2008年 アメリカ映画 100分 アクション 採点★★★
バンドやってた時って、必死こいて完成させたオリジナル曲を演奏するのも楽しいんですが、好きな曲を単純にコピーするのもかなり楽しいんですよねぇ。下手にアレンジして「俺だったらこうやる」みたいな欲なんて出さず、もう純粋に「この曲弾けてるのがウレヒィ!」とバカみたいに喜んでる時間が好き。

【ストーリー】
厳格なルールを自らに課し冷酷で完璧な仕事を行ってきた殺し屋のジョーは、腕が鈍る前に引退する事を決意。最後の仕事として、バンコクで4件の殺しを請け負う。しかし、耳の不自由な女性フォンと出会い、彼女に強く惹かれてしまったジョーの運命は徐々に狂い始め…。

パン兄弟による『レイン』を、ニコラス・ケイジを主演に迎えセルフリメイクしたハードボイルドアクション。まぁ、“迎えて”ってよりは、製作を兼ねたニコケイ主導で“作らせた”って言った方が正しいのかと。
善悪の概念を捨て冷酷無比に仕事をこなしてきた殺し屋が、自らに課していたルール“堅気の人間に関わらない”を破ってしまったが故に全てが狂っていく様を、バンコクのエキゾチックで猥雑とした雰囲気もたっぷり含めて描いた本作。オリジナルを観ていないので差異に関してはさっぱりなのだが、結論からすると、まぁ悪くはない。確かに主人公を含め登場人物の心の変移が全く分からなかったり、結局のところ「象の絵を引っくり返しちゃダメってことなのか?」って程度にしか物語が伝え切れていないという基本的な問題点もあるのだが、そもそもこの映画はニコケイが楽しそうになり切ってる様を温かい目で見守るタイプの作品だと思うので、そこ以外をとやかく言ってもしょうがないのかなぁと。トム・クルーズの映画に、「トムちんがハンサムなだけじゃん!」って文句を言うみたいな。

主人公の殺し屋に扮するのは、『キック・アス』『魔法使いの弟子』のニコラス・ケイジ。今回もマニアならではの向う見ずな成り切り具合で、クールなはずの殺し屋を熱演。100分間ここまで気持ち良さそうになり切ってれば、いい加減多少なりとも格好良く見え始めると思うのだが、小難しい変な顔をしているか、変な顔で笑っているかだけで、全く格好良く見えないニコケイ映画お馴染の不思議現象を堪能。やっぱりアレですか?髪型のせいですか?
その他、いつの間にか真人間みたいになってたアシスタント兼弟子に、シャクリット・ヤムナーム、親しみやすい古風な美しさが魅力的だったフォン役に、『香港国際警察/NEW POLICE STORY』のチャーリー・ヤンが。まぁでも、一番印象に残ったのは、政治家暗殺を描くクライマックスで、逃げ惑う群衆の中ひとりだけ顔にボカシが入ってたエキストラで。何があったんでしょうねぇ、完成後に。

作ってる方が観客気分
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