2009年 アメリカ映画 101分 ドラマ 採点★★
優しくしているつもりでも、相手が求める優しさと合致しないと“優しい”ってことにはならないんですよねぇ。どおりで、なかなか“優しい人”という代名詞を得れないわけだ。相手が求める優しさってのを考える努力も必要なんですねぇ。まぁ、お互いに。
【ストーリー】
両親を殺害した少年エリックが出所してくる。更生し新たな人生を歩みだしたようにも見えるエリックであったが、事件の担当刑事であったクリストフオロは、二件の未解決殺人事件にもエリックが関与していると疑い、執拗に彼の後を追う。一方エリックは、少年院で知り合った少女マリアに会う為に車を走らせるが、その車の中にはエリックに会いたい一心で家を飛び出した16歳の少女ローリが乗り込んでおり…。
『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』のジョン・ポルソンによるサスペンスドラマ。
連続殺人犯である青年を追う刑事の追跡劇をイメージさせるタイトルだが、蓋を開ければ人として大切なものを欠落した青年と、問題を抱える少女との交流を“優しさ”というキーワードで描いた本作。全身麻痺となった妻を献身的に看病する刑事、甥に姉を殺されても尚、その甥を家族として招き入れる叔母、そして殺害することでその手に優しさを感じ取る青年と様々な優しさを交えながら、望まぬ死を目前にすることで初めて人間性を取り戻す青年の姿を丁寧に描き出しているように思える。
しかしながら、“思える”と書いたのも、原作を読んでいないってこともあるのだが、それを差し引いても何を言いたいのかサッパリ不明瞭だから。考えさせるための不明瞭ではなく、完全に物語を整理しきれていない不明瞭。死にたがりの少女に付きまとわられた揚句に、勝手に死なれて大迷惑する殺人鬼の話にすら見える。それならそれでとっても面白そうなんですが、そうじゃないから困りもの。
刑事役には、『ロビン・フッド』のラッセル・クロウが。主演としてトップにクレジットはされてますが、如何せん拘束日数が9日間なので、要所要所で沈痛な面持ちを披露しているだけって印象を。それでも、もう回復する事はないであろう妻に、きっと彼女が大好きであったのであろう料理を丁寧に作り上げるシーンは良い感じ。
一方、ロビン・フッドを差し置いて弓使いの主人公に扮しているのは、『パンドラム』のベン・フォスターの弟ジョン・フォスター。ちょっぴり社交的なクリスピン・グローヴァーっぽい風貌に、独特なフェチを持つ殺人犯っぽい雰囲気が。ミラ・クニスなんか見ちゃったら、殺したくて堪らなくなっちゃうんでしょうねぇ。また、そんな彼に執拗に付きまとう、ある意味この邦題は彼女の為にあるんじゃないかとすら思える少女役に、ソフィー・トラウブ。10代らしい場を読めない言動の数々に、絶妙な苛立ちを与えてくれる好演。我慢したエリックに、よく頑張ったなぁと称賛を与えたいほどイライラさせられる。
その他、『ディフェンドー 闇の仕事人』のマイケル・ケリーや、個人的にその泣き顔がとっても好みであるローラ・ダーンも出演。そんなローラ・ダーンを久しぶりに観れたってところに、★ひとつオマケ。泣きはしてませんでしたが。
そんな顔したくなる気持ちもよく分かる
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
それ、面白そう!!
同じ出来事を、別の監督がコメディタッチで描いたら、さぞかし楽しめるんじゃないかと・・・
>きっと彼女が大好きであったのであろう料理を丁寧に作り上げるシーンは良い感じ
ちょっと他のシーンから浮いてる感じはしましたが、気に入ってるシーンです!!
他にはバンバン殺しているけど、勝手に死んだ女の子は殺したい対象でも何でもなく、そんなのまで自分の趣味だと思われたくないからどうしよーみたいな、ダニー・デヴィートにでも撮らせたいブラックコメディにw
演技力がそう思わせるのかもしれないですが。
一つも殺人事件は起きなかったけど、ずっとサスペンスフル。タイトルが面白そうで見たけどテンダーネスというタイトルなら決して見なかったと思う。でも、タイトルに騙されたにもかかわらずあまり怒りはない(笑)