2011年10月05日

ツイン・ピークス/序章 (Twin Peaks Episode 1: Pilot)

監督 デヴィッド・リンチ 主演 カイル・マクラクラン
1990年 アメリカTV 113分 サスペンス 採点★★★★

私が住んでいる人口一万人程度の小さな田舎町でさえも、極稀に殺人や強盗などの凶悪事件が発生することが。大体は「いつか何かしでかすと思ってた」って言われる人が犯人なんですが、「まさかあんな事をする人だとは思ってもいなかった!」と驚かれる人が逮捕される事も。ただまぁ当然のことなんですが、その善人そうな人が家で一人どんなことを考え、何をしてたかまでは誰も知らないんですけどね。

twpe1.jpg

【ストーリー】
山間の小さな田舎町ツイン・ピークス。ある静かな朝、湖のほとりで町一番の人気者であった美少女ローラ・パーマーの遺体が発見される。町中が悲しみにふける中、近隣で発生していた連続殺人事件との関連を疑ったFBIは、特別捜査官デイル・クーパーを派遣する。クーパーは保安官と共に捜査を開始するが、徐々に町が抱える闇が見え隠れし始め…。

twpe5.jpg

まるでノーマン・ロックウェルの作品のように美しい街並み。白いフェンスと色鮮やかな花々に囲まれた住人は皆笑顔で幸せそうな、まさに善なる世界。しかし、その足元にカメラがズームしていくと、地中では無数の蟲が蠢いている。このオープニングでテーマを見事に言い切ってしまった『ブルーベルベット』のデヴィッド・リンチが手掛け、全米のみならず日本においても社会現象にまでなった“ツイン・ピークス”のパイロット版。すっごい久しぶりに観たが、やっぱり面白い
美しい自然の風景の片隅にビニールシートに包まれた美少女の死体が転がっている、もうこのイメージだけで何かとんでもないタブーが潜んでいる事が伝わってくるオープニングからして見事な本作。一見普通だがどこか風変わりな登場人物たちが抱える秘密が徐々に明らかになっていく過程も、誇張したメロドラマのような演出の効果も相まって、他人の家庭を覗き見しているかのような下世話な興奮をも味わえる。
テレビだからリンチ濃度が薄まってるかと言えば、全くそんなことはない本作。もちろん性的・暴力的な描写は直接的には避けられているが、“美少女の死体”“連続殺人”“乱れた人間関係”などのキーワードが散りばめられているので、わざわざ直接的に描かなくても充分過ぎるほど伝わってくる。それらの題材をアンジェロ・バダラメンティの耽美なメロディで包み込んだ、案外いつもよりもリンチ濃度が高めの作品に仕上がっているのではとも。また、死体安置所でクーパーが医者に席を外してくれと言ってるのに「あ、ジムです」と名乗られちゃったり、当たり前のように机の上に鹿の剥製が転がってたり、尾行中「見つかったか?」「ドーナツをくれ!」「見失ったな…」と全く噛み合わない会話を披露したりと、豊富なリンチギャグも非常に嬉しい一本で。

twpe3.jpg

風変わりな登場人物が多い本シリーズにおいて、最もユニークな個性を発揮しているクーパーに扮したのは、雰囲気が似ている事もあってか、『砂の惑星』以降リンチの分身としてリンチ作品に立て続けに出演した『ヒドゥン』のカイル・マクラクラン。FBIのイメージを誇張したキッチリピッチリの髪型や服装とは裏腹に、どこか他の惑星から落ちてきたかのようなフワフワしたキャラクターがなんとも魅力的。そう言えば、このキャラクターのまま缶コーヒーのCMもやっておりましたねぇ。何でもレコーダーに記録する記録魔で、刑事コロンボにおける“かみさん”のような存在である“ダイアン”にその記録したテープを送っているようなんですが、「どこどこのチェリーパイは絶品だよ!」みたいな記録を延々と聞かされるダイアンの身になって欲しいなぁとも。
また、“世界一美しい死体”と呼ばれたローラ・パーマーに扮する『ヴァンパイア/最期の聖戦』のシェリル・リーや、クラシカルなセクシーさを持つ顔立ちとは裏腹に、寸詰まりな体型が仄かにフリーク臭を漂わせる処刑ライダー』のシェリリン・フェン、コメディでその魅力を存分に発揮する『ウェインズ・ワールド』のララ・フリン・ボイル、早々とDV男と結婚してしまう田舎の美人のなれの果て感が良く出てたメッチェン・エイミックなど、それぞれが特徴あるエロティシズムを漂わせる美女が数多く出演しているのも嬉しいところ。
その他、『ウェドロック』のジョアン・チェンや、『トラウマ/鮮血の叫び』のパイパー・ローリー、『ア・フュー・グッドメン』のジェームズ・マーシャル、怪優ラス・タンブリン、リンチ作品の常連であったジャック・ナンス、『暴走特急』のエヴェレット・マッギルなど個性的なキャストが勢揃い。あまりに個性的なので、個々についてはシリーズのレビューを書くことになった時にでも。

twpe4.jpg
今となって思えば、リンチがお茶の間に垂れ流されていた事自体が事件のような気も

↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
blogram投票ボタン   

        

        



posted by たお at 17:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。