1984年 アメリカ映画 105分 SF 採点★★★
人気キャラクターを演じるって、そのキャラクターの人気が役者本人の人気にも直結する反面、イメージが固定されちゃうって弊害もあるんでしょうねぇ。ましてや、そのキャラクターが特異な存在であればある程、その傾向は強いんでしょうし。人気がある以上やめるにやめられないし、やめれたとしてもそれが役者生命に良い影響を与えるかなんて分かりませんしねぇ。そんな複雑な心境を言葉では理解してても、もしレナード・ニモイに出会えたら、きっと真っ先に耳を見てしまうんだろうなぁって私。
【ストーリー】
カーンとの激闘を終え、満身創痍の状態でドックへの帰路に就いたエンタープライズ号とそのクルーたち。無事に帰れた安堵以上に親友スポックを失った悲しみに暮れるカークの前に、スポックの父サレクが現れ、何者かに委ねられたスポックの魂と惑星ジェネシスに置き去りにされた遺体があれば、スポックは復活すると告げる。帰還後に奇行を続けるマッコイにスポックの魂が入っている事を知ったカークらは、連邦の制止を振り切り急激な成長の結果崩壊し始めたジェネシスに向かうのだが、彼らの前にクリンゴンが立ちはだかり…。
前作『スター・トレック2/カーンの逆襲』直後から始まる、劇場版スター・トレック第3弾。スポック役でお馴染のレナード・ニモイが、劇映画初メガホンを握る。本作以降、クルーがメガホンを握るってのが一種の慣例になりましたねぇ。
前作と連作のような形を取りながらも、“多数の要求は個を上回る”に対し“一人を救う為に多くを犠牲にする”と、真逆のテーマで描かれる本作。お払い箱が決定した老朽艦エンタープライズ号同様に年老いたクルーたちが、友の為に全てを捨て無理を押し通し奮闘する姿は、老兵の最後の戦いのような哀愁も帯びており、感動的でもある。ただ、支払う代償の描写があまりにアッサリし過ぎているのが気になる所。
クリンゴンが障壁としての添え物的存在なのでそこのアッサリ具合は仕方がないにしても、カークの息子の死やエンタープライズ号の最期までもがアッサリしてしまっているのは如何なものかと。ファンにとっては「うわぁぁぁ!エンタープライズがぁぁぁ!」となるが、然程馴染の無い観客にとっては一隻の船が使い捨てにされただけの印象しか残らない気が。贅沢な願いなのかも知れませんが、後継艦であるエクセルシオをもっと嫌味ったらしく描いていれば、エンタープライズの健気さや愛くるしさが増したのになぁと。まぁ、登場するクルーが絞られていたので、スールーやスコットの見せ場が増えていたのは嬉しかったですが。
クリンゴンに肉弾戦を挑んだ上に打ち負かし、救いの手を差し伸べてはみるものの歯向かわれたのでアッサリ崖下に蹴落とすという、ワンパク盛りのカークに扮するウィリアム・シャトナーを始め、オリジナルクルーがもちろん勢揃いする本作。前作に続いて、カークの息子役としてメリット・バトリックも出演。ただまぁ、前作で強烈な印象を残したサーヴィックが、ギャラの関係で降板したカースティ・アレイからロビン・カーティスに変わったんですけど、あの髪型と眉毛のせいもあってか、志穂美悦子を通り越して大阪のオバチャンみたいになっちゃってたのは残念でしたが。
また、大好きな船の一つであるバード・オブ・プレイの船長であるクルーグに扮したのは、『殺人ゲームへの招待』『わんぱくデニス』のクリストファー・ロイド。彼自身が持つコメディセンスと、レナード・ニモイが本来得意とするコメディ演出が合致したのか、どことなく三ばか大将的な感じすらあるユーモラスなクリンゴンを好演。
そう言えば、エクセルシオのクルーとして、『ロボコップ』のミゲル・ファーラーもちらりと出ておりましたねぇ。そこだけはエクセルシオに嫌味っぽさを感じちゃったりも。
後先一切考えないのがカークの強み
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