2010年 アメリカ映画 93分 サスペンス 採点★★★
閉じ込められたり埋められたり、はたまた真っ白なペーパーテストを前に頭を抱えたりと、あの手この手を駆使したシチュエーション・スリラーがたくさん作られてますねぇ。ただまぁ、ちょっと多過ぎて食傷気味ってのと、ネタを捻り過ぎて現実味を失ってきてるなぁって感じも。たまには現実味溢れる奴も観てみたいもので。なんかこう、家に帰ったら女房が妙に不機嫌且つ無口で、でも謝ろうにも思い当たる節があり過ぎてどれを謝ったらいいのか分からないみたいな。当てずっぽうで謝ってみたら、「え?それ初耳…」ってなるみたいな。
【ストーリー】
週末を利用してスキーへとやって来たダンとジョーとパーカーの三人組。日没が迫る中、最後の一滑りを楽しもうとリフトに乗り込んだ彼らであったが、全員帰ったものと勘違いした係員によって彼らを残してリフトは止められてしまう。スキー場が再開されるのは一週間後。気温の低下と共に事態の深刻さを悟った彼らは、何とかこの場から脱出しようとするのだが…。
極寒のリフト上に取り残された三人組を描いた、『HATCHET After Days/ハチェット アフターデイズ』のアダム・グリーンによるシチュエーション・スリラー。
“『オープン・ウォーター』の雪山版”って言ってしまえばそれまでだし、ホントそれ以上でも以下でもないのだが、下手に知恵を絞って知的なトリックや脱出劇を描いたり、緊張状態にある人間同士の駆け引きを描いたりはせず、見たまんまの状況に陥ったことをただただ困惑する姿を描いた潔さが心地よい本作。男同士の旅に彼女を連れて来て「なんだよー、もう!」ってなるブロマンスの要素を大胆に取り入れたり、描写こそシリアスだが全体の構造はコメディ映画とさして変わらなかったりと、アダム・グリーンらしさを堪能できる一本に仕上がっている。アダム・グリーンって、ホント映画が好きなんだなぁって思わせる仕上がり。作る方より、きっと観る方が好き。
「下は雪だし、飛び降りても死なないんじゃね?」と甘い考えを持たせる絶妙な高さと、確かに死にはしないが結構大変な目に遭う痛々しいゴア描写、「“前門の虎、後門の狼”って言うけどさ、あーヨシヨシとかすれば、狼腹出すんじゃね?やっぱ断然、後門だよな!」と甘い考えを持っていた私をたしなめるかのように目の前にはハラペコ狼、しかも相当アグレッシブな狼と、サービス精神旺盛な見せ場の多さも嬉しい本作。確かに服を結んでロープ代わりにしたり、レスキュー隊みたいにワイヤーを伝うぐらいは思い付きそうなものだが、目指している地平がそんな頭を使った脱出劇ではなく、極限状態でひたすら愚痴る若者の姿の方だと思うので、これはこれで悪くはないのかと。
因みに、ヒロインのその後の顛末は『HATCHET After Days/ハチェット アフターデイズ』内のニュースで語られてたりも。どうやら、アダム・グリーンの中では本作とハチェットは同じ世界にあるようで。
腹は出さないんだろうなぁ
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
寒さもそうですが、
高所恐怖症の人間にも
ちょっと恐ろしい作品でした。
http://cinechan.at.webry.info/201009/article_12.html
とことん恐怖を感じるような高さではないんですけど、「なんとかなるんじゃね?」と甘い考えをよぎらせてしまう程良い高さ設定だったなぁと。落ちたら間違いなく酷い目に遭うのに。