2010年 アメリカ映画 108分 サスペンス 採点★★
財布の中に小銭が溜まるのが嫌ってのもあって、会計の時は極力きりの良いお釣りになるようお金を出す私。668円の物を買ったら1223円出すみたいな。で、店員さんが若干きょとんとしながら渡す555円のお釣りを受け取って「ニヤリ」とするみたいな。まぁ、自己満足なんですが。そんな私なんで、明らかに小銭がパンパンに入ったポケットから、更に小銭が溜まってしまうようなお金の払い方をしているおじさんなんかを見ると、ちょいとイライラしたりも。「ちょっとは算数しようよ!」と、高校の時200点満点の数学の試験で4点を叩き出した事のある私が語ってみたの話でした。
【ストーリー】
競馬場を襲い多額の現金を手に入れたリースであったが、警察の執拗な追跡により已む無く現金入りのスーツケースを車から放り投げることに。投獄されたリースからの連絡でイギリスからやって来た双子の兄パイクは、僅かな手掛かりをもとにスーツケースを拾ったフェラン夫妻を見つけ出すのだが、あろうことか奴らは現金を使い込んでいた…。
落とした金を回収しに行ったら、「使っちゃったから、もうない!」と開き直られた揚句逆ギレされる可哀想な犯罪者の姿を描いたクライムサスペンス。きっと趣旨としては違うんでしょうけど、そうにしか見えず。そうにしか見えないのも、なにせ主演が『デス・レース2』『アイランド』のショーン・ビーンだから。
やたらと数字に細かい性格が表れたかのような、キッチリピッチリした髪型で登場するショーン。数字には強いが、弟が「拾ったのは白人」と言ってるのに真っ先に向かうのが黒人とインド人の所ってのは、まぁご愛嬌。
ようやく見つけた若夫婦を、銃を突きつけたり「殺すぞ!」と脅したりと、脅迫に取られる言動を巧みに避けながら顔の迫力一発でビビらせる様は「流石ショーン!」と唸らせられますが、考えてみればちょいちょい反抗されてますし、「7万ドル位足りないけど、こんだけあるんだからいいじゃん!」と今のレートで計算しても500万円以上使い込んでいるくせにこうも開き直っちゃうんだから、あんまり脅しは効いてないようです。がんばれ、ショーン。
観ているだけのこっちも相当イライラさせられるこのバカ夫婦相手に、じっと忍耐のショーン。偉い。ありとあらゆる金策に走らせても足りない分を、夫婦にコンビニ強盗をさせてカバーしようと思い付きます。非常に効率の悪いアイディアだとは思いますが、「悪人だってこんなに苦労して金を稼いでるんだぞ」ってことを教えたいんでしょうねぇ。だいぶベクトルが違う方へと向いてる気もしますが、額に汗して稼ぐのは大事な事ですしね。ただまぁ、自分の手を汚さずに金を手に入れるはずが、容疑者として自分の似顔絵もしっかり作成されちゃうんじゃ元も子もありませんけど。めげるな、ショーン。
ここまでは、多少脇の甘さも目に付くもののなんとか事態をコントロールしてきたショーンですが、たかだかコンビニ強盗を成功させて天狗になった所をショーンに殴られて根に持った旦那が銀行強盗を提案してからは、一気に雲行きが怪しくなります。フラグが立ち始めます。お馴染のショーンフラグが。強固に反対してればいいものの、旦那に押し切られた揚句に「じゃぁ、ボクも行くよー」と強盗に参加してしまうショーン。なぜお前も行く?
今、完全にショーンフラグが立ちました。後の展開は、もう言わずもがなです。なんでしょう?“脇の甘さが命取り”ってのは、ショーンの座右の銘なんでしょうか?墓石にそう刻んで欲しいんでしょうか?
作品としてはなんとも中途半端な出来としか言いようがない本作。どっち側に立って観ればいいのかすら分かりづらい作品だったので、私は迷わずショーン側から物語を観てしまいましたが、これが若夫婦の善人面をもっと強烈に押し出すとか、「考えたんだけど思い付かなかったー」的なオチで全てを台無しにしないで寓話的なオチを用意するとか出来てれば強烈なブラックコメディとして成立もしたんでしょうねぇ。コーエン兄弟の作品みたいな。それにしても、最近作品選びの基準がイマイチ分からなくなってきたショーンですが、せめて脚本は最後まで読んでから出演を決めて頂けたらなぁと切に願いを。
あぁそう言えば、『マイティ・ソー』にあやかってタイトルに名前まで付けられてた、『スター・トレック』『パーフェクト・ゲッタウェイ』のクリス・ヘムズワースについて触れるのを忘れておりましたねぇ。まぁ、ぱっとしない若手って感じでしたよ。以上。
驚くほど意味の無かった一人二役
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
期待の若手、ヘムズワースくんを売り出すための映画だったはずが、パッケージにもショーンがどどんと大きく出ちゃうあたりからして失敗作のにおい濃厚ですよね(汗) オフビートな笑いを狙ってるのか判りませんが、色々とダメになっちゃった作品を、ショーンの力(って、何?)でなんとかしようとしたんでしょうか。
それにしても「ショーン・フラグ」……言い得て妙です(爆笑)私としては「数字に細かいショーン」「キレて暴れるショーン」「微妙にポヨッた体でヨガするショーン」を見られたのでヨシとします。
「ショーン・フラグ」に笑わせてもらいましたが、確かに言いえて妙です
きっちりクライムサスペンスよりも若干ゆるなコメディサスペンスとして描いていれば、ブラックな笑いでもう少し面白くなったかもしれないですね。
ヨガッショーン、数字計算するときのメガネ男子なショーンも見られて満足といえば満足です
これはもうある種、年貢ですねぇ。ダメなのは容易に予想できても、観ないと失礼にあたるのかなぁとw
にしても本作。本来なら若夫婦が物語を牽引して、自称善人が大金のせいで悪者になっていくブラックコメディにならなきゃいけないのに、如何せん作り手の詰めと役者の薄さがそうさせなかったんでしょうねぇ。で、ショーンに頑張ってもらうしかなくなったんですが、単なる取り立て屋に物語を牽引できるわけもなく、結局なーんにも訴えてない作品に^^;
あのヨガのシーンはサービスショットなんでしょうねぇ。微妙なポヨり具合もきっとサービス。
作ってる方はきっとサスペンスコメディにしてるつもりなんでしょうけど、結果が伴ってないw
>ヨガッショーン
イントネーション的には「ヨガフレイム!」と同じで宜しいんでしょうか?
可哀想な犯罪者“ショーン・ビーン”を愛でる、とても楽しい作品でした(爆)
>お馴染のショーンフラグが
ここにも立ってる、あそこにも立ってる、2本3本どんどんピコピコ光りながら増えていく“お馴染みのフラグ”に、たおさんが書かれる(書かれている)であろうエントリーの内容を想像しながら見てました♪
第2弾として、双子のもう1人ショーン・ビーンが回収に行くところも見たいなぁ〜
別な意味では全く期待を裏切らない、「さすがショーンだなぁ」と唸ってしまう作品でしたねぇ。その唸りが「う〜ん・・・」と若干テンション低めではありましたがw
双子の片っぽが回収に向かう後日談もワクワクしますが、如何せん頭は悪そうだったので瞬く間にフラグが立ってしまうんでしょうねぇw