2011年09月14日

プチ・ニコラ (Le petit Nicolas)

監督 ローラン・ティラール 主演 マキシム・ゴダール
2009年 フランス/ベルギー映画 91分 コメディ 採点★★★★

如何せん末っ子なもんで、“お兄ちゃんになる”ってのがどんな感じなのかさっぱり分からない私。じゃぁ、ウチの子供らはどんな感じなんだろうと見てみれば、長女は1歳半の末っ子の存在自体目に入っていないかの如く一人っ子道を邁進しているし、小学二年の長男は寝ている隙に大切なカード類を滅茶苦茶にされたり、TVのリモコンの取り合いの揚句、そのリモコンで顔面をしたたか末っ子に殴られメソメソ泣いてたりと、なんか想像する“お兄ちゃん/お姉ちゃん像”からは随分とかけ離れた感じも。んー、末っ子でとりあえず良かったのかなぁと。

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【ストーリー】
優しい両親と個性的な友達に囲まれ、楽しい日々を送っていたニコラ。ところが、どうにも最近両親の様子がおかしい。「これはきっと弟が出来るに違いない!」と思い込んだニコラは、弟が生まれたら自分は用なしになって森に捨てられると危惧し、仲良しの友人らに相談。とりあえず親のご機嫌取り作戦を実行するのだが…。

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フランスで国民的人気を誇るという絵本を映画化した、なんともおかしく可愛らしいファミリー・コメディ。
「森に捨てられてたまるか!」とアレコレ奮闘するも、なにせ集まるのが小学男子なので事態が何一つ解決しない様を、子供ならではの勘違いと思い込みと行動範囲に天真爛漫さ満載で描いた一本。小学男子のバカさ加減と可愛らしさは万国共通なんだなぁと。
大人同様、子供の世界もなかなか大変だって様を描いた本作。その子供たちをノスタルジックな目線で見つめるだけではなく、きちんと大人たちの大変さ具合も並列し、大人たちの変化がそのまま子供たちにも影響を及ぼす様を描けているのが見事。状況に即したユーモアで溢れる会話も非常に面白く、ギャップの笑いで一気に笑わせるタイプではないが、全編クスクス笑いが続く可愛い作品に。状況を分かりやすく伝える音楽の使い方も、なかなかに洒落てる。
子供たちが多数出てくる作品だと、その名前と顔を覚える前にエンドクレジットを迎えてしまうことも少なくないのだが、見た目と性格が一致しているっていうのも大きいが、本作は序盤に挟まれた簡単な人物紹介で事足りるほどキャラクターが描き分けられ、それぞれの役割をしっかりと劇中で消化されているのも素晴らしい。赤ちゃんが部屋に居るだけで無闇やたらと幸せ気分になる締め括りも好みの一本で。

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デブ・メガネ・バカ・金持ち・暴れん坊と個性豊かな友人らに比べれば幾分普通だが、その“普通”ってのが個性としてしっかりと機能しているニコラに扮しているのは、本作が映画デビューとなるマキシム・ゴダール。なんか名前が立派。ママ役のヴァレリー・ルメルシェ同様、どこかデヴィッド・ドゥカヴニー系列の顔立ちが親子っぽさを強調。
また、パパ役に扮しているのは『バレッツ』のカド・メラッド、一番厄介そうなクラスを受け持ちご愁傷さまとしか言いようがない先生役に、『アパートメント』のサンドリーヌ・キベルラン、顔立ちだけは非常に好みだった『アデル/ファラオと復活の秘薬』のルイーズ・ブルゴワンも、非常に小さい役ながらも印象的な花屋として登場。
キャラクター同様、絵本から出て来たかのようなどこか作り物めいたセットや衣装も非常に魅力的だった一本で。

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無駄なことに全力を尽くすのが男子の生き様

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posted by たお at 08:06 | Comment(6) | TrackBack(13) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
トラックバックありがとうございました♪
子供ならではの勘違いと純真さが
非常にあたたかい気持ちにさせてくれる作品でしたね
プチ・ニコラって有名らしいですが、
確かに私もキャラクターだけは見たことがあります
確かにデヴィッド・ドゥカヴニー系列の顔立ちでしたね(笑)でもとっても可愛らしかったですね〜^^
Posted by maki at 2011年09月14日 19:33
あああ!!ありがとうございます。
この少年見たとき、誰かに似てるんだけど、誰だか思い出せずにスッキリしてなかったんですよ!!
あーーースッキリした。デゥカブニーでした。そうそうそう、そうなのよ。。
って映画の感想になってないですね。
フランスらしい、エスプリの効いた小粋な小品でしたね。

うちの三番目は典型的超末っ子に育ってしまいました。あたしから見たら、孫みたいな存在ですわ。
Posted by sakurai at 2011年09月15日 14:18
maki様、こんにちは!
私は全然知らなかった絵本なんですが、それでも大変楽しめた一本でしたねぇ。
とってもドュカヴニー顔をした親子でしたが、私の中でドュカヴニーは“可愛い”範疇に入っているので、全く問題なしw
Posted by たお at 2011年09月16日 06:45
sakurai様、こんにちは!
そうです!ドュカヴニーです!
ショウニー・スミスでもいいんですが、ショウニー・スミス自体女装したドュカヴニーみたいなんで、やっぱりドュカヴニーです!
それにしても
>エスプリの効いた小粋な小品
フランス映画を一言で言い表すとこうなりますよねぇw
Posted by たお at 2011年09月16日 06:52
きちっとブレザーに半ズボンにハイソックス。 ネクタイにベストにお揃いのバッグ。
フランスの小学校はみんなこうなのか、ちょっと良い所の学校なのか良く分からなかったのですが、ニコラがちょっと良い子過ぎる印象だったかなぁ・・・
やはり哀生龍には、洒落たフランスのコメディより、駄目駄目男子高校生達のくっだらない学園コメディの方が性にあっているようです(^^ゞ
Posted by 哀生龍 at 2011年11月23日 17:41
哀生龍さま、こんにちは〜♪
確かに学費の高そうな小学校でしたねぇ。すげぇ金持ちもいるし。反面、すげぇバカもいましたがw
>洒落たフランスのコメディより、駄目駄目男子高校生達のくっだらない学園コメディの方が性にあっている
私も基本的にはそうなんですが、これは男子の全てにおいて無駄な生き様が良く表れてたなぁとお気に入りでw
Posted by たお at 2011年11月25日 06:50
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