ホラー界のカリスマキャラとなるのも納得。
因みに、今回はブルーレイで観賞した本作。DVD版は観たことがないので比較できないんですが、映像・音響共に不自然さを感じさせない綺麗さで。映像は綺麗なのにフィルムのノイズはそのままって仕様は謎でしたが。正直「別にDVDでも…」と思えたりもする一本ではありましたが、ピンヘッドのピンの刺さり具合が一本一本確認出来るのは、さすがブルーレイってところかと。まぁ、ボックスの割に相変わらず特典がしょぼいし、そもそもブルーレイは単品で出ていないって不満はありますが。
殺したいほどアイ・ラブ・ユー
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> そもそもブルーレイは単品で出ていない
やっぱたお様も海外通販しましょうよ〜(笑) 単品で出てますし特典もそれなりにあるようですし〜
私もこのフェティッシュな部分にはピンと来なかったクチなんですよねぇ。単純に「ピンヘッドすげぇ!頭にクギ!」とはなりましたがw
シリーズの方は魔道士のキャラが前面に出てるだけに、一風変わったキャラクターホラーに成り下がってる感じでもありましたねぇ。
>海外通販しましょうよ〜
ボックス物を中心に、円高の内に手をつけようかと画策中でw