2002年 イギリス/アイルランド/アメリカ映画 101分 アクション 採点★★★★
寝る前や暇な時の妄想タイムが大好きだとはもう何度となく書いたんですが、その妄想のベースになっているのが『ゾンビ』と『若き勇者たち』。“ゾンビから逃れ巨大ショッピングセンターで好き放題!”か“山中でリー・トンプソンを連れてゲリラ戦!”を、何十年と繰り返すヘビーローテーション。あれ?自分の妄想って、逃げてるか隠れてるかしかしていないってことに、今気が付いた。
【ストーリー】
ロンドンの地下から現れた巨大ドラゴン。脅威的な早さで繁殖したドラゴンは、口から吐く炎で文明を瞬く間に焼き尽くし、人類は滅亡の危機に立たされてしまう。20年後。ドラゴンの第一発見者であったクィンと生存者たちは荒野の古い砦に身を潜め、飢えと恐怖の日々を強いられていた。そこへヴァンザン率いるアメリカの義勇軍が現れ、共にドラゴンと対決するのであったが…。
“X−ファイル”など数多くのTVシリーズで監督を務めたロブ・ボーマンによる、人間と巨大竜の戦いを描いたアクションアドベンチャー。
ジャケットを見る限り、無数のドラゴンと戦闘ヘリが炎に包まれたロンドンを舞台に激戦を繰り広げているが、戦闘機を鷲掴みにして大暴れしていた『キングコング』のポスター同様、そんな血沸き肉踊るシーンなんて皆目見当たらない本作。世界が壊滅する場面はナレーションとイメージ映像で済ませ、ヘリは一機で、ドラゴンも後半複数出るものの、基本一匹ずつしか出ない。でも、そんな「無い袖は振れねぇんだ!」って潔さがとっても好み。
そもそも、ドラゴンとの血で血を洗う激闘ではなく、その災禍から逃れ如何に生き延びるかかをメインに描いている本作。髭面の男が薄暗い部屋でウジウジしている姿ばかりが映っているが、それで正しい。主人公の目的がドラゴン討伐ではなく、生存し続けることなのだから。また、ドラゴンの生態や生存者たちの生活描写がしっかりと練られているのも嬉しい。ケース毎に順序立てて行動する様には、描かれてはいない過去の経験が透かし見えるようにも。年配者ではなく、若者を中心に指導権が引き継がれていく描写も興味深い。
確かに、馬鹿が戦車でやってくるよりも性質が悪い、アメリカ人(しかも南部人)が戦車で乗り込んで来てからは話がバタバタとしてしまうのだが、正反対の存在が現れる事でよりそれぞれのキャラクター性が際立つ結果となっているし、外部の人間の行動に対するリアクションもしっかりと描けてはいたのが救いかと。
悪評も多い作品ではあるが、個人的には好きな一本。まぁ、怪獣めいたものが出てれば無条件で好きになってしまうってのも大きいんですけど。
主人公のクインに扮しているのは、『プレステージ』『バットマン ビギンズ』のクリスチャン・ベイル。リーダーとしての責任感故に融通の効かないクインを、さり気なく鍛え上げられた肉体とヒゲ面で好演。ヒゲくらいじゃタフさが出てこないハンサムぶりと、個性の強い共演者が隣に立つと瞬く間に空気になってしまう線の細さは残念であるが、少なくても前半はかなり健闘して作品を牽引している。
一方、出て来るや否やそんなチャンベールを空気に変えさせ、一気に作品を引っ張るヴァンザンに扮したのは、『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』『フレイルティー/妄執』のマシュー・マコノヒー。こっちのヒゲは凶暴。それに加えてスキンヘッドにしちゃってるので、自分ん家の玄関先に立ってて欲しくない男ランキングの上位に優々と君臨する迫力。その見た目のインパクト割に何を考えているのかよく分からないキャラではありましたが、こういう人は実際そばにいても何を考えてるのか分からないので、これでいいんじゃないのかなと。
また、クインの親友役にはまだブレイクには手が届かない所にいた、『完全なる報復』『GAMER』のジェラルド・バトラーが。出て来た途端に「あぁ、この人死んじゃうんだろうなぁ…」と思わせるキャラではあったが、その垢抜けてない様が生存者のコミュニティに青年団が運営してるっぽい雰囲気を醸し出させた良いキャスティングだったと。その他、『ファースト・コンタクト/STAR TREK』のボーグ・クイーン、アリス・クリーグの姿も。
考えてみれば、「これ、サラマンダーじゃなくてワイバーンじゃね?」って気もする本作。でもまぁ、直訳して“火の統治”ってするのも味気ありませんし、“ワイバーン”ってのも何故かファラ・フォーセットのウェットスーツ姿が脳裏に一瞬浮かんでしまうので、“マンダー”の響きがおどろおどろしい、非常に東宝東和らしいこの邦題で良いんじゃないのかなぁと。
頑張って前へ出ようとはしてますが
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