1987年 アメリカ映画 103分 アクション 採点★★★
80年代映画を象徴するのって、映画同様大ヒットを記録するサントラだったりもしますよねぇ。それなりに名前の知られているけど最近仕事の無い実力派に軽快な主題歌を歌わせるやり方は、抑えた予算で知名度が付いてくる、コストパフォーマンスに優れた上手いやり方だなぁと思ったもので。どうってことないシーンにこれらの楽曲を被せて、なんかとっても盛り上がってる気分にさせたのもこの頃の特徴。その辺は、生理的に否応もなしに気分を高揚させる音楽を垂れ流す、昨今の作品に継承されたんでしょうねぇ。ブラッカイマーの映画作りマニュアルは、この辺でもう確立してたんだなぁ。
【ストーリー】
高級宝石店などを連続で襲うアルファベット強盗団を追っていたビバリーヒルズ警察のボゴミル刑事部長が、何者かに白昼堂々銃撃され重傷を負う事件が発生。事件を聴きつけたデトロイト市警の刑事アクセルはビバリーヒルズに飛び、ボゴミルの部下で今では親友でもあるローズウッドとタガートと共に、アルファベット強盗団を追うのだが…。
世界中で空前のヒットを飛ばした『ビバリーヒルズ・コップ』の続編。マーティン・ブレストに代わってメガホンを握ったのは、『アンストッパブル』『ラスト・ボーイスカウト』のトニー・スコット。製作はもちろん、ドン・シンプソン&ジェリー・ブラッカイマー。
トニー・スコットらしいグラデーションのかかった映像美と、小気味の良いテンポで進む本作。アクションも格段と派手になり、アクセルとローズウッドらが親友になった設定なので、バディアクション的な面白さも加わることに。
しかしながら、非常に大味な印象も否めず。潜入捜査中の扮装ではあるものの、高級スーツに身を包み、フェラーリを乗り回して登場するアクセルの姿は非常にバブリーで、その印象が最後まで変わらない為に、前作で楽しめた“庶民vsセレブ”の構図が薄まってしまってる感じが。なんか全体的にセレブ。豊富なギャグも場面に応じた形で繰り出されてるのは良いがいささか場当たり的で、キャラクターに即した形にまではなっていない印象も。前作であれだけいたゲイキャラが、本作では全く見当たらなくなってしまっているのも寂しい。
まぁ、大雑把な内容を美しい映像と歯切れの良いテンポで見せ切る、トニー・スコットらしい作品であるなぁと。観ている最中は面白いが、観終わるや否やするすると脳裏から消え去っていくのも、ホント彼らしいですし。
この作品をピークに、あとはゴロゴロと転がり落ちて行った意外と絶頂期が短い『大逆転』のエディ・マーフィを筆頭に、『グレムリン』のジャッジ・ラインホルド、『恋しくて』のジョン・アシュトン、『ロボコップ』のロニー・コックスといった前作の主要キャストが再集結した本作。寝っぱなしなロニー・コックス以外はエディとの絡みも格段と増え、バディ映画らしい掛け合いの面白さを見せている。まぁその反面、いがみ合いの面白さが消え去ってしまいましたが。
一方、“白いグレース・ジョーンズ”ばりの強烈な印象を残す悪役の金髪の大女に扮していたのは、あらゆる意味で80年代を象徴するブリジット・ニールセン。スタローンの元嫁。立ってるだけで80年代。好き嫌いはさて置いても、その上昇志向丸出しのガツガツとした姿勢は、なかなか忘れ難し。前作『ビバリーヒルズ・コップ』の脚本を書き変えて出来上がった『コブラ』の共演女優であり、書き変えた張本人かつ主演のスタローンの嫁が出演しているってところにも、なんともガツガツとした繋がりを感じたりも。そう言えば、劇中ローズウッドの部屋にこの『コブラ』と、前作で悪役を演じたスティーヴン・バーコフも出演している『ランボー/怒りの脱出』のポスターが貼ってありましたねぇ。
その他、『マウス・オブ・マッドネス』のユルゲン・プロフノウや、そのプロフノウとは『砂の惑星』で共演済みである『レインメーカー』のディーン・ストックウェルらが共演。中でも、ほんのちょろりとした出演ながらも、非常に高いテンションで印象を残す『アダルトボーイズ青春白書』のクリス・ロックは、なかなかの見ものかと。
破天荒なスターってのも、受け入れられなくなってきたんですかねぇ
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