2003年 アメリカ映画 115分 サスペンス 採点★★
他人の噂話や弱みを財産にしている人がいます。自分を良く見せる技にも長けているようで、皆で仲良さそうに話していても、一人その場を抜ければその人の話題で持ちきりに。ほかのものに向ければ何かを成し遂げそうなほどの情熱で情報収集に努めるその姿は、感銘さえ覚えてしまうもの。まぁ、多くても町に一人か二人程度のそんな人を避ければ別段苦労もないんですが、“噂話が財産”って市民性の街もあるので要注意。住んでましたよ、そんな所に。
【ストーリー】
MITの優秀な学生であるジェームズは、CIAのリクルート担当バークにスカウトされる。訓練所で厳しいトレーニングを受けるジェームズだが、とある試験に失敗し訓練所を追い出されてしまう。そんな失意のジェームズの前にバークが現れ、“失格”は偽装で二重スパイの疑いのあるCIA職員を調査するように命じられる。その相手は、ジェームズの同期で互いに心惹かれ合うレイラだった。
“物事は見た通りとは限らない”
『リベリオン』『ウルトラヴァイオレット』のカート・ウィマーも脚本に参加する、CIAによって他人を欺く術を学んだ若者が、二重三重に仕組まれたトリックに翻弄されるサスペンス。
“嘘つき養成所”を出た若者が世間で怖い目に合う青春映画の側面も持つ本作ではあるが、如何に欺き、如何に暴くかを主眼に描かれる序盤の訓練所シーンにあった面白さが、中盤以降とたんになくなってしまうのが困りもの。亡くなった父親の影を追い求める主人公が、アル・パチーノ演じるバークに父親を見る“父性”が重要なテーマの一つであるはずなのに、後半になるとその辺も曖昧。
そもそも、散々劇中の訓練者同様“見た目に騙されるな”と鍛え上げられてしまっているので、「どーせ嘘なんでしょ?」とサスペンスも盛り上がらず。その盛り上がれないサスペンスと中盤以降のグダグダな演出が相まって、前半と後半がまるで別な映画のような印象を。仕舞いには、黒幕が全てのカラクリをべらべらと喋りまくったおかげで解決してしまい、主人公は実のところ何にも解明していない始末。人ひとり殺し損。
人気急上昇中の若手俳優との共演が多いアル・パチーノ。「調子に乗るなよ」と天狗になった若者の鼻をへし折る役割なんでしょうか?「今日はどのくらい喋るんだろ?」が観る楽しみの一つとなってしまったパチーノ映画。その期待を破ることなく、今日もパチーノがとにかく喋る。ベラベラベラベラと画面に映っている間はのべつ幕なし喋る。どこまでが台本にあるのか分からなくなるほど喋るパチーノの隣に立つと、さすがの“アイルランドの暴れん馬”コリン・ファレルも借りてきたネコのように大人しい。演技うんぬん以前にとにかく暑苦しいのだが、そのニューシネマ俳優のアグレッシブさを、若手は見習うべきでは。キアヌもラッセル・クロウもただただシュンとしているだけだったので、「うるせぇ、パチーノ。少しは黙りやがれ!」くらい言ってやらないと、コリン君は。その一言を待ってるのかもよ、パチーノは。パチーノが待ってなくても、スタッフや他のキャストは待っているはず。
パチーノオーラに追いやられ主人公すら影の薄い本作は、もちろんのこと他のキャストの影も薄い。強いて挙げれば、『ロード・オブ・ウォー』のブリジット・モイナハンが微かに記憶に。なんか、足が速そうでした。
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楽しいTBありがとうございます。
確かにアル・パチーノは迫力あってよく喋りましたね。
“うるせぇ〜”ってわかるような気がします。
…ひえ〜。映画になりそう、そのシチュエーション。
コリン・ファレルね、面白い俳優ですな。佇まいが濃過ぎて受けは悪いようですが。
パチーノしか印象に残ってないほど喋ってましたねぇ。。。
一旦喋り始めると、いつまで喋るのかハラハラでした。
田舎の床屋なんか、人の噂話ばかり収集しているんですが、市民全員がそんなんだと・・・なかなか住み心地悪かったです。。。
個人的にはいまだにピンとこないコリン・ファレルですが、いよいよ『マイアミ・バイス』がくるので、期待です!
albrechtです。
>黒幕が全てのカラクリをべらべらと喋りまくったおかげで
大学の講義みたいな映画でしたよ。教授がムズカシイ理論に基づいて延々とえんえんとなんかしゃべってるのを、こっちは一生けんめい理解しなきゃ〜とがんばってるというか。
結局、落第の心配がないんで聞き流しちゃいましたけど(笑)。
トラバありがとうございましたヽ^0^ /
確かに〜 前後半で物語のカラーが違って見えますね。
》「うるせぇ、パチーノ。少しは黙りやがれ!」
》くらい言ってやらないと、コリン君は。
》その一言を待ってるのかもよ
すんごい喋ってましたよねぇーアル・パチーノ。
私の場合、一字一句おぼえたのかっ!?と、ちょっと
見直したり(笑)でも、彼の台詞ってアドリブっぽい。^^;
こちらからもTRBさせていただきました♪
「これからこういう展開になるぞ!試験に出るから覚えておけ!!」みたいなもんですねw
まぁ、おかげで全く騙されませんでしたが、それは映画を楽しむ上でどうなんだと。
きっとほとんどアドリブでしょうねぇ。。。
監督もどこで切ったらいいのか毎日悩んだことでしょう。