2005年 アメリカ/ドイツ映画 107分 ドラマ 採点★★★★
子供の遊びってのは、ちょっと目を離した隙に激変するもので。先週まで皆と一緒に遊んでいたものが、数日一緒に遊ばなかっただけでルールやらなにやら変わってしまうこともしばしば。過激の一途をたどることも多く、小学校の頃校庭にあった遊具で、小高い丘の頂上にジャングルジムがあり、そこから下まで長い滑り台が付いているものがあったんですが、いつの間にやら滑るものはいなくなり、ただ頂上から飛び降りるだけの遊びが流行。で、あっという間に禁止。
【ストーリー】
70年代のアメリカ西海岸ヴェニスビーチ。トニー、ステイシー、ジェイの三人は、入り浸っていたサーフショップの経営者スキップの提案で結成されたスケートボードチーム“Z-BOYS”に参加する。彼らの革新的なスケーティングに三人は瞬く間に注目の的となるが、注目が集まれば集まるほど、三人の距離は離れていく。

スケーティングスタイルを一新した伝説的なスケーター集団“Z-BOYZ”の物語。70年代の若者文化とその周辺事情を巧みに織り込みながら、三人の少年の成長物語を描いている。まず、メインの食材であるスケーティングの映像が素晴らしい。多彩なエフェクトとカットバックの多用により、ただ派手さと迫力のみを追求した映像と違い、“彼らと同じ場所”にいることを重要視した撮影は、臨場感と一体感に溢れている。
“成功と挫折によってバラバラになっていく友人”という物語の構造は、青春映画の定番の枠組みから飛び出すことはしていない。しかし、その三人に明確な色分けとじゅうぶんな肉付けをすることによって、説得力溢れる凄味を作品に与えることに成功している。また、実話を基にしているとはいえ、彼らの登場によって歴史が動く瞬間や、大人の介入でビジネスとなることで“遊び”が瞬く間にその輝きを失うシークエンスは、非常にドラマチックである。惜しむべくは、その三人の色分けが出始めるまでの前半が冗長で、数多く登場する若者達の個性が整理されておらず、佃煮のごとくゴッチャリとしてしまっているのが残念。
それでも、イギー・ポップやデヴィッド・ボウイなど70年代ロックを中心とした音楽の使い方も上手く、流れゆく時代背景や人物の性格表現に大いに貢献している。特に印象的なのは、時代がパンクロックへと移行していく中でのシーン。優れた才能ゆえに大人達によって偶像化されたトニーとステイシーが時代から取り残され始めているのに対し、スケートボードがビジネス化していくのを嫌い、ひとりストリートに残ったジェイが、パンクに身を投じ真剣に“遊び”に取り組むことによって、時代を更に推し進めることになる、ストリートの流れを巧みに使用したシーンだ。

キャスティングも大きな魅力である。レベッカ・デモーネイは、ゆりかごを揺らしすぎたのか、見分けのつかないほどの老けっぷりで驚いたが、少年達の兄貴分・父親代わりを演じるヒース・レジャーは、その“70年代ロック顔”が作品にピタリとはまっている。芸風も風貌もどんどんヴァル・キルマーに近づいていってるのは気になるが、70年代という時代設定に説得力を与える存在感がある。
ヴィクター・ラサック、『エレファント』のジョン・ロビンソン、“邪悪なデカプリオ”的風貌のエミール・ハーシュら若手の瑞々しさも魅力的だが、本作の目玉は『スカイ・ハイ』のマイケル・アンガラノ。すごく可愛い。監督もその可愛さにやられちゃったのか、主役級の三人よりも印象に残るシーンを数多く撮っている。映画をギスギスさせない潤滑油的役割を果たす彼は、口半開きでグッタリする姿も様になることから、二代目ジェフ・ブリッジスの称号を与えたい。
この若い俳優達のみならず、当事者達も嬉々として出演するこの映画は非常にエネルギッシュ。それはきっと監督に由来するのであろう。メイキング中、ひっきりなしに手足をバタつかせながらクネクネと喋るハードウィック監督のエネルギーが写り込んだに違いない。

ボウイの曲が使用されているのも、もちろん採点に影響
↓↓ぽちりとお願いいたします↓↓
人気blogランキングへ
マイケル・アンガラノなんて、
マニアックなところに目をつけましたね。
「スカイハイ」の息子役ですよね。
私には最初は
シア・ラブーフと見分けがつきませんでした。
『スカイ・ハイ』でも「かわいー子だなぁ」と思ってたんですが、さすが女性監督。存分にその魅力を引き出してました^^
確かにシア・ラブーフとジャンルが一緒の顔つきですね♪
私は邪悪なディカプリオことエミール・ハーシュ君目当てで見ました。
(「ガール・ネクスト・ドア」良いですよ!)
この映画、もっと人気あってもよさそうなのになぁ。
男の子たち皆かわいいし。
レベッカ・デモーネイ、ふけてました・・・
ロザンナ・アークウェットっぽかったかも。
そうなんですよね。みんな魅力的なのに、イマイチ認知されてないんですよ。
やっぱりアークウェットぽかったですよね?
「この役、パトリシアの方が似合うのに」とか思いましたもの。