2010年 イギリス映画 94分 SF 採点★★★
ひょんな事から日本にやって来て、ばんばか繁殖した挙句にいつの間にやら主流面してる生き物って、ホント多いですよねぇ。こんな田舎に住んでいる私ですら、日本固有のザリガニはほとんど見た事ないですし。メダカに至っては、そろそろ“めだかの学校”を“カダヤシの学校”ってのに変えた方がいいのではと思えるほど見ない。まぁ、当の生き物自体は悪意があって侵略してる訳じゃないので責めれませんが、意志ではなく本能的行動なので始末に負えないなぁと。
【ストーリー】
太陽系内で発見された生命体のサンプルを積んだ探査機がメキシコ上空で大破。瞬く間に増殖した地球外生命体により、メキシコの北半分は危険地帯として隔離された。米軍とメキシコ軍による封じ込め作戦が行われる中、カメラマンのコールダーは、現地で足止めを食らっていた本社の社長令嬢を無事本国まで連れて帰る命を受ける。危険な陸路でようやくアメリカに辿り着いた彼らであったが…。
巨大モンスターが巣食う危険地帯を通らざる得なくなった男女の姿を、若干ラブロマンスを強めに打ち出し描いたSFパニック。メガホンを握ったのは、本作の評価により前のアレに懲りずに作られるハリウッド版“ゴジラ”の監督最有力候補となった、特殊効果マンあがりのギャレス・エドワーズ。
僅か80万ドルの予算で作られた事も話題となった本作。低予算映画の常套手段ではあるが、大掛かりな発端と設定をテロップでやり過ごすこのやり方は、なんか「どんな感じだったんだろー?」とワクワクさせてくれるので好き。確かに無い袖は振れないので、金の掛かる戦車やらエフェクトやらはCGでちょちょいと置いた非常にチープな仕上がりなのだが、見せ方にしっかりと工夫が凝らされているので、その安っぽさは充分脳内で補完可能。また、最近は物騒な話題でしか耳にしないメキシコを、特殊効果マンあがりと言うよりは、まるで写真家が撮ったかのような美しい映像で映し出しているのも見所。ちょっと、フェルナンド・メイレレスっぽい感じも。曲の感じが似ているのでたぶん同一人物だとは思うんですが、ブライアン・イーノとの仕事も多いジョン・ホプキンスによるアンビエントなサントラも、その美しい映像に非常にマッチしていて好みの仕上がり。
役者には大まかな設定のみを与えてカメラの前に放り出し、ロケ地は最小限にしか手を加えず(場合によっては撮影許可も取らず)、エキストラもたまたまそこにいた人を使うなど、過度な演出を取り除いたドキュメンタリータッチの作品でもある為、多少物語がボヤけてしまっている難点もあるのだが、充分な予算を与えたらどんな映像を撮ってくれるのか非常に楽しみな監督でもあるなぁと。
巨大モンスターとの壮絶な戦いを期待すると大いに肩透かしを食らう作品ではあるが、“異常な状況下においても、人間やることは案外地味”ってのを描いてると思えば面白い。
「笑顔の子供の写真は誰も買わないが、子供の死体は高い値段が付く」とドライに呟くが、実際のところ子供の死体にはカメラを向けず、その笑顔ばかりを撮っているホドホドにクズだが根は善人のカメラマンと、たぶんボンボンの婚約者との結婚に気が進まず、豪勢な婚約指輪が重荷に感じている、ちょっとキャメロン・ディアスっぽい社長令嬢との間に生まれる恋愛感情を、ボンヤリながらもメインに描く本作。特に劇的な展開や感動的なセリフがあるわけでもなく、ジワジワと生まれた感情がいつの間にかピークに達してる非常に言葉足らずな印象もあるが、まぁ恋愛感情って別にドラマチックな展開がなくても地味に生まれてしまうもんなんで、実際はこんなもんだろうなぁと。置かれてる状況が既に劇的ですし。まぁ、冒頭に繋がる『クローバーフィールド/HAKAISYA』的な結末は必要なかったような気もしますが。
人類滅亡後は進化したイカが地球の覇者となる的なDVDを以前観たんですが、それに則ったのか、単に「気持ち悪いでしょー」ってことなのか、そんなイカ的な巨大モンスターが描かれている本作。『ガメラ2/レギオン襲来』のレギオン同様外来種のイカだが、意志と悪意を持って侵略行為をしているわけではなく、連れて来られてしまった見ず知らずの惑星で必死に生き延びようとしているから凶暴になっているが、手だしさえしなければ基本的には温厚って設定が面白い。仲間同士が鉢合わせして、「ポポポポ〜♪」と身体光らせていちゃついてる(のか?)描写も可愛かったですし。それでもまぁ、あんなデカイのに暴れまわられちゃぁ人類としては迷惑なんで攻撃するのも当然だし、攻撃されるから頭に来るイカの気持ちも分からなくもない悪循環が興味深いなぁと。
共存するとか食用にするってとこまでは踏み込めず
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