2011年07月24日

チェイシング/追跡 (Tenderness)

監督 ジョン・ポルソン 主演 ラッセル・クロウ
2009年 アメリカ映画 101分 ドラマ 採点★★

優しくしているつもりでも、相手が求める優しさと合致しないと“優しい”ってことにはならないんですよねぇ。どおりで、なかなか“優しい人”という代名詞を得れないわけだ。相手が求める優しさってのを考える努力も必要なんですねぇ。まぁ、お互いに。

tend1.jpg

【ストーリー】
両親を殺害した少年エリックが出所してくる。更生し新たな人生を歩みだしたようにも見えるエリックであったが、事件の担当刑事であったクリストフオロは、二件の未解決殺人事件にもエリックが関与していると疑い、執拗に彼の後を追う。一方エリックは、少年院で知り合った少女マリアに会う為に車を走らせるが、その車の中にはエリックに会いたい一心で家を飛び出した16歳の少女ローリが乗り込んでおり…。

tend3.jpg

『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』のジョン・ポルソンによるサスペンスドラマ。
連続殺人犯である青年を追う刑事の追跡劇をイメージさせるタイトルだが、蓋を開ければ人として大切なものを欠落した青年と、問題を抱える少女との交流を“優しさ”というキーワードで描いた本作。全身麻痺となった妻を献身的に看病する刑事、甥に姉を殺されても尚、その甥を家族として招き入れる叔母、そして殺害することでその手に優しさを感じ取る青年と様々な優しさを交えながら、望まぬ死を目前にすることで初めて人間性を取り戻す青年の姿を丁寧に描き出しているように思える
しかしながら、“思える”と書いたのも、原作を読んでいないってこともあるのだが、それを差し引いても何を言いたいのかサッパリ不明瞭だから。考えさせるための不明瞭ではなく、完全に物語を整理しきれていない不明瞭。死にたがりの少女に付きまとわられた揚句に、勝手に死なれて大迷惑する殺人鬼の話にすら見える。それならそれでとっても面白そうなんですが、そうじゃないから困りもの。

tend4.jpg

刑事役には、『ロビン・フッド』のラッセル・クロウが。主演としてトップにクレジットはされてますが、如何せん拘束日数が9日間なので、要所要所で沈痛な面持ちを披露しているだけって印象を。それでも、もう回復する事はないであろう妻に、きっと彼女が大好きであったのであろう料理を丁寧に作り上げるシーンは良い感じ。
一方、ロビン・フッドを差し置いて弓使いの主人公に扮しているのは、『パンドラム』のベン・フォスターの弟ジョン・フォスター。ちょっぴり社交的なクリスピン・グローヴァーっぽい風貌に、独特なフェチを持つ殺人犯っぽい雰囲気が。ミラ・クニスなんか見ちゃったら、殺したくて堪らなくなっちゃうんでしょうねぇ。また、そんな彼に執拗に付きまとう、ある意味この邦題は彼女の為にあるんじゃないかとすら思える少女役に、ソフィー・トラウブ。10代らしい場を読めない言動の数々に、絶妙な苛立ちを与えてくれる好演。我慢したエリックに、よく頑張ったなぁと称賛を与えたいほどイライラさせられる。
その他、『ディフェンドー 闇の仕事人』のマイケル・ケリーや、個人的にその泣き顔がとっても好みであるローラ・ダーンも出演。そんなローラ・ダーンを久しぶりに観れたってところに、★ひとつオマケ。泣きはしてませんでしたが。

tend2.jpg
そんな顔したくなる気持ちもよく分かる

↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
blogram投票ボタン   人気ブログランキングへ

        

タグ:★★ ドラマ
posted by たお at 13:52 | Comment(4) | TrackBack(5) | 前にも観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>死にたがりの少女に付きまとわられた揚句に、勝手に死なれて大迷惑する殺人鬼の話にすら見える。
それ、面白そう!!
同じ出来事を、別の監督がコメディタッチで描いたら、さぞかし楽しめるんじゃないかと・・・

>きっと彼女が大好きであったのであろう料理を丁寧に作り上げるシーンは良い感じ
ちょっと他のシーンから浮いてる感じはしましたが、気に入ってるシーンです!!
Posted by 哀生龍 at 2011年07月24日 23:55
哀生龍さま、こんにちは〜♪
他にはバンバン殺しているけど、勝手に死んだ女の子は殺したい対象でも何でもなく、そんなのまで自分の趣味だと思われたくないからどうしよーみたいな、ダニー・デヴィートにでも撮らせたいブラックコメディにw
Posted by たお at 2011年07月26日 10:24
キャスティングがうまいと思いました。
演技力がそう思わせるのかもしれないですが。
一つも殺人事件は起きなかったけど、ずっとサスペンスフル。タイトルが面白そうで見たけどテンダーネスというタイトルなら決して見なかったと思う。でも、タイトルに騙されたにもかかわらずあまり怒りはない(笑)
Posted by at 2012年10月23日 00:06
良い俳優に面白そうなテーマが揃ってるだけに、ちょいと惜しいなぁと思える作品でしたねぇ。
Posted by たお at 2012年10月29日 23:37
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

チェイシング 追跡
Excerpt: 【Tenderness】 2008年劇場未公開? アメリカ 101分監督:ジョン・ポルソン出演:ラッセル・クロウ、ジョン・フォスター、ソフィ・トラウブ、ローラ・ダーン 刑事・クリストフオロは、両..
Weblog: 新・映画鑑賞★日記・・・
Tracked: 2011-07-24 15:01

チェイシング/追跡
Excerpt: Tenderness 15歳で両親を惨殺したが、血中から抗うつ剤が検出されたことから情状酌量となり、少年院に入ったエリック(ジョン・フォスター)は、18歳になると前科を抹消された状態で社会に戻った。..
Weblog: I am invincible !
Tracked: 2011-07-24 23:47

『チェイシング 追跡』
Excerpt: JUGEMテーマ:映画 制作年:2008年  制作国:アメリカ  上映メディア:劇場未公開  上映時間:108分  原題:TENDERNESS  配給:ミッドシップ  監督:ジ..
Weblog: La.La.La
Tracked: 2011-07-25 23:15

チェイシング/追跡
Excerpt: Tenderness/08年/米/101分/サスペンス/劇場未公開 監督:ジョン・ポルソン 出演:ラッセル・クロウ、ジョン・フォスター、ソフィ・トラウブ、ローラ・ダーン <ストーリー> 刑事・ク..
Weblog: 銀幕大帝α
Tracked: 2011-07-28 23:05

『チェイシング/追跡 』
Excerpt: チェイシング/追跡 両親を殺した少年が出所 殺人現場を目撃した少女が付き纏い 彼を殺人鬼と目する刑事が執拗に追う... 【個人評価:★★ (2.0P)】 (自宅鑑賞) 原題:Tend..
Weblog: cinema-days 映画な日々
Tracked: 2012-05-29 22:15