赤ちゃんの逆襲 (Mauvais Esprit)

監督　パトリック・アレサンドラン　主演　ティエリー・レルミット
2003年　フランス／スペイン映画　90分　コメディ　採点★★★★

“しつけ”と“強要”を履き違えている大人が非常に多い世の中ですが、“理解”と“仲良し”を勘違いしている大人も多いのも事実。自分もかつては「ばぶぅ」とか「おぎゃぁ」とかしか言わない赤ん坊だったってことを忘れちゃったんですかねぇ。そういう自らの原点を忘れてしまった大人の方々は、戒めの意味も込めて一週間ほどオムツで過ごしてみてはどうですか？

【ストーリー】
売れない作家のシモンは、以前描いた建築デザインが盗用され建築されることを知り、建設会社社長のヴァンサンに抗議をするが、うっかりヴァンサンの車にはねられてしまい死亡する。しかし、ヴァンサン待望の第一子として生まれ変わったシモンは、恨みを果たすべく、あの手この手でヴァンサンを困らせるが…。



“フランス映画”っていうと、小洒落た男女がウィットとエスプリの効いた会話を交わしながらエッフェル塔の見えるカフェテラスでワインとカタツムリを喰ってるイメージもあるが、実のところグロとゲテこそがフランス映画の真骨頂。
赤ん坊が大人目線でぶちぶちと愚痴をこぼし続ける本作は、明らかに今更ながらの『ベイビー・トーク』なのであるが、あちらがおっちゃん声ながらも言ってることは子供だったのに比べ、本作は全部おっちゃん。しかも自殺願望あり。まぁ確かに野放しの赤ちゃんの行動ってのは、かなりデスウィッシュではある。赤ちゃんが不本意ながらも取るデスウィッシュ行動に、大人がオロオロする『ベイビーズ・デイアウト』ってのもありましたね。



赤ちゃんが主人公のファミリー映画と侮ると、痛恨の一撃を喰らう本作。何気にＲ−１５ですし。
“究極の嫌がらせとして自殺を選択する赤ん坊”って時点で、既にファミリー映画の枠を音速で超えているのだが、登場する大人も主人公を除き本能でのみ行動する外道の集団。人間の嫌な部分をこれでもかと見せつけながらも、画面上に常に可愛い赤ちゃんが映っているのでなんとなく心が和んでしまう邪悪な映像構成。ダニー・デヴィートなら嫌な気持ちを残したまま終わらせるであろう本作。その大まかに三つに分かれていた物語を小奇麗にまとめ、ハートウォーミングで締めるエンディングを“巧み”と取るか“弱気”と取るかは、好みの問題になるだろう。
全体的にアラもなく、こじんまりとした本作には★３つが妥当ではあろうが、“赤ちゃんがデスウィッシュ”のインパクトは並大抵のものではないので、★おまけ。


シリーズ化されれば、犬も死にたがる

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Comments

　トラックバック、ありがとうございました。私は４３になるまで独身で、いつまでも子供の感覚、子供のままだけど、仰るとおり、おむつをつけなければならないオッサンなのかもしれません。全国公開できなかった佳作ですが、ただ素直に楽しみました。
　読ませていただき、ありがとうございました。　　冨田弘嗣

Posted by 冨田弘嗣 at 2006年08月10日 00:57

冨田弘嗣さまこんばんは！
読んでいただき、ありがとうございます！！
きわどい描写もあるので、なかなか全国公開は難しいとは思いますが、もう少しアピールをしても良さげな作品でした。

Posted by たお at 2006年08月10日 02:51

ＴＢありがとうございました。
妙に面白かったのが正直な印象でした。
赤ちゃんの様々の行動がバカバカすぎて笑えます

Posted by キング at 2006年08月13日 11:18

キング様こんばんは♪
まったく天真爛漫さに欠けた赤ん坊が楽しかったですね。
なかなか満足です＾＾

Posted by たお at 2006年08月13日 18:34

こんばんわ！
ＴＢ&コメントありがとうございました！
中身がおっさんの赤ん坊に振り回される親バカ・・。
冷静な目で見られたらこんなにバカなのか、とｗｗ
あ、そうそう、上の画像見て思い出しました。
包帯が赤でびっくりしましたｗｗ

Posted by PINOKIO at 2006年11月08日 21:57

PINOKIO様こんばんは〜♪
まぁ、大人は思っているほどお利巧さんではないですからねぇｗ
そう！私も「赤ちゃん流血してる！！！」と驚きました＾＾；

Posted by たお at 2006年11月09日 00:24