2009年 アメリカ/ドイツ映画 126分 SF 採点★★★★
ファンというのは、なんとも面倒臭い生き物で。私も「デヴィッド・ボウイが大好き!」と公言するそんなファンの一人なんですが、ボウイが売れに売れて10人中10人が「大好き!」って存在になられると、それはなんかイヤ。かと言って、さっぱり売れずに10人中1人が好きって存在になられるのも、なんとも寂しい。売れるアルバムを作って欲しいけど、スマスマとかに出てニコニコ飯を食うような存在にはなって欲しくなかったりも。ほら、面倒臭い。
【ストーリー】
突如現れたロミュランの船によって撃沈させられたUSSケルヴィン。その代理艦長であり、自らを犠牲に数多くのクルーを救ったジョージ・カークを父に持つジェームズ・T・カークは、無軌道な生活に別れを告げ艦隊に志願する。ずば抜けた才能を発揮するカークだったが、とあるテストの不正を問われ、危機に陥ったヴァルカン星を救う緊急指令により初航海となるエンタープライズ号のクルーから外されてしまう。しかし、友人マッコイの機転で船に乗り込む事が出来たカークは、この緊急指令がロミュランの罠であることに気付くのだが…。
コンテンツとしてまだまだ魅力あるものの、そのファンも世界観も若干煮詰まってしまった感もあったスター・トレックシリーズを豪快にリセットし、新たなスタートを切らせたSFアドベンチャー。監督は、どちらかと言えばスター・トレックよりもスター・ウォーズの方が好きだという『M:i:III』のJ・J・エイブラムス。
エンタープライズ号のクルー誕生譚な物語ではあるが、ロミュランにより過去が干渉されてしまったが故に変わってしまった未来が舞台なので、オリジナルとは別の世界として描かれる本作。いきなりカークの父親が死んだりと、「別の世界なんだから、整合性なんて無視して好き放題やるよ!」ってな感じの“ハッタリ屋”J・J・エイブラムスらしいオープニングを迎えるが、基本的にはオリジナルのスター・トレックの遺産の上に成り立っているので、気分を害さない程度の変更点に驚きながら楽しむ事が出来る一本に仕上がっている。なんと言うか、ファンにしっかり目配せをしておきながらも、初心者向けに丁寧に作ってある感じで。“誰もが知ってる”と“誰もが観た事がある”ってのは、決してイコールじゃないですしねぇ。
対立するカークとスポックが絆を深めていく過程を軸に、お馴染のキャラクターたちの性格や役割をコンパクトにまとめ上げ、強大な敵と壮絶な戦いを繰り広げるエンタープライズ号の初陣を大迫力の映像で描いた本作。「相変わらずカークはスケベだなぁ」とか、「あら、こんな所にスコッティが!」とか、スポックとウフーラという衝撃的かつ鼻持ちならないカップルの誕生とか、大いに楽しませてもらった一本に。本作で初めてスター・トレックに触れた人にどう映ったのかは見当つかないんですが、スター・トレックの面白さを知る導入部としては、上々の船出なのではと。強いて言えば、エンタープライズ号の映し方にフェティッシュなまでのこだわりが感じられないって不満がありましたが、それはまぁ年寄りの戯言ってことで。その雄姿を観れただけでも有難かったですし。
詳細は不明ながらも、来年公開を予定に続編の製作がアナウンスされた本作。これまでの作品との整合性に縛られる必要がなくなっただけに、何が起きても、それこそ誰が死んでもおかしくないんで、楽しみに待っていようかと。まぁ、本音を言えば、『ネメシス/S.T.X』で衝撃的な結末を迎えたまま宙ぶらりんとなった“新スター・トレック”の新作を心待ちにしてるんですが、それは叶わぬ夢なんでしょうねぇ。
エディ・マーフィに、「カークって、緑色のであろうが構わずヤルよな!」とネタにされたこともあるジェームズ・T・カークに扮するのは、『アンストッパブル』のクリス・パイン。女性関係でのアグレッシブさを忠実に継承した、決して上品ではない佇まいが非常にカークっぽくて見事なキャスティングだったなぁと。
一方、スポックに扮したのはTVを中心に活躍するザカリー・クイント。レナード・ニモイが出演していただけに、観賞した翌日には思い出せなくなってしまう印象の薄い顔立ちは、スポック役としてどうかと思うが、融通の効かない奴に感じる苛立ちだけは存分にお見舞いされたので、シリーズを重ねる中で個性を育んで頂けたらと。
またクルー役には、ぼやきキャラの割には実直な印象もあったマッコイ役に、『RED/レッド』のカール・アーバン、ウフーラ役には『ターミナル』でトレッキー役だった『ルーザーズ』のゾーイ・サルダナ、“可愛さ”ってのは継承していたチェコフ役に『ターミネーター4』のアントン・イェルチン、スールー役に『アメリカン・ドリームズ』のジョン・チョー、そして美味しい見せ場を貰ってたスコッティ役に『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』のサイモン・ペッグらが出演。
その他、『ミュンヘン』のエリック・バナや、『パーフェクト・ゲッタウェイ』のクリス・ヘムズワース、成長した気配が然程感じられない『エスター』のジミー・ベネット、一人大人の色気を振りまく『奇人たちの晩餐会 USA』のブルース・グリーンウッドに、「ウィノナっぽい人だなぁ」と思ってたら本当にそうだったウィノナ・ライダーらも出演。結構意外な顔ぶれが出てた印象があるので、次回作もその方向で驚かせて頂きたいもので。個人的には、クリスチャン・スレイターあたりをオススメで。
ところで、子供の頃のカークが車を暴走させながら声を掛ける“ジョニー”って少年がいましたが、あれって誰なんでしょ?お兄ちゃんにしては名前が違うような気がするし。どなたかお詳しい方が居られれば。
いつでもリセット可能なキャスティングって言われれば、まぁそんな感じも
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
ほんと、ファン心理って複雑ですよね(笑) 私の中ではスタートレックの艦長は絶対カークでスポック、ボーンズ、スコッティは必ずセットです(^^;)。パイク艦長(でしたよね?)なんかも嫌いではないですけど。
なので、この映画も観るまではどうかな〜、と思ってただけに意外と細かい気配り(笑)がされた内容が嬉しかったです♪ これから先どんなふうになっていくのか楽しみです〜(^^)
いやいや!次回もこのメンバーで、期待してます!
いちばん好きなのはTNGだから、『ネメシス』の続きがあるならそっちも気になる。
でもパトリック・スチュアート他おなじみのメンバーでというのは、もはや難しいですよねぇ。。。
叶わぬ夢ですね。
ファンってのは熱狂的になればなるほど面倒臭い生き物ですよねぇ。温かく見守るって選択肢はないですしw
本作にはストレートに「満足!」と言い切れない部分も正直あったんですが、無い物ねだりになっちゃうんで、「上々!」と親指上げて歓迎だけはしておこうと^^;
如何せんオッサンなので、コッソリ配役が変わっていても、すぐには気付かない可能性大^^;
私もリアルタイムで楽しんだTVシリーズがTNGなので、是非ともネメシスの続きが観たいんですよねぇ。新データの行く末とか。
ここ笑いました。
私もあれっ?とか思いましたからね。
もっとまじめな雰囲気だと勝手に思い込んでいたのですが、とてもコミカルでオリジナルを知らなくてもSFアドベンチャーとして楽しめました。
もし次回作があるとしたら、ファンの方にレクチャーしてもらってから見ようと思います。
メインクルー以外のキャストはノーマークだったので、ラストのクレジットで確認するまで「似てる人」と決めつけてましたねぇw
このまま微妙な接点を交えてシリーズを進めていくのか、丸っきり別物と変貌していくのか、次回作以降の展開が楽しみですよねぇ。ある意味、ファン全員を敵に回すくらいの気概も必要なのかも。