1999年 アメリカ映画 93分 コメディ 採点★★★
“父親歴”ってのはそれなりに長いんですが、だからと言ってそれがイコール“大人歴”かっていうとそれはどーだろーって感じの私。ってか、何を以て“大人”なのかイマイチ分からず。とりあえず今のところ、対戦ゲームでは息子に負け知らずですが、ベソをかきながらムキになる息子を前に敢えて負けてやったりしたら大人なんですかねぇ。いやぁ、負けてやらねぇ!
【ストーリー】
30過ぎても定職に就かず勝手気ままな生活を満喫するソニーに対し、恋人は愛想を尽かし出て行ってしまう。そんなソニーの前に、仕事で国外に行っている親友の子である旨が記された手紙を持った幼い男の子が訪ねてくる。慌てたソニーは親友に連絡するが親友は身に覚えがないとの一点張りで、ソニーは已む無くその子を福祉局に連れて行くことに。しかしその道中、「この子を養子に迎えて養育すれば、彼女も自分の事を大人として見直してくれるかも…」と思い付き…。
お気楽男が思わぬ子育てを経験する事で、責任ある大人として自覚していく様を描いたコメディ。監督は、アダム映画でお馴染である『アダルトボーイズ青春白書』のデニス・デューガン。
大人になる事を拒んでいた男が、半ば強制的ながらも自ら選んだ選択によって大人へと成長する、ある意味アパトー・ギャングらによる昨今主流のコメディ映画の先駆者的な本作。アダム・サンドラーも、幼児的キャラから大人になりたくないキャラへと一歩駒を進めていた時期だっただけに、“子育て”に程よい違和感が生まれ、その違和感を上手に笑いに転化させている。5歳にしては若干大人びている気もするが、子役の可愛らしさも上手く引き出せていたのではと。
ただ、作品全体がいささか言葉足らず。主人公の行動が、ただひたすら自己中心的にしか見えない。もちろん発端はその自己チューから来ているのだが、その後のフォローが少ない為、自己チュー男がなんだかんだと思い通りに事を進めてしまうだけに思える事も。それと同様に、親友の恋人に対し主人公が終始イジワルなのも、親友を奪われてしまうことに対する焦りや寂しさが原因であると予測できるが、その周辺の描写が少ない為、単なるイジワルにしか見えず。元カノに対する仕打ちも、非難する箇所が見当たらないだけに、ちょっとやり過ぎな気も。都合の良過ぎる設定と、この言葉足らずの為に大分印象を悪くしてしまっている感が、なんとも残念。もうちょっと煮詰めれば、随分と面白い作品になったのになぁと。
この言葉足らずっぷりが「惜しい!」って作品ではあるが、キャスティングに関しては文句なし。もう、最高!
『ウェディング・シンガー』で幼児キャラから脱却し、大人になりたくないキャラへと変貌したアダム。それと同時に、周囲が次々と大人になっていくので、一人置いてかれてしまったかのような寂しさをまとい始めるのも、丁度この頃からかと。そんなアダム・サンドラーを筆頭に、破壊力控えめの分出ずっぱりだった『ホット・チック』のロブ・シュナイダー、そのロブに代わって破壊担当だった『アニマル・ファクトリー』のスティーヴ・ブシェミ、アレン・コヴァート&ピーター・ダンテ&ジョナサン・ローグランのいつもの人たちと、安心出来るお馴染キャストが勢揃い。
また、“美人じゃないけど凄くモテる”ってのがなんか理解できる『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』のジョーイ・ローレン・アダムスや、ひたすらフーターズネタで引っ張られた『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』のレスリー・マン、色々と観ているはずなのに、出演作で真っ先に思い出すのが常に『デッドリー・フレンド』であるクリスティ・スワンソンに、嫁サンドラーと魅力的な女優陣が揃ってるのも嬉しい。
そう言えば、劇中TVで流れてた『刑事コロンボ/さらば提督』。脈絡の無い使われ方に「なんでだろー?」と思ってたんですが、あれにデニス・デューガンが出てたんですねぇ。それはちょっと知らなかった。
変わり者は確定的だが、悪人にだけはならなさそう
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